親から相続した荒れ果てた空き家。管理するのか、それとも自分たちで住むのか悩みますよね。 住むのであれば、リノベーションをする必要が出てくるかと思います。 今回はそんな空き家のリノベーションの中でも、資産価値を上げるための「おしゃれさ」を考えたリノベーション方法のご紹介です。 空き家を購入して住みたいと思っている人も、これを読めばどこに焦点を当ててリノベーションすればいいのかが見えてきます。
空き家の資産価値を上げるリノベーションとは、どのようなものがあるのでしょうか。多くの人は、リノベーションについて「費用」だけにスポットをあてて考えがちです。
でもただ安ければいいのでしょうか?
ここではリノベーションのメリットデメリットを考えながら、空き家にはどのようなリノベーションが必要なのかを考えます。
リノベーションをすることのメリットは、なんといっても家の資産価値が上がることです。
荒れた空き家は、資産価値が低く見積もられます。でも、荒れた部分をリノベーションすることで、建物の耐久性などが上がり見た目にも綺麗になります。リノベーションする前と立地や築年数が変わらないにも関わらず、資産価値をあげることができるのです。
また、空き家のリノベーションには、防犯の面でもメリットがあります。
家の外観を綺麗にすることで、犯罪を防ぐことも可能です。
アメリカのジョージ・ケリングが考案した「割れ窓理論」というものがあります。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」といった理論なのですが、これは空き家にもあてはまります。
みなさんも街中で見たことはないでしょうか?空き家になった家の窓ガラスが割れたことなどをきっかけに、ゴミが投げ捨てられるようになり、酷い有様になっていく様子を。
また家の損壊部分の放置するだけではなく、庭の雑草をそのままにしていたりすると、害虫、害鳥などの繁殖地になることがあります。庭だけでなく玄関前に草木が生い茂っていると、人が住んでいないことが明白となり、犯罪者や不審者が容易に空き家へ侵入し事件になってしまう場合も。
そうした見た目が著しく悪い建物は『特定空家』として認定され、税金の控除などがなくなってしまうため、家の価値がさらに下がります。
防犯効果を上げるためにも、資産価値を上げるためにもリノベーションは有効な手段なのです。
空き家のリノベーションのデメリット、それはずばり「費用がかかること」です。
空き家の築年数や状態によっては、ただの修繕をするつもりが、建物の劣化が進んでいたことで、水回りの工事から屋根の葺き替え、基礎の補強なども必要となり、2000万円近く費用がかかる場合もあります。
資産価値が上がるものの、修繕程度だと思っていたリノベーションが2000万円近くかかってしまうことは、空き家を貸し出して利益を得ようと考えていた場合に、大きなマイナスとなってしまうのです。
フルリノベーションと部分リノベーションの違いは、家全体をリノベーションするのか、それとも一部分だけリノベーションをして元の家の使える部分はそのまま使用するのかという違いです。
言葉からも分かるように、全体をリノベーションするフルリノベーションと、部分リノベーションでは費用が大きく変わります。
フルリノベーションの費用は、2000万円~3000万円ほど。
部分リノベーションの費用は、床材の張り替えは最大7万円/畳くらいで工事することが可能ですし、トイレ・キッチン・浴室なども一緒にリノベーションするとしても数十万~500万円ほどです。
家の築年数や状態によって、必要なリノベーション工事の内容は変わります。空き家に必要なのがフルリノベーションなのか、部分リノベーションなのかは、家の状態次第で自ずと答えが出るでしょう。
空き家のリノベーションをする際には、目的をはっきりとさせることが大切です。
なぜなら自分が住むつもりのリノベーションであれば、フルリノベーションして2000万円かかったとしても、新築を買うよりは安く家を手に入れられるため、デメリットがメリットへと変わります。
一方で、リノベーションで資産価値をあげてから売却をするつもりでいた場合は、リノベーションの費用が2000万円もかかってしまうと売却する値段にもよりますが、大きな負債になってしまうことも。
ですから、リノベーションする前には、空き家をどういった用途で使用をするのかを考えることが重要なのです。
その使用目的によって、ご自身の持つ空き家に求めるリノベーションがフルリノベーションなのか、部分リノベーションなのかが見えてきます。
空き家のリノベーションをする際に、優先すべきリノベーション工事は、耐震補強と水回りです。
1981年より以前に建てられた古い家は、新耐震基準を満たしていない場合が多く、新耐震基準法が定めるよりも重い屋根瓦などを屋根に積んでいることがあります。
そのような家ですと、今は大丈夫だとしても台風や地震などの何かのはずみで倒壊する危険があるのです。
また、水回りは劣化しやすいものの家を見ただけでは分からない場合が多く、いざ空き家に住んでみたものの水やガスが使えないことも。
安全やライフラインが確保できない家では、いくら外見や内装が綺麗でも暮らすことができないので、空き家の場合耐震補強と水回りのリノベーションは、外すことができないと考えると良いでしょう。
上述したことから、空き家を購入してリノベーションを考える場合は、リノベーションがしやすい空き家を選ぶことが大切です。
新耐震基準法を満たしている家でしたら、耐震補強工事は必要ありませんし、水回りが問題なく使える家でしたらこちらも余計な工事はいりません。
ではどのようにして、リノベーションしやすい家を選べばよいのでしょうか?
答えは、インスペクションを利用すればよいのです。
空き家を購入するまえに、5万円~10万円ほどの出費にはなります。しかし、インスペクションを依頼することで、耐震や水回りだけでなく、雨漏り、シロアリなどなど、家のトラブルを発見することができます。
家のトラブルが分かれば、リノベーションにどのくらいお金がかかるかも見えてきます。また、インスペクターに調べてもらった結果、空き家の購入に至らなかったとしても、トラブルを知らずに空き家を購入して、何千万単位で修繕に費用がかかってしまうことを考えれば安いものです。
自分の目的に合った空き家を手に入れるためにも、是非ともインスペクションを利用しましょう。
ここまでお話したように、資産価値を上げるためのリノベーションとは、なにも闇雲にフルリノベーションすることではありません。
自分の目的に合った空き家の利用法をみつけ、それに沿ったリノベーションをすることが、最終的には空き家の資産価値を上げることとなるのです。
相続で手に入れて、特定空家にしないためのリノベーションであれば修繕程度でいいでしょう。空き家を貸し出す場合はあえて水回りだけリノベーションをし、壁紙などはそのままにすることで、借主に自由にDIYをしてもらうこともできるでしょう。
理想の立地にある空き家であれば、購入後フルリノベーションをして新築同然の家にすることもできます。
目的によって、必要なリノベーションは様々です。
是非ご自分にあった空き家の利用目的を明確にしてから、リノベーションを選んで下さい。