新型コロナウィルスの感染が確認されてから、世界中に広がりをみせるまであっという間でした。
感染経路が飛沫感染と判明し、手指の消毒・マスクの着用・ソーシャルディスタンスの励行など、今までの生活には無かった新しい「標準」が加わりました。
通勤もリモートワークへ切り替えが推奨される事態の中で密室で過ごす「宿泊業」、不要不急の外出について自粛が求められる中で、「観光や旅行業」の需要が激減しました。
空き家を利活用し、レンタルスペースや民泊を経営していた事業者も苦戦を強いられることとなり、新しい生活と共存するための工夫が求められています。
空き家バンクの運用を中心に行ってきた自治体も、医療施設が不足する中で臨時で利用できる空き家の調査が急務となりました。
この記事では自治体の取り組みを中心に取り上げ、コロナ禍以前と以降ではどのように変化しているか。
また、弊社のポータルサイトAKIDASを地方自治体へ無償開放した意図。自治体と協同して新しい取り組みをする機関をご紹介します。
新型コロナウィルスが世界中に影響を与えるまでは、空き家問題に対して懸念はしつつも自治体による取り組みは空き家バンクの運営がメインになっていました。
また、2014(平成26)年11月に制定された空き家対策特別措置法により指導や強制執行ができるようになったとはいえ、実際に撤去するとなると費用や住人など多くの課題が残っているのが現状です。
ここでは、コロナ禍以前の空き家に対する自治体の取り組みを解説します。
「空き家 自治体名」で検索すると、検索画面のトップページはほぼ空き家バンクで埋めつくされるので、ご存じの方も多いと思います。
ただし、その多くが自治体職員による運営のため、空き家となった物件をすぐに登録することが難しい、空き家の所有者が高齢のため仕組みを理解していないことによるトラブルなど、課題はあります。
都心や主要都市、関東圏など人口の多い地域で、イベント会社と協賛しUIJターン説明会を活発に開催している自治体も増えてきました。
移住者を募ることで、空き家問題の解決だけではなく、高齢化問題や農家の高齢化による耕作放棄地の拡大、少子化、人口減少といった問題への解決も期待されています。
コロナ禍によって開催が一時中断しているところもありますが、現在はオンラインによる 説明会の開催など、新しい仕組みを試しています。
UIJターン説明会から興味を持った人、また移住者に対して手厚い支援をしている自治体も増えてきました。
空き家は放置していれば朽ちていくだけですが、修繕をすればまだ住める物件も沢山あります。
移住者に格安もしくは無償で空き家を提供し、修繕費用の支援、就労支援、跡継ぎのいない農家への就農斡旋など、空き家問題に関連する社会的課題を自治体一丸となって解決する動きが高まっています。
空き家のオーナーにとって最も避けたいリスクが、行政による「特定空き家認定」でしょう。
2014年11月に制定された空き家対策特別措置法により、行政の権限が改善され、空き家の管理状態によっては指導・強制介入が可能になりました。
一見ネガティブではありますが、利点を見る限り、国も自治体も空き家を利活用したいという思いが感じられます。
個々のケースによっては、空き家を定期的に管理すること自体が難しい場合もあるとは思いますが、放置しなければ自治体と協力して活用することも可能です。