新型コロナウイルスの影響による破産は、この夏だけで1000社越えと言われています。そんな中、解雇などを理由にローンの支払いなどが滞り自己破産をする方もいらっしゃるでしょう。
今回は自己破産を考えていらっしゃる方へ、所有している空き家の不動産売却についてご説明致します。
自己破産は個人の経済を立て直すための前向きな制度です。自己破産の申請前に、破産管財人による任意売却と所有者自身が行う任意売却のどちらが良いのか、徹底比較致します。
自己破産とは、収入や財産などが不足し、借金などの支払いができなくなり、そうした支払い不能になることを所定の条件下で裁判所に認めてもらい、法律上で借金の支払い義務が免除される手続きのことをいいます。
この手続きによって、借金に追われることなく生活を立て直すことができるようになるのです。
とはいえ、破産したからと言って、なにもかもが免責されるわけではありません。
自己破産すると、債務は免除されますが、全てが免責されるわけではありません。ここでは免責されないものをご説明します。
滞納した税金や国民年金、健康保険、罰金などは破産しても免責されず、支払い義務が残ります。
ただ、国民年金や健康保険は免除や減額、猶予という手続きも可能になる場合もあるので、社会保険事務所や役所に相談してみるとよいでしょう。
詐欺などをはたらいて金銭等をだまし取った場合、損害賠償の支払い義務があります。
これは、不法行為をした破産者に対する、制裁として意味を持ちます。
また破産者が起こした交通事故に対する損害賠償請求権や、その他故意または重大な過失により加えた人の生命、または身体を害する不法行為に対して被害者からの損害賠償請求権についても免責はされません。
婚姻費用とは、夫婦と未成熟の子という家族が、通常の社会生活を維持するために必要な生活費(居住費、生活費、子どもの生活費、学費など)のことです。
この婚姻費用を離婚した場合などは、生活を同一にしていなくても分担する必要があります。そうした婚姻費用分担請求権は、破産しても免責はされません。
養育費は、破産しても免責はされません。
経営者が自己破産した場合などでも、従業員からの給料請求権は免責にはなりません。
破産者が、債権の存在を知りながらわざと債権者名簿に記載しなかった場合は、その債権者は免責に対する異議申し立ての機会が奪われ、防衛する機会が奪われたことになるため、非免責権となります。
ただし、債権者が破産者に破産の決定があったことを知っていた場合は、免責となります。
ここまで、自己破産した場合にも免責されない事柄について説明しました。
自己破産する際に、売ることのできない空き家などを所有していた場合、空き家を放置してしまいがちです。
でも空き家は「特定空家」に認定されると、行政執行される場合も。
行政執行とは、行政が空き家に散在する放置ごみを撤去したり、家屋が倒壊しそうな場合は撤去したりすることです。
この場合、この撤去などにかかった費用は、所有者に請求されます。
この請求は、自己破産したとしても免責されることはありません。
ですので、自己破産する場合は所有している空き家をどのように処理するかを考える必要があるのです。
では実際に、自己破産を申請した場合に所有している家や空き家はどのような対処になるのか考えてみたいと思います。
自己破産すると、裁判所より破産管財人が選任され、破産管財人が空き家などを含む不動産の売却などをします。この「破産管財人」とは何なのでしょう。
破産管財人とは、裁判所によって選任され、裁判所の指導・監督の元で自己破産の申請によって、裁判所に受理された破産者の財産を処分する人のことです。
さらに破産者の財産を処分した後は、その金銭を各債権者へ配当する手続きも破産管財人が行います。
破産管財人は大抵の場合、弁護士が行います。
破産管財人は、自己破産者に代わり売り主となって、なるべく高く不動産などを売却するために、売却活動を行います。(売却活動とは、任意売却や、競売などのことを指します)
売り主が破産管財人となるため、売り主としての権利がない自己破産者の希望などは通りません。
破産管財人のペースで売却は進められますので、それを「勝手」と感じる人もいるでしょう。
またこの際に「財産」となるもののボーダーラインは
・20万円以上になるもの
・99万円以上の現金
上記二つです。
破産管財人は、自己破産者のこれら財産を見つけ出し、売却したり現金化したりします。
破産管財人に任せると、自己破産者の希望は通らないと上述しましたが、自己破産の申請が受理されると、不動産などは破産者自身で処分することはできなくなります。
破産管財人が売り主となって処分をするため、その不動産に自己破産者が住んでいる場合などは、不動産の処分が決まり次第すぐに出てゆかなくてはなりません。
もしも、所有している不動産からの引っ越し期間を少しでもコントロールしたい場合は、破産管財人に任せることは妥当ではありません。その場合は、破産管財人に任せる以外の方法を検討しましょう。
破産管財人以外の方法として代表的なのは、自分で任意売却する方法です。
任意売却は、自己破産の申請をする前に自ら行う必要があります。