4年連続マンションの供給数が3万戸を超え、供給は増えているにもかかわらず、今なぜ高級マンションの価格の下落が危ぶまれているのでしょうか。
理由の一つとして、世田谷区ではマンションの空き家率が12.8%となり、その他の地域でも空き家率は上昇していることなども上げられます。
また、投資用の高級マンションも転売が難しくなり、オリンピック前にどう売りぬくかがカギとなっているのです。
今回は、そんな高級マンションの危機を詳しく解説し、売り方ポイントなどもご紹介致します。
昨年の2019年5月30日(木)に放送されたNHKの「クローズアップ現代」にて以下の特集がありました。
「“都会のマンション”に異変!あなたはどうする?」
この中から「マンションの供給数」と「管理費問題」について考えると2050年空き家化問題が見えてくるかと思います。
現状は、夏の2020年オリンピックを控え、高級マンションバブルきています、しかしこのバブルは崩壊も近いと言われています。
2020年夏のオリンピック開催に向け、どこも新築マンションの建築ラッシュです。
その中でも晴海の選手村マンション「HARUMI FLAG」は総戸数4145戸。想定入居者数は1万2千人以上と過去最大級です。商業施設、保育施設、小中学校も建設予定でコンパクトシティを謳っていますが、最寄り駅までは最短で徒歩16分。また竣工が2022年の秋、入居にいたっては2023年の春となっています。
分譲タイプとはいえ、入居までこれほど長くかかるのはまれで、購入者のライフステージやローン金利の変動などにより購入価格が上昇した場合、入居間際になって手放す人が増え不動産需要の下落につながることが予想されます。
また、オリンピック後に 需要が減り一斉に売りに出され、価格が暴落する可能性もあり 、さらには選手村マンション「HARUMI FLAG」が売却されることで、市場が供給過多となり、他の高級マンションにも影響し マンション価格の暴落が起こり得るのです。
現在マンションの供給数が「4年連続で3万戸」を超えています。
その反面、都内には空き家となったマンションが5000戸もあります。
これは氷山の一角で、潜在的にはもっと多くの空き家となっているマンションがあるのでは?と予測されています。
などのケースがあげられます。
その結果、管理費を支払いされなくなりそのまま管理費を滞納してしまうことが多くあります。
修繕費用の高騰やマンションの住人の高齢化による入院や相続などでおこる管理費の滞納により、管理費で賄われているメンテナンスや修繕計画などが立ち行かなくなり、ついにはマンション全体の資産価値が下がってしまいます。
空き家率が40%になるといわれる2050年以降には、空き家マンションによる管理費不足により、建て替えができず破綻するマンションも出てくるでしょう。
それがマンションの軍艦島化です。
高級マンションを投資用不動産として見た場合、投資家の不動産売却や買い控えにより、さまざまな問題点が見えてきます。
最近新聞や投げ込みチラシなどに、億ションなどが掲載されたチラシが入っているのをご存じでしょうか。
あれは、もともとは富裕層の投資家向けに売り出された物件で、投資家たちに売ることができず、一般向けに新築未入居物件として流れてきたものなのです。
とはいえ、だれもが億ションなどを買うことはできるはずないので、結果高級マンションが売れ残ってしまいます。
「億」もするような高級マンションが売れ残っても、自分とは関係が無いと思いがちです。しかし、高級マンションが売れ残り、値段下がると不動産の市場価格が下がるため、郊外のマンションの値段も下がります。
そのため、いざ自身の持つ郊外のマンション売却を考えた時に、ローンの残額に見合わない値段に下がってしまったがために、売るに売れなくなってしまう…。そんなことも起こるのです。
何故?空き家となるマンションが増えるのか、その原因の一つとして過剰供給があるのではないでしょうか?
新築マンションの供給状況と、空き家率について見てみたいと思います。
不動産経済研究所によると、マンションの供給数は2019年上半期としては3年振りの減少はあったものの、下半期は3万7,000戸前後と4年連続3万個台をキープしました。
2018年の3万7,132戸から0.4%減ではあるものの、2019年も約3万7,000戸。
それにも関わらず、総務省統計局によって発表された空き家は2018年時点で848万9,000戸。空き家率は13.6%と過去最高を記録しました。
出典:不動産経済研究所
これからは高値で売れる時代が終わり。値下がりが始まる可能性があると言われています。
これはマンションの供給数は約3万戸と一定なのに、増加する空き家率。不動産の専門家の中には、不動産が高値で売れるピークを迎えたとする意見もあります。
ピークを過ぎて高級マンションが一斉に売却されると、値下がりが始まり、高級マンションゆえに3億円から2億9千万になど、一気に千万単位の値下がりがある場合も……。
売却が加速する前に、高級マンションをどう売りぬくかが今一番注目すべき点といえます。
では実際に、高級マンションの値段が下がる要因ともなる、空き家率について検証してみましょう。ここでは空き家率の高い世田谷区と、空き家率の低い江東区を比べます。
比べることにより、マンションの現状が見えてきます。
まずは、世田谷区。23区内にも関わらず12.8%と高い空き家率です。
大手町や新宿まで1時間とかからない通勤圏内であるにも関わらず、世田谷区ではバス便利用が多いために、中古マンションが増え、空き家率が増えているようです。
平成30年に世田谷区でも空き家対策計画が立ち上がり、対策は取られていますが、依然高い数値を出しています。
同じく東京23区の江東区は世田谷区に比べ、空き家率は3.3%と低い数値です。
オリンピックに向けての競技場など湾岸エリアの開発が行われており、オリンピック会場数が最多の街として「おもてなし戦略」なども打ち出されています。
ただ、オリンピックが終わったあとに現在価格が高騰している豊洲など湾岸地域のタワーマンションは、価格が下がり危ないとされています。空き家率が低いからといって、安心はできません。
オリンピックの建築ラッシュによる人件費や材料費などの高騰 アジアの富裕層によるオリンピックを起点とした不動産投資など、オリンピック開催が近ずくにつれ様々なことが動きだすと予想されます。こちらでは不動産価値の上昇要因と下落要因を考えていきましょう。
1990年末以来の不動産バブルといわれるほど、オリンピック前に不動産価格が上昇した要因としては以下が考えられます。
オリンピック後の不動産価格の下落の要因として考えられるのが、以下が考えられます。
不動産価格上昇の要因と、下落の要因を見比べると、東京オリンピックの開催がカギとなっていることがよく分かります。これにより上がりに上がった不動産の価格崩壊は、目前といえるでしょう。
不動産価格の崩壊前に、高級マンションを売却するには、どのようにして売却するのが一番良いのか考えてみましょう。
売りにくい高級マンションには以下のものがあります。
などです。
これ以外にも、総戸数30戸以下のマンションや、長期修繕計画が実施されていない、旧耐震基準のマンション…なども挙げられますが、高級マンションの場合は上の2つが大半を占めます。
高級マンションの売却を考えるのであれば、売るための価格と戦略を考える必要があります。価格については、物件のある周辺を参考に価格を決めます。
周辺に新築物件や競合物件のあるなしも、売却戦略を考える上では重要です。
また、図面の用意、そして部屋に物がある場合は、物を無くし、より室内が美しく見えるようステージングする必要があります。
そして一番大事なことは、物件の内覧が入ったら断らないことです。
よくオーナーにありがちなのですが、立ち合いのために自己都合で内覧者を断る人がいます。これは購入者の購入意識を削ぐことになり、チャンス喪失以外の何ものでもありません。
売却方法には以下の3つがあります。
この中でおすすめしたいのは、信頼できる会社との「専属専任媒介契約」です。
一般媒介契約は一見すると間口が広いので、チャンスがありそうに思いますが、専任媒介契約の方が1社だけの取引なので、より宣伝などに力を入れてもらえます。「専属専任」にしないのは、自己発見取引も可能にするためです。
高級マンションなどを所有していると、こういったチラシがポストに入るかと思います。
売却を考えていたりすると、思わず連絡をしそうになります。でもこれは、売り物件を預かることが目的のチラシのため、連絡したら最後売却仲介を委任するはめになってしまうことも。
信頼できる不動産仲介会社を選ぶためにも、こうしたチラシで安易に決めることはやめましょう。
高級マンションは、何も売却だけが道ではありません。
周囲にニーズがありそうであれば、賃貸に出したり、所有しているマンションに住みながら、リバースモーゲージで年金変わりに活用したりすることも可能です。
参考書籍:決定版 プロだけが知っている中古住宅の買い方と売り方 著 高橋正典
*リバースモーゲージとは?
55歳や60歳以上を対象とした融資商品となります。
ただし、マンションを対象外としている金融機関も多く、マンションのリバースモーゲージの場合かなりハードルは高いです。
それでも一部金融機関では、資産価値があり、駅近、治安のよさなどの条件をクリアすれば住みながら融資してもらうことが可能です。
基本、土地評価額の50%ほどの融資ですので、ライフプランをよく考えることが必要です。
高級マンションの売却を考える際に、不動産仲介会社を見極めるポイントを紹介します。
買う側の不安を取り除く、部屋の不備などをチェックするインスペクションや、瑕疵保険、住宅履歴への対応などが可能かどうか。
これらによって購入者側が安心して物件を購入できるため、高級マンションを売却できる可能性がぐっと上がります。
物件を売るためのステージングの提案や、そのための荷物一時預かり用の倉庫などを手配できるかどうかなど、売却するための手法にはどんなものがあるのか確認することも大切です。
今は不動産会社へ訪ねてきて、物件購入の相談をする人はほとんどいません。
HPやネット広告を見て、物件に興味を持ち、内覧に来るのです。
ですので、このHPでの見せ方や、ネット広告に強い会社であることは一番大切なポイントといえます。