新型コロナウィルスが世界中に大きな影響を与えている現在、ホテル・旅館といった業種もまた大打撃を受けています。コロナ禍以前は順調に見えた個人民泊も状況が一変しました。
ここでは、コロナ禍以前と以降に分けて民泊の実情を解説していきます。
東日本大震災で遠のいていた外国人観光客が戻りはじめ、これまで東京・大阪・京都といった一部大都市に限られていた旅行先が、「日本の原体験」を求めて地方の需要が高まっていました。
そんな外国人観光客の受け皿としてのホテル・旅館は、莫大な費用と広大な土地が必要になるため、スピードで勝る民泊を始める事業者が増加。独自のサービスも取り入れて、人気を博していました。
また、国内においても「空き家の増加」「人口の減少」「耕作放棄地の拡大」を解決する手段として、地方自治体が主導となり、農業体験や就活旅行の受け入れ先としても民泊が活用されています。
コロナ禍によって順調に増加していた外国人観光客は激減。ピーク時の1割ほどになりました。オリンピックも延期となり、五輪需要を踏まえて新たに開業した業態は苦戦を強いられています。
依然として終息が見えない中、民泊で収益を上げていくことは難しいのでしょうか。
コロナ禍以降でも、民泊が活用されるケースを考えてみました。
この項目については、後で詳しく解説していきますので、興味のある方は是非最後までお読みください。
コロナ禍以前に民泊を始める準備をしていた方、これから民泊をしていこうとお考えの方が民泊を行うにあたって気をつけなければならないポイントがあります。
民泊と民宿には法律上明確な違いがありますが、簡単に見極めるポイントは2つです。
「反復継続」して「有償」で部屋を提供しているかどうか。
この問いの答えがYesの場合→民宿
この問いの答えがNoの場合→民泊
となります。
ところが、現在ではAirbnbを始めとした民泊やユースホステルを紹介するサイトが増えた影響で、有償で主に外国人観光客や訪日客を対象とした民泊サービスを提供する事業者が増加しました。
その結果、明らかに旅館業法に該当する施設であっても、許可を取らずに営業する事業者が急増、また、文化や習慣の違いから近隣トラブルに繋がるケースも増加しました。
旅館業法で現在の民泊を取り締まってしまうと、ほとんどが基準に満たないものとなるため、早急に法律の整備が必要となり、現在の民泊の実態に合わせた住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)が施行されました。
法の整備に伴って現在では、民泊とは「宿泊用に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションの空室などに宿泊すること」を意味するようになっています。
これは筆者自身が実際に体験したことでもありますが、賃貸で借りた物件をさらに第三者に貸す(建物の一部を含む)場合、「転貸(てんたい)」の扱いになるので、所有者の許可が必要になります。
所有者不明で自治体等から格安で借りている物件であれば、ある程度の自由が認められますが、所有者が資産として活用している場合などは高い確率で許可が下りません。
リスクが少ないなどのメリットは大きいですが、物件を選ぶ段階で確認しておかないと、後にトラブルに発展しますので注意が必要です。
分譲マンションの場合は、大人数が共同で生活を営む場所になります。そのため、仮に1戸~複数戸の所有者であっても、管理組合のルールを遵守しなければなりません。
昨今の民泊ブームにより、宿泊客の騒音・ゴミ問題などトラブルに発展するケースが多く、民泊を禁止するマンションが増えています。
将来住む予定があっても、一定期間空き家となるので民泊を始めようと考える方もいらっしゃると思いますが、そもそも民泊を行うことができるのかを予め確認しておきましょう。
現在は新しい民泊モデルへの過渡期。
従来の旅館業法で規制をするとほとんどが要件を満たすことができない事は前項でも触れましたが、民泊の実情に合わせて住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)と各自治体による民泊条例が施行されました。
現状、民泊を営業する場合は旅館業法・住宅宿泊事業法(民泊新法)・民泊条例のいずれかの許可を得なければなりません。
それぞれの法律で営業することができる民泊は以下の通りです。
各法律や民泊の基本的な知識については以下に詳しい記事がありますのでご覧ください↓
「民泊とは?空き家活用して民泊施設にするメリットや条件、問題を解説」空き家活用Lab
ここでは上記1~3の民泊を始めるにあたって、どのような立地・条件が適しているかをご紹介します。
大前提として1居室25㎡以上という制限があります。
さらに、防火設備や建物自体の建築基準などかなり厳しい条件があります。民泊の1種類ではありますが、旅館業法で民泊の営業許可を得るのは大変難しいというのが現状です。
空き家を活用して民泊を始めたいという方には、この方法は不向きと言わざるを得ません。
前項でも少し触れたとおり、現在の民泊に合わせて作られた新しい法律です。旅館業法では許可が下りない民泊に対して、最低基準を定めたものになるので、倒壊の危険があるような空き家でなければ、ある程度の整備で許可を取ることができます。
その上で新法民泊に向いている条件を以下にあげます。
マンションの管理規約で民泊が禁止されていないことが大前提。
建築基準法と民泊新法の安全基準を満たす物件である。築年数が経過していても、リノベーション等で基準を満たせればOK。ただし、建築基準法を満たしていない場合は、多額の改修工事費がかかります。
日本家屋の方が好まれます。地域の方や自治体と協同し、新しい民泊ビジネスを考えている場合は、室数が多い方が向いています。
コロナ禍以前では、観光地から徒歩5~10分程度が良いとされてきましたが、自身で送迎を行ったり、レンタルサイクルなどを活用すれば、自転車圏内まで範囲を広げることができます。
地域密着型のビジネスモデルとして、定年退職したタクシードライバーの方と協同するという方法もあります。
坂道が多いなど立地に困難がある場合でも、施設内で宿泊客が買い物をできるように、定期的に買い出しに行って購買を設置するという方法もあります。
国が指定する「国家戦略特区」の自治体において、自治体が定めた条例に沿って行う民泊のことです。
東京都大田区、大阪府大阪市、福岡県北九州市、新潟県新潟市、千葉県千葉市などがあります。特区民泊については、向いているエリアを選べるわけではありませんので割愛します。
ただし、特区の自治体によっては、民泊を始めやすいようにサポートをしてくれる自治体もあります。特区で民泊をお考えの方は、自治体に問い合わせをされるのがよいでしょう。