【セルフリノベーション】生まれた町、育った家だからこそ見つけられた《本当に大切なもの》
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【セルフリノベーション】生まれた町、育った家だからこそ見つけられた《本当に大切なもの》
ご両親が建てた想い出の詰まった大切な実家。
新築の香りに包まれて子ども達は成長し、やがて結婚。
学校や仕事、生活の利便性を求めて実家を離れて数十年。
いつか「実家をどうするのか考えないといけないな」と思いながらも日々の生活に追われていると、突然”その日”はやってきます。
空き家となった実家。活用・売却・処分・・・悩んでいる間にも維持管理費はかかり、人が住まなければ老朽化は加速します。
今回は”活用”の中でも「セルフリノベーション」×「二拠点生活」にフォーカスをして、ノウハウをまとめてみました。
最後の項目では、セルフと業者によるリノベーションを組み合わせて、ご実家で快適で自分らしい生活を手に入れた西村さんご夫妻のインタビュー記事にリンクしています。
ご実家をどうするのか悩まれている方にとっては、リノベーションして活用するという選択肢が見えてくる記事になっております。
是非、最後までお読みください。
実家が空き家になってしまうケースは、主に2つのパターンがあります。
私自身もそうですが、親にはいつまでも元気でいて欲しいという気持ちがあり、その裏にはいつまでも昔のままの親でいてくれるという願望が含まれています。
しかしながら、現在の日本は未曽有のスピードで超高齢社会を迎えています。
人間は年齢を重ねれば、いずれは要介護状態になります。
ですが、昔ながらの建物は、間仕切り・土間・畳など高齢者が一人で生活をしていくには不便な造りになっています。
現在、日本では80歳以上の高齢者の持ち家率が8割を超えています。また、一世帯当たりの住宅数は1.16%と家が余っている現状です。
親世代である団塊の世代が2025年に後期高齢者となり、日本の空き家問題はさらに深刻になります。
近隣に空き家があることで、地域の景観や防犯、価値低下など多くの影響を及ぼします。
ご実家を相続するかしないのか、相続した場合にどうするのか。
”いつか”ではなく、自分事として考えるきっかけに繋げて頂ければ幸いです。
実家が空き家になってしまうケースをこれまで紹介してきました。空き家をどうするか悩んでいる間にも所有者にかかる負担があります。具体的にどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
Ⅰ:自分で維持・管理する場合
ご実家を相続した方が管理する場合にかかる経済的負担は以下のようなものがあります。
⓵固定資産税
→1月1日時点で所有者として登記している方に支払義務があります。
②都市計画税
→ご実家が市街化区域内にある場合、都市計画税の支払義務があります。
③火災保険
→必須ではありませんが、空き家ならではのリスクへの対策として加入しておくことが望ま しいです。
④水道光熱費
→掃除や換気など、維持・管理の際に使用する場合は契約しておく必要があります。
⑤修繕にかかる費用またはそのための積立金
→建物は時間の経過とともに老朽化していきますが、人が住まないと加速します。また、給 水設備などは人が住んでいたとしても、平均して10年を目途に補修工事が必要になりま す。
Ⅱ:専門の空き家管理サービスに委託する場合
ご実家が遠方にあるなど、ご家族が維持管理を行うことが難しいケースも多くあります。
そのような場合に便利なのが「空き家管理代行サービス」。費用はかかりますが、あなたに代わって空き家管理に必要なことをしてくれます。
相場はサービス内容・オプション、巡回頻度、作業にかかる時間によって大きく変化しますが、換気、郵便物の回収など基本的なプランであれば月々5,000円~10,000円程度が相場になります。
この他に、雪深い地域では雪かきや雑草が生い茂っている場合の剪定、水の凍結を防ぐための水抜き、ハウスクリーニングなど、業者によってサービス内容は異なります。
相続が決まった段階では持ち回りで管理をすることになっていても、親族によっては遠方であることが負担となり、結果的に限られた人だけが管理をするケースは珍しくありません。
交通費や個々の環境を踏まえてよく話し合うことが大切です。
空き家は最低限の維持管理をしていればいいわけではありません。例えば、雑草は半月で2m程度になるものもあり、隣接する敷地へ迷惑がかかります。
また、ご近所への挨拶など”顔が見える関係性”を築いておかないと、空き家であることが原因でトラブルが発生した場合の対応が難しくなります。
深刻化する日本の空き家問題に対し、行政が指導・勧告を経て強制代執行が可能となりました。家族で持ち回りで空き家の換気や清掃をしていても、法律上「特定空き家」と見なされれば、固定資産税や都市計画税の優遇措置が適用除外となってしまいます。
こうなると、固定費が最大で6倍に跳ね上がり、賃貸など収益化していない場合は大きな負担となります。
ご実家から離れて暮らせている場合、ご実家をどのようにしていくのかを考えておくのは早いに越したことはありません。
前項で解説してきたように、家は人が住まないと老朽化が加速度的に進みますし、そのままにしていても維持・管理費がかかるだけだからです。
では、具体的にはどのような方法があるのでしょうか?
大きく分けて以下の3つの方法があります。
活用にも建物と土地の活用、建物を処分して更地にしてからの土地活用とがありますが、建物の処分にかかる費用は後で詳しく触れますが決して安くありません。
もちろん、リノベーションをするとなればお金はかかりますが、綺麗になればかかった費用を上回る費用を回収することも可能になります。
また、セルフリノベーションやDIY可能物件として貸し出すことで、リノベーション費用そのものを抑えるということも可能です。今回お話を伺った西村さんご夫妻(※編集部にてインタビュー全文リンク挿入)も、業者による施工とセルフリノベーションを組み合わせたおひとりです。
活用についてもご自身やご家族では難しい場合でも、人に貸す、地域に貸し出すなど活用方法は1つではありません。ここ数年で築古物件の魅力を発信する企業や、活用したい人と所有者を繋ぐサービスが増えてきたことも追い風になっています。
中でもDIY可能物件は若い世代で人気があり、所有者としてもリノベーションなどを借主が行ってくれるというメリットがあります。
現在のお住まいがあってご実家の維持・管理費を支払う経済的負担が大きい場合、売却を検討される方が多いと思います。
売れれば固定費の支出が抑えられ、一時的にまとまったお金が入ってくるのが最大のメリットではあります。
しかしながら、日本の中古市場はここ数年で少しずつ動き始めてはいますが、まだまだ新築信仰が根強く、築年数が31年を超えると想定した金額で取引をできることは難しいのが現状です。
空き家となっている期間がかなり長く、修復費用が大きい場合は処分を検討される方もいらっしゃいます。
家の処分は期間としては1カ月程度と比較的短期間で済ませることは可能ですが、処分や解体にかかる費用は意外と安くありません。
造り | 単価/坪 |
木造 | 40,000 |
鉄骨造 | 60,000 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 70,000 |
浄化槽の除去 | 一個あたり50~80万円 |
参考:空き家の片付けにかかる費用は?アプリやサービスを活用して安く抑えるコツを解説 | 空き家活用ラボ – パート 2 (aki-katsu.co.jp)
日本の建物の延べ床面積平均が35坪程度なので、木造でも140万円、鉄筋コンクリート造の場合は250万円程度かかります。さらに、道路との高低差が大きい場合や、狭い路地で重機が入れない場合等、人手がかかる場合は追加費用が発生します。
解体する理由にもよりますが、個人にはかなりの負担です。ただし、一部の自治体では解体・除却について費用の助成を受けられる場合があります。
一度壊してしまった建物は二度と元には戻りません。これが、処分の最大のデメリットになります。
活用・売却・処分を簡単にまとめてきました。維持管理費の負担から売却・処分を最初に検討される方が多いですが、長期的な視野に立つと”活用”することのメリットは非常に大きなものとなります。
思い入れのあるご実家の場合、どうにか残して活用をしたいと思ってはいても具体的な費用や方法を調べるだけで途方に暮れてしまうということも・・・。
今回はそんなお悩みをお持ちの方にとって力強い先輩となる、西村聡子さんご夫妻に取材させて頂きました。
西村さんご夫妻は相続されたご実家を、「業者」と「ご家族によるセルフリノベーション」を組み合わせて施工し、素敵な暮らしをされています。
リノベーションを悩まれている方にとって”そこのところどうなの?”と、気になる部分をかなり突っ込んでお話を伺いました。大変参考になる記事になっていますので、是非インタビュー記事本文をお読み下さい。
ここでは、その一部分をご紹介させて頂きます。
取材対象者様プロフィール福岡県直方市で生まれ、三姉妹の末っ子として育った西村聡子さん。結婚後はご主人のご実家があった関西へ。2015年6月に当時築35年、ご両親が建てた家をリノベーションする。イラストレーターとして活躍されながら、Facebookでリノベーションの様子を投稿。 |
文中に挿入する写真イメージ:・お家を背景にご夫妻が立っている写真 |
福岡県直方市で三姉妹の末っ子として生まれ育った西村聡子さん。お父様がご実家を建てられたのは、聡子さんが中学2年生の時だったそうです。
月日は流れ、お子様はそれぞれ結婚され独立。ご実家にはご両親が残りました。
そのご両親がお亡くなりになり、空き家となったご実家をどうするのか、話し合いは難航。
「大きな家だったので売却も検討していました。浸水がしやすい土地だったので半年くらい悩みました。」
最終的には、ゆっくり落ち着いたところ住もうと、中古物件でリノベーションできるところを探していた西村さんご夫妻が継ぐことになりました。
元々セルフリノベーションに挑戦したいという気持ちがあった西村さん。建築士のご友人もこのくらいなら自分でやるでしょうという感覚が分かり合える仲だったこともあり、予算内に収めるために自分達で行う部分と業者でしかできないことを都度話し合って進めていきました。
リノベーション全体を通じて一番大変だったことは?の質問に「業者には頼まず姉妹で親の一戸分の荷物をすべて出して、そこから友人と共に運び出して処分したことが一番大変でした。」と語ります。
お子様やお友だちも総動員してのセルフリノベーションや、リノベーションに欠かすことのできない資金繰りなど、沢山の質問に誠実に答えて下さっています。
インタビューの全編はこちらからお読みください。
(※編集部にて、西村さんインタビュー全文記事のリンクを挿入)
親が家を所有している場合、いつかは「実家をどうするのか」という課題が訪れます。放置していても、維持管理を行っていてもかかる費用。
家族のことを考えると今すぐ引っ越しをするという選択が難しい場合や、住もうにも空き家であった期間が長いほどリノベーションは必須となります。
そんな時、私は西村さんの言葉を想い出します。
「自分達で何とかしたいと思ったら、周りの環境も一緒に動き始めた。(自分が)本気になれば必ず周りが助けてくれる」
売却も活用も道のりは簡単じゃない。ただ1つ確かなことは、壊したものは戻らないということ。
西村さんご夫妻が”残したい”と決めてリノベーションをした立派な家。柱に刻んだ子や孫のの背比べ。今は娘さんの部屋で静かに時を刻みます。
今回お話を伺った西村さんご夫妻のように、リノベーションを施せば家は長持ちします。直ちに住む予定が無ければ、期間を限定した賃貸や、レンタルスペース、そして二拠点生活など活用の幅は大きく広がります。
この記事を読まれている読者の皆様にも、将来的にご実家をどうするかお悩みの方も多いと思います。売却や処分ではなく、リノベーションをして活用するという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。