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空き家の相続放棄を考え始めたら、知っておきたい大切なこと

空き家の相続放棄を考え始めたら、知っておきたい大切なことは_空き家の相続放棄は慎重に!

親世代から引継ぐ「空き家」の相続に頭を悩ませていませんか?これと言った解決策や活用方法が見当たらないまま、固定資産税の支払いを避けるため、安易に「相続放棄」という方法を考えてしまう人が多くいます。「空き家」における「相続放棄」で失敗しないためには、「相続放棄」のメリット、デメリットをよく知り、注意点を踏まえた上で「相続放棄」をするのかどうか慎重に考える必要があります。また、「相続放棄=空き家問題の解決」ではありません。「空き家」の「相続放棄」について、失敗例を踏まえて一緒に考えていきましょう。

なぜ、「空き家」の相続放棄が起こる?

相続した「不動産資産」が「負の資産」になる事実

年々、増え続ける日本の「空き家」。もはや、他人事ではなくなっている人も多いはず。少子高齢化が加速し、これから「空き家」問題はより深刻になってくると予想されます。

「特定空き家」や「放置空き家」という言葉を聞いたことがありますか? 相続した「空き家」を放置してしまい、「特定空き家」に指定されてしまうと、2015年に施行された、空家等対策特別措置法に基づき、固定資産税の増額や物件の強制退去などの処置が取られます。強制退去になった場合の金銭的な負担は、「空き家」の所有者に課されます。

「空き家」を相続しそのままにしておくと、金銭的な負担はもちろんのこと、「空き家」の周辺環境の悪化、ご近所トラブルなども起こりえます。それだけでなく、「空き家」の老朽化に伴い、近隣の住民に迷惑を被った場合には、損害賠償が発生する恐れもあるのです。

「空き家」を放置すれば、頭を悩ませる「負の資産」となってしまいます。そのため、「空き家」を相続し、持て余している人達が「相続放棄」という方法で、この問題を解決しようと試みる現状が起こっているのです。

しかし、「相続放棄=空き家問題の解決」ではありません。「相続放棄」をしたからといって、完全に「空き家問題」から解放されるというわけではないのです。「相続放棄」を行う場合は、慎重に考え判断することが必要。「相続放棄」についてしっかり学び、自分の持つ「空き家」の最善の対策方法を見つけていきましょう。

まず、「相続放棄」の理解を深めよう!

「相続放棄」とは

「相続放棄」とは、親などから引き継ぐ予定であった財産、権利、義務の一切を相続しないことです。土地の所有権や、預金、借金やローンなど、プラスの資産もマイナスの資産も引き継ぐことを放棄することになります。

通常、「相続放棄」の申立ては、「自分が相続人であると知った日」から3ヶ月以内に行う必要があると、民法で定められています。

「相続放棄」をすると、全ての相続の財産、権利、義務に関わることができなくなります。相続する全ての資産をよくよく鑑み、「相続」をすることで、プラスよりもマイナスの影響が多く残る場合に「相続放棄」を検討してみましょう。

参考:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

「空き家」における「相続放棄」とは

「空き家」つまり「不動産相続」の放棄について

民法239条第2項には、”所有者のない不動産は、国庫に帰属する。”という文言があります。自分を含めて、「空き家」を相続する権利のある、兄弟姉妹、親族など全ての人が「相続放棄」を行った場合には、「空き家」つまり「不動産」は、理論上は 国のものになります。

しかし、相続人全てが放棄した「空き家」を国庫とするための手続きは、大変複雑で難解です。引き取り手のいない「空き家」は、国にもなかなか、受け取ってもらえないのが現状です。  

参考・引用:https://ja.wikibooks.org/wiki/民法第239条

「空き家」の「相続放棄」の方法

「空き家」に関わらず、「相続放棄」の方法は同じです。相続権を知ってから3ヶ月以内に、被相続人(もともと物件を所有していた人)の最後の住所がある家庭裁判所へ申し立てを行い、受理された後「相続放棄」となります。

800円分の収入印紙、連絡用郵便切手、相続放棄の申述書、被相続人の住民票又は戸籍の附票、相続放棄する人の戸籍謄本などが、一般的な必要書類となっています。

相続する財産(不動産・借金・預金など)の調査が3ヶ月以内に終わらず、相続することが、プラスかマイナスかの判断ができない場合には、さらに3ヶ月の期間延長を家庭裁判所に申立てすることも可能です。「相続放棄」は、慎重に熟慮して判断することが重要です。

参考:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

参考:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html

「空き家」相続放棄メリット/デメリット

「空き家」相続放棄のメリット

「空き家」を「相続放棄」することの、最大のメリットは「固定資産税」の支払い義務がなくなるということです。「固定資産税」という金銭的な負担からは、逃れることができます。

「固定資産税」の支払は、その年の1月1日時点で固定資産税台帳に名前の記載されていた人に課されます。そのため、「相続放棄」を行った時期によっては、その年の「固定資産税」の支払い義務が課されることになります。「相続放棄」の後に、納付通知書が送られてきた場合には、無視をしないで「相続放棄」をした時期に注意して、支払い義務があるのかどうかを確認しましょう。

「空き家」相続放棄のデメリット

一度、「相続放棄」をしてしまうと二度とその権利を主張することはできません。後々、その「空き家」の土地などに価値が出てきたとしても後の祭りです。

また、「空き家」の相続を放棄したからといって、管理義務がなくなるわけではありません。つまり、「空き家」の「相続放棄」を行えば、完全に「空き家」と縁が切れるというわけではないことを知っておく必要があります。

「空き家 」の「相続放棄」に落とし穴!

「空き家」を「相続放棄」しても残る重大な責任

民法第940条には、”相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。”という記載があります。

つまり、「相続放棄」をした後でも、次の相続人が見つかるまでは、管理する義務があるということです。「相続放棄」をしても、「空き家」のメンテナンスはしっかり行い、決して「放置空き家」にしてはいけません。

「空き家」を放置したことによって、万が一近隣の住民の方に被害が及んだ場合、そのトラブルの責任を追う必要が出てくる可能性もあるのです。

参考・引用:https://ja.wikibooks.org/wiki/民法第940条

「空き家」の管理責任回避は狭き門!

それでは、「空き家」の管理責任を逃れるためにはどうしたらいいのでしょうか?この章では、「相続放棄」をしても尚残る、「空き家」における、「管理責任」の問題について考えていきましょう。

「相続財産管理人の選任」を家庭裁判所に申立てる

誰も相続する人がおらず、「空き家」の管理が困難な場合には、家庭裁判所に「相続財産管理人の選任」を申立てることができます。申立てにより、家庭裁判所によって選ばれた、「相続財産管理人」が、「空き家」の管理を引継いでくれることになります。

「相続財産管理人の選任」の申立てには、裁判所への費用の他、「相続財産管理人」が「空き家」を管理するために必要な経費や報酬のための、数十万円の予納金が必要とされています。

「空き家」の引き取り手がなかなか決まらず、「相続財産管理人」に費用や報酬を延々と払い続けることにもなりかねません。その場合、相続をして固定資産税を払った方が安くなるという、本末転倒な結末となってしまうのです。

参考:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html

「相続放棄」の失敗例

【45歳・都内在住Aさんの場合】

Aさんは、便利な駅近マンションを購入済みでした。学生時代から住んでいる、住み心地の良い、都内を離れるつもりはありません。そんな時、実家の両親が他界し、長男であるAさんが実家の家を相続することになりました。

正直、実家の家はAさんにとって嬉しいものではありませんでした。そのため、資産価値をあまり調べず、田舎ということで価値もないと判断し、相続放棄をすることにしました。3ヶ月の期限を気にして決断を急ぎました。

しかし、その数年後、実家のあった土地に価値があり高値で取引されていることを知りました。Aさんが住んでいた頃と田舎の状況も随分と変化しており、土地の価値は上がっていたのです。Aさんは、もっと慎重に決断すればよかったと後悔しています。

【55歳・海外在住Bさんの場合】

ベトナムで暮らすBさんは、日本の実家を相続放棄しました。ベトナムで永住することにしており、両親が亡くなった今、日本への帰国もそれほど多くないと思ったからです。

相続放棄の手続きも無事に終わり、ベトナムで心置きなく生活していました。しかし、数年後、「空き家」になった家の老朽化が進み、家屋が崩れ近隣の人が怪我をしたので、責任をとって欲しいという連絡を受けました。

相続放棄したので、そのような責任はないと思い込んでいたBさんはびっくりです。Bさんは、「空き家」の管理責任について無知でした。仕方なくBさんは、近隣の方の治療費を支払い、その後「空き家」を定期的に管理してくれる人を見つけ対策を講じました。

【60歳・軽井沢在住Cさんの場合】

Cさんは、両親と東京で生活していましたが、両親の死後、仕事を辞め以前から好きだった軽井沢に移住することに決めました。そのため、都内の家は不要となりすぐに買い手や活用方法も見当たらなかったため、いっそのこと相続放棄をして綺麗さっぱり実家と縁を切ろうと思い、相続放棄をしました。

しかし、後に管理責任があることを知り、メンテナンスのために東京を訪れるのが億劫となり家庭裁判所に「相続財産管理人の選任」の申立てを行いました。東京ということもあり、すぐに引き取り手が見つかるだろうと思い込んでいました。しかし、なかなか思うようにはいかず、「相続財産管理人」の費用や報酬が嵩んでいくことに、今、頭を悩ませています。

「相続放棄」以外の方法も考えてみよう!

相続放棄をした結果、余計に費用が嵩んでしまったということにならないように、「相続放棄」については、慎重に行動しましょう。

「相続放棄」以外の方法で、「空き家」を何とか活用する方法を検討するのもおすすめです。賃貸にしたり、第二の住まいにしたり、更地にして駐車場にするなど、用途は様々あります。

一度相続して固定資産税を支払いながら状況を見てみるという手段も有効です。月日が経ち、土地に価値が出てきたり、買い手が見つかることも考えられます。

安易な「相続放棄」を避けること!

「相続放棄」をする場合には、よくよく考え、慎重に決断することが大事です。一度、放棄をしてしまったら、決して後戻りはできません。「空き家」の管理のこと、活用方法など、多角的に考える必要があります。まずは「専門家」に相談してみるのもおすすめです。「空き家活用株式会社」に是非お気軽にご相談ください。

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どのように活用したいかの目的や、ご希望の地域などをお知らせいただければ、それを元に弊社スタッフが対応いたします!

一緒に空き家の問題を解決していきましょう。
麻衣子(Smiycle)
この記事を書いた人
旅行会社勤務を経て、フリーランスのライターへ転身。古民家シェアハウスに住み、Airbnbを利用して海外を旅した経験から、日本の空き家問題に興味を持ち、明るい未来に繋がる記事を書いています。