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空き家に寄り添うKatsuyaku木村さんのチャレンジ

空き家に寄り添うKatsuyaku木村さんのチャレンジ_空き家が繋ぐ社会へ

空き家は全国に800万件以上にのぼり今後も増え続ける。所有者も高齢化。家を手放せない理由も所有者の数だけ存在する。その“手放せない理由(わけ)”に日々接してきたKatsuyakuの木村社長も空き家の本質を知るひとりだ。

今回は、木村さん自ら空き家の所有者と一緒になって納得の空き家の処分に挑戦しました。

“空き家化”は、所有者の想いが大きく影響

「親から引き継いだ物件なんです」「資産として子供に残しておきたい」「売りたいが親族との話し合いが長引いて・・・」“空き家化”には所有者の、家族の想いが大きく影響している。

『所有者は70歳前後。10年後には子供たちは要らないというケースが増えるだろう』と木村は警笛を鳴らす。

その木村が空き家活用(株)の相談員として参加し、2019年10月に開催された大阪市住吉区共催による空き家活用セミナーで4件ほど相談を受け、その中でも長屋の物件が印象的だったという。

家の荷物が大量という“ダブルパンチ”

長屋の物件は敷地面積45.53㎡、築100年の家。先祖代々から引き継がれた荷物。さらに所有者の息子さんが事務所としても利用し、とにかく荷物だらけだったという。

木村は『空き家問題で必ず出てくる課題が“大量の荷物”。大量の荷物をどう処分して良いかわからず、いたずらに時が過ぎることが多いのです』。

住吉・長屋の物件はさらに借地の物件で、空き家でありながらも家賃も発生していた。今回相談を受けた建物の所有者からは“どうにかしたい”という強い思いがあったという。

『借地のうえに荷物が片づけられないといった“ダブルパンチ”の物件でした』(木村)

『私は面白い仕事がしたいだけなんです』(木村)

木村は2019年に大阪・吹田に売買と仲介をメインとした不動産の事業所を構えた。「今は吹田だが、田舎に空き家がある」そんな所有者の相談を良く受ける。木村本人も売りとなる物件を取りにいく営業スタイルで、空き家の扱いには慣れていた。

物件は同業からの紹介や空き家データベース「AKIDAS(アキダス)」も利用。『空き家の仲介は正直なところ、大きな利益にはならないんです(笑)』と茶化した木村だが、空き家には面白みを感じているのだという。

『空き家の領域にはまだまだアイデアが眠っている。可能性があると思うんです。小さい仕事かもしれないが、顧客の声を聞くことがアイデアの宝庫だと思うんです』(木村)。住吉の物件はとても大変だったが、アイデアを試すには最高の物件だったようだ。

『所有者と協議を繰り返し、僕たちが言った言葉は“僕たちが荷物を片づけますよ、なので全て私たちに任せてください”でした(笑)』(木村)。総量で2,3トン。結局、6か月という長い月日を重ねることにはなったが、自分たちの手で荷物の処分をやり切った。

ツイッターで「空き家片付け」を声かけ。ご近所を呼んで「無料フリマ」を開催

所有者は木村の「自分たちが片づけます」という声に納得し、そこから2ヶ月は所有者と木村(現場スタッフは横田が対応)で「これ必要?」「これ不必要?」の壁打ちが始まった。

地主からも「なんでそんなことすんねん。所有者にやらせるべき」との正論を浴びせられながらも『そんなことは百も承知。僕たちには所有者に寄り添って絶対着地してやる、という強い信念がありました』と木村は言う。

2か月で不要品の分別が完了。ジモティーに投稿するとわんさか人が引き取りにやってくる。配送の手間がこれで省けた。ご近所にお声かけして「無料フリマ」を開催すると珍しそうにやって来て持って行ってくれる。『無料でフリマをするとご近所さんが沢山集まってくる。ご近所さんへの名刺代わりにもなる』(木村)とみて、会社のアピールも欠かさない。

『片付け募集してます。みたいな告知をツイッターで呼びかけたら6名くらい集まった。空き家の問題を社会的課題として共感してくれる人が6名もいるなんて、とても感動しました。物が欲しいから参加する人もいますが、半分は“空き家の片付け、面白そう”っていう人たちでした』(木村)と、木村達が打ち出すアイデアに共感して参加する人も多い。出来るだけお金を掛けない、SNSやインターネットを駆使した木村達のアイデアは功を奏したと言える。

手数料という成果以上に大きいもの

オーナーが1人で片づけられる量では無かったという。片付け業者にお願いして手離れする方法もあったがその選択肢を取らなかった木村には強い思いがあった。「空き家って暗いイメージがある。僕は仕事を楽しくやりたいし空き家って悪くないよね、ってイメージを作りたかった。あと、単純に安くしてあげたかった。仕事の観点からみても、バザーをやって周辺にも挨拶出来る。こんなコミュニケーションの機会はめったにない、とそう感じたんです」(木村)。

6か月をかけて、荷物はきれいになった。築100年の長屋。先代から続く“荷物”が残り続けたが、最終的には売却を決断し“荷物”の処分から売却手配まで木村を信頼して全てを託した。

最終的には上物は地主へ売却。所有者からは相当感謝されたという。『6か月をかけて得た手数料は正直大きいものではなかったんです。こんなこと毎度は出来ないですよね(笑)、しかし所有者から直接話を伺い、当事者意識で空き家の課題を経験し、解決することは、いずれお金以上の価値を生むと思うんです』と、今回の取り組みに何かのヒントを得たようだった。

解決の近道は、所有者のストーリーを聞く

空き家所有者には全く同じ事例が少ないと木村は言う。『所有者には所有者それぞれのストーリーがある。全て違うんですよね。物件のことだけでなく、どういう人生を歩んでこられたのか、家族背景もお伺いしないと所有者にとってベストな提案はできない』続けて『処分、売却すると決めたら任せてほしい。新築の売買とは違って事業者も大きな利益にならないのが事実。

空き家の問題は、我々のようなベンチャーならばフットワークも軽く、所有者の課題を解決できるかもしれない』と、所有者にメリットを出せるといった強い自信を覗かせた。

少子高齢化社会になり、空き家問題はさらに深刻化を増す。そうなると空き家を処分したり手に入れたりすることが、もっと容易にできる社会が必要だと感じた。すでに人口減のシナリオは始まっている。所有者が社会の為に空き家を手放す制度などもこれからは必要ではないかと。

『そうですね。所有者も思い入れのある物件を、例えばひとり親に貸す。立派な社会貢献ですよね。お金の価値だけじゃない部分で空き家が繋がる社会になってほしいと思います』(木村)

空き家に寄り添う木村のチャレンジはまだ始まったばかりだ。

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一緒に空き家の問題を解決していきましょう。
冨永潤一
この記事を書いた人
国立大学院を修了後、会社勤務するも1年で退職。のち、26歳で起業、デザイン会社で独立。諸事情でデザイン会社を売却、33歳で上場企業のサラリーマン(部長職)に。10年程度、宣伝・販促・広報業務に携わる。2017年10月、43歳でベンチャーを中心とした広報プランナーとして従事。2年で約20社の顧問に携わる。