「無料で空き家差し上げます」はホント?地方にある「0円物件空き家」の真相と現実

「タダで空き家あげます!」「無料で空き家を譲ります!」など、ひと昔前では考えられないこのフレーズ。「空き家」問題の存在感が増す令和を迎えた日本では、目にするのもそう珍しいことではありません。そんな「0円空き家」は本当に無料なのでしょうか?今回は、地方にある「無料空き家」にスポットを当て、「健全に無料空き家を手に入れる方法」や「地方移住の留意点」を探っていきます。

目次

無料で手に入る!?「0円空き家」が存在する理由

「無料ただで家を差しあげます。」と言われても、少し警戒してしまうことってありませんか?この章では、「無料空き家」がどうして存在するのか、その背景とカラクリを解説していきます。

年々増えている「放置空き家」税金の負担も

「住宅・土地統計調査(総務省調べ)」によると、2018年度の「空き家」総数はおよそ848万9千戸、1世帯当たりの住宅数は1.16戸。

総住宅数における「空き家率」は13.6%にもなり、欧米諸国と比較してもかなり多くの「空き家」が日本には存在することが分かります。

2025年には団塊の世代が75歳を迎え、超高齢化社会となる日本。少子化による人口減少、日本特有の新築偏重の考え方、税制上の理由などから、今後ますます「空き家」は増加していくことが予想されます。

参考:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf(総務省:平成 30 年住宅・土地統計調査)

日本の「空き家問題」で一番の懸念事項となっているのが、「放置空き家」です。

日本の税制では、家を壊して更地にしてしまうと固定資産税が値上がりしてしまうため、相続した「空き家」をそのまま放置してしまう所有者が多くいました。人が住まなくなった「空き家」の老朽化のスピードは早く、家屋の倒壊や周辺環境の景観や治安の悪化を引き起こします。

国は、増える「放置空き家」の対策として、平成27年(2015年)に「空き家対策特別措置法」を施行しました。

これにより、「空き家」所有者に対する監視の目は厳しくなり、固定資産税の支払いや定期的な「空き家」のメンテナンスを負担と感じる「空き家」所有者は多くなっています。

タダでもいいので住んで欲しい」空き家所有者のホンネとは

「空き家」を綺麗に保つことは、想像以上の労力が必要です。

定期的な換気や掃除、草むしりなど、遠方に住んでいる人には特に難しいのが現状。そうかと言って、「放置」することもできず、定期的な「空き家」のメンテナンスが負担となります。

最近では、「空き家」管理の代行サービスを提供する会社もありますが、無償ではないので、「空き家」所有者にとっては、固定資産税の他に管理経費が発生します。

それならば「無料」でも構わないので、誰かに住んでもらった方が安心でお得だと考える「空き家」所有者がいるのも頷けます。

「無料で家をあげます」でも、結局お金はかかる!

では、実際にそんな「0円空き家」を手に入れた場合、本当に0円で空き家を使うことができるのでしょうか?

結論からいうと、たとえ空き家所有者が「無料であげます」と言っている空き家でも、その空き家を使うまでには様々な費用がかかります。ひとつずつ見ていきましょう。

「家」を譲渡された時に発生する費用

≪税金≫

「タダで家をあげます」とは言っても、贈与税、不動産取得税、登録免許税、固定資産税などの支払いは必要です。

ただし贈与税の場合は、資産価値が110万円に満たない「空き家」であれば、発生しません。

≪修繕費≫

タダになる「空き家」は、買い手がつかず築年数が経っており、トイレが和式だったり、その他の水回りの様式も古いものが多いです。

快適な住まいにするためには、構造の補強や修繕費用が必要となると考えておくのがいいでしょう。

≪譲渡契約書作成費≫

物件の無償譲渡の場合は、不動産仲介業者が介入しないため、弁護士や司法書士などの専門家に譲渡契約書の作成を依頼する必要があります。

費用をかけず、自分で作成する方法もありますが、譲渡に関する細かな手続きや調査を自分で行う必要があるため、難易度は高めです。贈与税に関して税務署で調べたり等、煩雑で不慣れな作業を行うことになりますので、基本的には専門家へ作成を依頼するのがよいでしょう。

<次ページ:それでも地方の「無料」空き家を見つけたい場合は?>

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この記事を書いた人

旅行会社勤務を経て、フリーランスのライターへ転身。古民家シェアハウスに住み、Airbnbを利用して海外を旅した経験から、日本の空き家問題に興味を持ち、明るい未来に繋がる記事を書いています。

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