その空き家の未来へ、あなたが動き出せる情報と納得を

中古マンション購入するなら、空き家マンションとどちらが得?注意点から考える

新築マンションの価格高騰が進む中、マンション購入を検討する際に、誰もが「お得にマンションを手に入れたい」と考えますよね。 新築ではなくても、中古や空き家マンションを手に入れて、資産に余裕を残して快適に暮らすことができたら…。 そんな、中古マンションと空き家マンションの違いや、注意点を解説します。 これを読めば、自分にピッタリなのは中古マンションなのか、空き家マンションなのかが分かります。

この記事では、「中古マンション」は不動産会社を介して購入するマンションを、
「空き家マンション」は直接家主と交渉して購入するマンションとしています。

中古マンションと空き家マンションの違い

中古マンションと空き家マンションは何が違うのか

中古マンションと空き家マンションで一番大きく違うのが、その価格です。

ただ、その価格の差にはさまざまな理由があります。

ここでは、中古マンションの現状と空き家マンションの現状をまずはご紹介致します。 

中古マンションの現状  

首都圏の中古マンションの価格は、2020年1月に3か月ぶりに下落したものの、東京都では引き続き上昇しています。

とはいえ新型コロナウイルスの影響で、新築マンションは経済の低迷を受けて落ち込むことが予想され、中古マンションも売り出し件数が増加することが見込まれています。これらのことから中古マンションの購入を考える人にとっては、新築マンションよりも手ごろな価格で、条件の合う物件を見つけられる可能性があると言えます。

参考:コロナショックはマンション価格を下げるのか-新築・中古マンションの価格推移から考える|ニッセイ基礎研究所
   

空き家マンションの現状

現在空き家マンションは、急増の一途をたどっています。

総務省統計局によると、平成25年時点では、1世帯あたりの住居戸数は1.16戸。1世帯で1軒以上の家を所有している状態です。

一昔前は「家を継ぐ」という考えから、親の家は長子が継承するものとなっていましたが、今や「家を継ぐ」という概念は薄れ、親が所有していた地方にあるマンションを相続したものの、すでに都心に家を持っているため住むことも活用することもできず、空きになってしまうことがほとんどです。

 また、その他の現状として、空き家マンションには「埋もれた空室」があります。

2019年に弊社が取材を受けた「クローズアップ現代」の番組内でも、「埋もれた空室」についてお話させて頂いているのですが、親が老人ホームになど入るなどして意識せず空き家になってしまう区分マンションが跡を絶ちません。

こうした「埋もれた空室」は表面化しているだけでも5000戸ほど。でもこれは氷山の一角にすぎず沢山の「埋もれた空室」が存在しているのです。

考:「“都会のマンション”に異変!あなたはどうする?」| NHKクローズアップ現代  

購入時に共通する注意点

中古マンションと空き家マンションを購入する際に、気を付けたい注意点をまとめました。

どちらの物件にも共通することですので、購入や、マンションを見学する際に参考にして見て下さい。

内見時の注意点

日当たりと眺望は後からは変えられない

中古マンションや空き家マンションを購入する際に、つい室内に目が行きがちになりますが、日当たりと眺望を確認することも重要です。

購入後に日当たりが悪くなることはあっても、日当たりを良くすることは不可能ですので、もし可能であれば「朝、昼、夕方」と日差しの確認ができると良いでしょう。

またマンションの周りを歩いてみることで、近隣の建設予定などを知ることも出来ます。

購入してすぐに目の前に大きなマンションが建ってしまった……とならないためにも、物件の周りを歩いてみることをお勧めいたします。

自治体が行っている地域の土地開発などについては、自治体HPなどで公開されていますのでチェックしましょう。

築年数に注意する

中古マンションも空き家マンションも、築年数が浅いものほど価格は高くなります。

ただ、築20年を超えると、マンションは建物の価値が底値となるため価格があまり変わらなくなるのです。

また築年数が古いものほど、立地の良い場所に建っている物件が多くあります。

今や、駅近や都心に近いエリアに新しいマンションを建てるのは至難の業です。希望の立地でマンションを探そうとすると、必然的に中古マンションなどの既存の物件から選ぶこととなります。

こうした建物の価格、土地の価格から築20年以上の中古マンションは、その後の物件価値の変動が低くなるため、おすすめと言えるのです。

これまで取り壊されたRC造マンションの統計から、RC造マンションの平均寿命は68年。法定耐用年数としては、47年と定められています。

これらの数字から分かるように、築20年のマンションを購入してから優に20年以上住むことが可能です。

とはいえ、築40年で建て替え…という場合もありますので、築40年近くの築古物件を購入する場合は、建物の管理計画にも目を通しましょう。

選ぶなら1981年6月以降のマンションを 

築20年以上のマンションを選ぶ際にも、基準があります。

1981年6月に建築基準法施行令の改正によって、新耐震基準法が施行され、この日以降に建てられたマンションには全て新耐震基準法が適応されています。

1981年よりも前のマンションは、この耐震基準法がクリアされていない建物もありますので注意が必要です。

 とはいえ、1981年よりも前のマンションでもしっかりとした地盤の上で頑強に建てられているものもあり、旧耐震基準の建物だから地震には耐えられないとは一概に言えません。

ですので、マンションを見学する際には、構造についてもしっかりとチェックしましょう。

リフォーム、リノベーションを視野にいれた確認

物件購入後にリフォームやリノベーションを考えていらっしゃる方は、水回りの確認も大切です。

水回りの移動が可能か、バリアフリー化が可能かなども大事なチェックポイントです。

また古いマンションの中には、廊下幅が800mmに満たないものもあります。

廊下幅が800mm以下ですと、車いすで廊下を通ることができません。車いすが通ることを考えますと、できれば900㎜廊下幅は欲しいところです。

廊下幅が狭い場合は、廊下の拡張工事が可能かどうかも確認しましょう。

空き家マンションの場合は、長年電気や水道を使っていないことも考えられますので入念なチェックが必要です。

インスペクションを利用しよう

平成25年6月に国土交通省により「既存住宅インスペクション・ガイドライン」が定められ、欧米では一般的とされるインスペクションが、日本国内でもだいぶ一般的に活用されるようになってきました。

インスペクションは、「住宅診断」「建物検査」「建物現況調査」など名称は様々ですが、中古マンションや、空き家マンションの購入前に、建物に精通したインスペクターに第三者的な立場で、建物の劣化状況や欠陥の有無などを調べてもらうことで、購入後のトラブルを避けることができます。

 素人が一見しただけでは分かりにくい住宅の欠陥も、費用はかかりますがインスペクターに調べてもらうことにより、安全にマンションを購入することが可能です。

マンションの建物自体もチェックする

管理組合の運営状況にも注目する

中古マンションや空き家マンション購入時に、最も確認しなければならないのは管理組合の運営状況です。

管理組合がきちんとと機能していないマンションは、管理費の長期滞納者などが存在します。

できれば、マンションの購入前に管理費や修繕積立金の滞納状況なども確認するとよいでしょう。滞納者が多い場合は、修繕工事や建て替え工事の際に積み立て費用が足りず工事ができない…などのトラブルが予想されますので、どんなに価格が安いマンションでも購入は考えものです。

共用部分の確認

マンションの共用部の確認も、しっかりとチェックしましょう。共用部分である玄関やバルコニーは、個人ではリフォームできません。

また、エントランスやエレベーター、防犯カメラ、マンション全体のセキュリティなども重要です。

古いマンションの場合、エレベーターに担架や棺を横にしたまま乗せることができず、棺を5階から非常階段を使って担いで下すことになってしまった…など大変な思いをする場合もあります。

マンションのセキュリティについても、ご自分の希望に合ったものかどうかしっかりと判断しましょう。

マンションのルールは要確認  

住んでみて案外困るのは、マンションのルールです。

ゴミの出し方やペットの飼育について、また楽器の使用の有無なども確認が必要です。

知人のマンションでは、朝10時から夕方18時までしか楽器を鳴らすことができず、中学生の娘さんは部活があり帰宅が18時をすぎることがほとんどのため、楽器練習のほとんどがヘッドホンをつけての練習となり、せっかく楽器可のマンションを購入して住んでいるにも関わらず、楽器の音を出して演奏することができないと嘆いていました。

 また共用部の掃除当番などがあるマンションもありますので、事前にマンションのルールについて確認が必要です。

注意したい災害リスク

マンション購入前に見落としがちな点として、災害リスクの確認があります。

最近では大型台風による川の氾濫などにより、水害が大きなニュースとなりました。

国土交通省のハザードマップなどを参考にするだけでも、災害リスクを減らすことができます。また、犯罪情報マップなどをみることで、地域の治安についても判断することができます。

参考:ハザードマップポータルサイト|国土交通省

参考:犯罪発生マップ ぼうはん日本|全国読売防犯協力会

中古マンション購入する際のメリットと注意点

中古マンションを購入する際のメリット

駅近など立地を豊富な物件から選べる

中古マンションの購入を検討する場合、数ある中古マンション物件の中から希望の立地にある物件を選ぶことができるのです。

中には、ずいぶん前に建設したマンションだからこその好立地に建っているものなどもあります。

また新築マンションと違い、実際の部屋を見学することができますので、部屋の状態や実際の広さや、部屋の明るさ風通しなど実生活さながらに体験することが可能です。

不動産会社の仲介のもと購入するのでトラブルが少ない

中古マンションの購入をする際に、多くの人が利用するのは不動産会社です。

不動産会社の紹介で内見などができますので、基本的な情報は不動産会社を通して知ることが可能です。先ほども紹介しました管理組合の運営状況など、直接は聞きにくい内容のものでも、不動産会社を通してであれば質問しやすくなります。

瑕疵保険を利用することができる

中古マンションを購入する際に、一番不安に思うのが住んだ後に発覚するトラブルです。

そのトラブルを回避するために利用できるのが、この瑕疵保険となります。

瑕疵保険に加入するためには、建物が新耐震基準に対応した建物であることが前提条件ではありますが、中古マンションを購入後に不具合を見つけた場合、保険金で修理等ができます。

ただ、この瑕疵保険の契約書の中には『引渡し後3ヶ月以内』という条項や、『売り主の瑕疵担保責任を免除する』などが条項が書かれている場合もありますので、契約する際には隅々まで読み納得してから契約をしましょう。

中古マンションを購入する際の注意点

見落としがちな初期費用   

中古マンションを購入する際に、物件価格にばかり目がいき、見落としがちなのが初期費用です。

初期費用とは、頭金と諸費用のことを指します。

中古マンションの頭金は、物件価格の1~2割ほど。諸費用は物件価格の6~13%と中古マンションの場合、新築マンションよりも高いです。

この初期費用は、現金で支払う必要があります。

いざ購入しようと思った際に、初期費用も間違えてローンに組み込んで計算していたために、現金が用意できず購入が出来ない…などという場合も。

また、諸費用の中には仲介手数料も含まれます。

新築マンションと違い中古マンションの場合、物件価格の3%の仲介手数料が必要となります。

マンションによっては新築と価格が変わらないものも

中古マンションの中には、築浅物件やその他土地評価の高い場所では、新築マンションと価格が変わらないものもあります。

この場合、初期費用は新築マンションよりも中古マンションの方がかかりますので、新築よりも割高になってしまうことも。

信頼できる不動産屋に出会えないと手数料等が高くなる場合も

中古マンションの仲介は不動産会社がほとんどなのですが、中には法外な手数料を上乗せしてくる業者もいます。賢く中古マンションを手に入れるためにも、物件の市場価格を知ることが大切です。

近隣の似たような条件の物件が、過去いくらぐらいで取引されたのかを調べるだけでも、市場価格を知ることはできます。

騙されないためにも、しっかりと物件の価値を見極めましょう。

空き家マンションを購入する際のメリットと注意点

空き家マンションを購入する際のメリット

中古マンションよりは低価格で購入ができる

空き家マンションは、物件価格0円や100万以内の価格などがあるため、中古マンションよりも低価格でマンションを手に入れることが出来ます。

また、低価格ゆえにリフォームにお金をかけたり、フルリノベーションしたりすることも可能です。

自治体にもよりますが、リフォームに補助金などが出る場合もありますので調べて利用しましょう。

駅近など立地の良い物件に出会えることも

空き家マンションの中には、築30年以上のものなどもあり、今や開発ができない地域の思わぬ駅近物件に出会えることもあります。

空き家マンションは、数は少ないのでなかなか希望条件の物件を探すことは難しいですが、出会えた時は割安感のある、良い買い物となります。

空き家マンションを購入する際の注意点

家財が残ったままになっている場合がある

空き家マンションの難点の一つ。前の所有者が残した家財道具…残置物などの処分です。

空き家の購入は、直接家主と交渉しますので、こうした残置物の処分は空き家の購入者負担となります。

中古マンション購入にくらべると、残置物の処分だけでも大分手間がかかります。

購入後に不具合があっても自己負担で修繕しなければならない

空き家マンションの取引は、先ほども書きましたように家主と購入者の直接交渉です。

そのため購入前のチェック時には綺麗に見えた水回りが、実は水道管が腐っており大規模な改修工事を必要となることも。その場合は、購入者が自己負担で工事を行う必要があります。

せっかく物件を安く購入したとしても、こうした家の修繕に何百万もかかってしまい、中古マンションを買ったのとあまり価格が変わらなかった…などという場合もあるのでインスペクターなど専門家の事前チェックが必要不可欠です。

不動産業者が関わらないので取引時にトラブルになる場合も  

空き家マンションの取引は、基本的に個人間の取引の為トラブルも多く、やり取りをしているうちに住むことが嫌になり手放してしまう人もいます。

せっかく低価格で空き家マンションを手に入れられても、これでは意味がありません。

そんな場合は、多少お金はかかりますが不動産業者に空き家の売買仲介を委託するのも一つの手段です。

大倉りょう
この記事を書いた人
雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。