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東京・地方の空き家活用施策事例紹介 自治体の制度を利用した賢い空き家対策とは

東京都の自治体で行っている空き家活用事業

東京都 空き家の現状

東京都内も平成25年の調査では総世帯数約650万世帯に対し、住宅ストック数は約735万戸。世帯数に対して住宅ストック数は1.13倍。この数字からも空き家が増える原因が見えてきます。

また長期不在や取り壊し予定の空き家は、平成20年と比べれば少なくなっているものの、平成25年時での調査では約15万戸は不在などの空き家が存在しているとのこと。

そんな空き家の現状を打破するために、都内にある各自治体では様々な対策を打ち出し、空き家の減少を目指しているのです。

とはいえ、一括りに都内と言っても、各自治体によって制度は様々ですので、ここからは主だった自治体の補助や制度についてご紹介致します。

東京都の補助金等、実際の条例を紹介

ここではまず、東京都の自治体で行っている空き家活用事業などについてご紹介します。

助成金について、それぞれ年度ごとに予算を組んでいるため、予算を使い切ると期限内でも助成への申し込みが中止となる場合がありますので、ご注意下さい。

空き家改修費補助金

大田区「空家等改修費補助金」≫

大田区では、空き家の改修費に対し、補助金が出ます。令和2年度分の募集は7月31日で終了してしまいましたが、年度ごとに予算枠の中でこうした募集が出ますので、チェックしてみるといいでしょう。

ただし、この大田区の空き家改修費用は、個人住宅用ではなく、事業用に使用する場合の改修費用(上限200万円まで)となります。

そのため、空家等地域貢献活用事業に登録された団体や、その他社会福祉法人団体などであることが前提とされています。

その他にも工事などに要件が設定されているので、空き家を使って事業を始めようと思う場合は、是非とも申請して見て下さい。

また、大田区では空き家のマッチングサービスも行っているので、事業をやる予定はないものの、誰かに所有している空き家を活用してほしいと思う場合は、問い合わせてみると良いでしょう。

参照:https://www.city.ota.tokyo.jp/boshu/akiyajyoseiboshu.html

大田区空き家マッチングサービス

https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/sumai/akiya_katsuyou.html

台東区「東京都台東区民間住宅活用モデル事業」≫

台東区では戸建ての空き家を利活用するため、子育て世帯向けの賃貸住宅として貸し出すことを条件に、改修費用の一部補助を実施しています。

台東区内に所在する空き家で、補助金申請時点で人が居住しておらず、住宅部分の延べ床面積が50㎡以上あることを条件としています。

それ以外にも新耐震基準法の制定された1981年6月以降に建てられたものであるか、もしくは改修工事の際に別途耐震改修工事を行うなどもあります。

でも耐震については、賃貸として貸し出すのであれば必ずクリアしなければならない問題なので、特別な条件ではありません。

補助金の額は、補助対象費用の2分の一(補助限度額は50万円)です。

こちらも受付期日などがありますので、詳しくは台東区のHPをご覧ください。

参照:https://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/kenchiku/akiya/akiyamoderu.html

世田谷区「空き家等地域貢献活用」≫

世田谷区では、空き家を地域の資源と考え、地域貢献活用を目的とした空き家活用であれば、様々な条件があるものの、改修費用や初期投資費用として使用することのできる補助金(最大で300万円)に応募することができます。(世田谷区にて審査があります)

また世田谷区では、所有者が空き家を提供することで活用する団体とのマッチングサービスも行っていますので、自分で活用を考えていない場合でも空き家を持て余しているようであれば、相談することがおすすめです。

こちらも令和2年度の応募要領の配布は終わっていますが、年度ごとに事業計画をチェックして見て下さい。

参照:https://www.setagayatm.or.jp/trust/support/akiya/model.html

墨田区「老朽危険家屋の除却費等助成制度」≫

墨田区では、管理不全に陥り老朽化が進み危険と判断された空き家への除去費の助成があります。

老朽し危険な状態の空き家に対して、除去工事に必要な費用について上限200万円まで助成されます。

助成後は、10年間跡地を区へ無償貸与することとなります。

参照:http://www.city.sumida.lg.jp/anzen_anshin/kurasinoanzen_ansin/akiya-taisaku/roukyuukaokuzyokyaku.html

江東区「老朽建築物の除去助成」≫

江東区でも平成30年度から老朽建築物の除去助成をおこなっています。

1971年~1981年までの木造住宅に限りますが、条件が合えば50万円まで助成金の使用が可能です。また更地にしたあとに、新しく建物を建てる場合には「フラット35」地域活性化型も利用できるため、非常に古い空き家に優しい制度となっています。

参照:https://www.city.koto.lg.jp/395104/machizukuri/kenchiku/kowasu/83146.html

杉並区「老朽危険空家除去費用の助成制度」≫

杉並区の場合は、特定空家等や特定空家等に準じる不良住宅において、空き家の除去工事費の80%まで助成されます(限度額は150万円まで)

条件はありますが、申請者は個人の所有者を条件にしているため、空き家の解体を考えている場合は大いに活用できる助成金です。

参照:https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/sumai/akiya/1028839.html

不燃化特区制度※令和2年度まで

東京都都市整備局では、令和2年度まで「不燃化特区の制度」という取り組みを行っています。

この制度では、不燃化特区に指定された地域では、老朽建築物の除去費が助成され、さらには、建て替える際に必要な、建築設計及び工事管理に要する費用も助成されます。

助成を利用したい場合は、下記のHPから不燃化特区制度のパンフレットをダウンロードし、指定地域の確認をしましょう。

参照:https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/mokumitu/seido.html

他にも空き家で使える制度など

空き家で使える制度は、他にもあります。空き家の活用方法の一つとしてご覧ください。

文京区すまいるプロジェクト

すまいる住宅とは、高齢者・障がい者・ひとり親の方のための住宅です。

通常の賃貸物件の場合、高齢者というだけで、入居を拒否される場合がありますが、文京区すまいるプロジェクトの場合は、拒否されることはなく入居が可能でセーフティーネットの役割を果たします。

空き家を賃貸用にリフォームし、さらに区が求める設備要件を満たすことで、区から毎月助成金がでるのです。

リフォーム費用はかかりますが、賃貸として貸し出した後に助成金が毎月入金されるので、空き家の活用方法の一つと言えます。

参照:https://www.city.bunkyo.lg.jp/tetsuzuki/jutaku/sumairuzyuutaku.html

住宅リフォーム助成金

世田谷区「環境配慮型住宅リノベーション工事への補助金」≫

ほとんどの住宅リフォーム助成金は、リフォーム予定の住居に1年以上の居住し続けていることなどが条件のため、相続した空き家で住宅リフォームの助成金を利用することはできませんが、世田谷区の場合は、世田谷区民である必要はありますが、居住していない賃貸住宅でも環境配慮型住宅リノベーション工事への補助金を利用できます。賃貸物件であることの証明などは必要ですが、条件が合えば長期空き家状態の家を相続した場合でも申し込みが可能です。ちなみに、世田谷区がおこなっている他の補助金との併用は基本できません。

参照:https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/002/001/001/d00143536.html

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大倉りょう
この記事を書いた人
雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。