住んでいない空き家の活用方法として、近年「民泊」という選択肢が人気を得ています。
民泊新法が施行されてからは以前よりも手続きがシンプルになったことで、旅館業と縁のなかった方でも取り組みやすくなったためです。
民泊というと「外国からの旅行者に宿泊先を提供する」ものとしてとらえがちですが、宿泊者は旅行者だけではありません。
最近では体験学習とセットで修学旅行の宿泊先として選ばれることもあり、地域活性化にポジティブな影響を与えています。
今回は、空き家を修学旅行民泊の宿泊先として活用する方法、メリット・デメリットについて詳しくお話しします。
修学旅行民泊とは、小・中・高校生の修学旅行の宿泊先として民泊施設を利用することです。
修学旅行の宿泊先といえば、旅館やホテルをイメージされるかもしれません。しかし、「2泊のうち1日は旅館で1日は民泊」といった修学旅行を行う学校も、現時点で少数ではあるものの存在します。
日本修学旅行協会の「教育旅行年報2017」によると、2017年の修学旅行の宿泊先割合はホテルが54.2%、旅館が35.7%と大部分を占めるものの、「農山漁村民泊」が前回の3.7%から4.9%とこれまでの最高値となっています。
農山漁村民泊は都市部での民泊とは異なり、主に農業・漁業などの一次産業を始めとして伝統や歴史に触れ、地域住民のリアルな生活を体験する民泊です。
一部の学校では農産漁村民泊を通じて、生徒・児童に普段できない体験をさせることを目的として民泊を宿泊先として取り入れています。
修学旅行民泊の受け入れは地域協会を通して行い、近隣の地域で連携して同性の3〜4名ずつを受け入れるのが一般的となっています。
修学旅行はあくまでも教育の一環として行われるものです。
そのため修学旅行の宿泊先として選ばれるには、「体験を通じた学習」と「安全管理」が必要となります。具体的には下記のような項目が重要です。
【体験を通じた学習】
【安全管理】
これらの項目を、実際に修学旅行民泊を受け入れている地域の取り組みと照らし合わせて具体的にイメージしてみましょう。
沖縄の伊江島は修学旅行民泊を「伊江島民家体験泊(教育民泊)」とし、観光協会が中心となって積極的に受け入れています。
体験を通じた学習ではサーターアンダギー作り、釣り体験、芋掘り体験、琉装体験、島にんにく収穫体験、ポニー飼育体験など、民家やグループごとに様々なプログラムを提供。地元の人たちの伝統的な暮らしを肌で感じることができます。また、太平洋戦争の戦跡を通して、平和学習も行なっています。
「伊江島をもうひとつのふるさとに」というメッセージに沿って「お客様扱いしない」民泊を行い、学生との交流を深めています。
多くの修学旅行生を受け入れている伊江島だからこそ、安全面や緊急時の連絡網もしっかりと準備しています。「緊急フローチャート」を作成し、万が一のトラブルが発生したときの対応を定めているからこそ、安心して民泊を利用できるのです。