目次
相続した空き家――動かないほど資産は減り続ける
気づかぬうちに資産が目減りする構造
空き家を相続したその日から、支出は静かに積み重なっています。
- 固定資産税・都市計画税:年間10〜15万円
- 管理費・保険・除草・点検など:年間5〜20万円
- 解体・改修の先送り → 将来数百万円規模の出費に
5年間放置するだけで、総額100万円以上の出費になる可能性も。
それでも、多くの人が「決めないまま」年単位で先延ばししてしまうのが現実です。
相続特例にも“期限”がある
相続した空き家を売却すると、最大3,000万円の譲渡所得控除が受けられる「空き家特例」があります。
(※令和9年12月末まで/一定の条件あり)
ただし、令和6年以降は相続人が3人以上の場合、上限は2,000万円に減額。
早く動いた人ほど、税制のメリットをフル活用できる仕組みです。
お盆は動くチャンス
親族が集まる貴重なタイミング。
実家や空き家に足を運びやすく、墓参りや仏壇整理の流れで「この家、どうする?」という話もしやすい。
毎年「また今年も何もしなかった」を繰り返していませんか?
まずは現地を見て、状態を確認するだけでもいい。
「何に、いくらかかるか」を把握することが、資産を守る第一歩です。
空き家を放置するとどうなるか
項目 | 相続時 | 5年後(放置) |
---|---|---|
評価額(税務上) | 1,200万円 | 1,000万円 |
実勢価格(売却見込) | 1,100万円 | 700万円 |
管理費累計 | ― | ▲100万円 |
築年数が進み、管理もされない家は、「売れる資産」から「処分するための負担」へと変わってしまいます。
判断を後回しにしないための3ステップ
- 現状把握 固定資産税通知、土地評価、家屋の劣化状況を確認。
- 税務・費用シミュレーション 譲渡所得控除、解体費、売却益・譲渡税を試算。
- 関係者での意思統一 方針を決め、共有者と合意、専門家に相談。
注意点
維持費・税額・売却価格は物件や地域によって大きく異なります。
都市部や再開発エリアでは価格が維持・上昇している例もあるため、個別の調査は必須です。
結論:資産を守るために、動く覚悟を
「残すか、売るか」を悩む前に、
「持ち続けることが本当に得か?」を見直してみましょう。
迷い続ける先にあるのは、資産の劣化と時間の損失です。
今年の夏こそ、空き家問題に“動く側”になることが、
将来の自分と家族にとって最も合理的な判断になるはずです。