空き家を相続し、思い出のある実家だからなんとなく残しているけど、毎年固定資産税や「特定空家」にしないための管理費もかかる。
空き家を活用するつもりもないから、本当は手放したいけれど、お金もないので家の中の家具など残置物の処分や家を取り壊すこともできない…。
そんな時は、自治体の制度を賢く利用すれば、安く空き家を手放すことが可能です。
空き家を手放すために、どのようにして売却や引き渡しをするのがいいのか、各自治体の事例を参考に答えを導き出します。
国土交通省によって2013年に発表された「空き家の現状と課題」によると、空き家の総数はこの20年で倍増しており、「賃貸用又は売却用」の空き家増加率は減少しているものの、「その他の住宅」の増加率は増大している状況です。
「その他の住宅」とは、いわゆる戸建てや、マンションなどの住宅で、転勤、入院などのために居住者が長期にわたって不在しており、今現在人が住んでいない住宅のことを指します。
令和2年の12月末には、新しい調査報告が上がる予定とされていますが、年々空き家は増加の一途をたどっているのです。
家は、人が住まないことで傷みます。
「誰も住んでいないのだから、家が傷まないのではないか?」と思い違いをされる方もいらっしゃいますが、空気の入れ替えがおこなわれないことで、空中に舞っていた塵やホコリが床などに溜まります。すると、そのホコリなどを餌とするカビが発生し、壁などを侵食し、壁紙がはがれたりすることがあるのです。
また、締め切られた空間の中では寒暖差による湿気などで木部が腐り、最悪の場合は天井や壁などが崩れ落ちてくる場合も。
さらには家の中だけではなく、戸建ての場合は庭や玄関前などに雑草が生い茂り、害虫、害獣の巣になり近隣の迷惑となります。
こうした家の劣化は、自治体から「特定空家」と認定され、固定資産税が6倍になってしまうのです。そうならないためにも、空き家を放置することなく管理や売却、活用をしていかなければなりません。
空き家問題への取り組みとしては、空き家を自分で活用する方法や、管理する方法などもありますが、この記事では空き家を売却する方法をご説明致します。
空き家は売却することができれば、固定資産税もかかりませんし、管理するための年間コストも削減することもできるのです。
空き家を賢く売却するための方法を、見ていきましょう。
空き家の売却方法として、古家を壊し更地にしてから売却する方法があります。
更地にするメリットしては、古家があるよりも土地として売る方が買い手も付きやすく、土地に価値があれば、ある程度利益を得ることも。
ただ、デメリットとしては古家を壊してしまったことにより、「住宅用地特例」が適用されれず、土地にかかる税金として固定資産税が6倍となり、都市計画税は最大3倍になってしまいます。
もちろん古家を壊しても、土地を即日売ることができれば大した問題ではありませんが、土地にあまり価値がなく、100万近くの費用をかけてせっかく更地にしたものの何年も買い手がつかず逆に税金だけあがってしまう場合があるため、多くの人は古家を残した状態で売却しようとするのです。
古家付きで売却することの最大のメリットは、古家の解体費用などがかからないことです。
また建物があることで、「住宅用地特例」により、固定資産税は通常の税額より6分の1となり、都市計画税についても優遇されます。
デメリットは、古家があることで買い手が付かないことでしょう。そのため売却までにかなりの年月がかかる場合も。
先日、私の義実家も「古家つき土地」として売却しましたが、義理の父が亡くなってから実に3年もの月日がかかりました。
ようやく空き家を売却することができ、少々利益も出たしよかったなぁ…などと思っていたらやってくるのが、売却にかかる税金です。
家を売却した場合、その利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」がかかります。
譲渡所得税は、所有している年数によっても%が違います。
5年以上所有していた場合は、譲渡所得税が15%、住民税は5%ですが、5年未満ですと譲渡所得税は30%、住民税は9%です。
とはいえ、利益が出なければかからない税金ですので、空き家売却の場合は新築時の価格を上回る金額で売れることがまれですので、あまり心配しないでもいいでしょう。
通常は、投資用マンションなどを買い、5年所有したのちに売り払うことを視野にいれた投資家の人などにこの税金は適応されます。
また、空き家には譲渡所得の3000万円特別控除などもあります。
空き家を売却した場合、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」によって、譲渡所得から最大3000万円控除が可能に。
もちろん、この控除を受けるには様々な「適応条件」がありますが、もしも空き家を売却して、新築時よりも利益が出るようであれば、この控除を使って節税することをおすすめ致します。