横浜市で空き家について考えるときは、制度を一つずつ探すよりも、今、自分がどの段階にいるのかを整理することが大切です。相続前・相続直後なのか、今後の方針を決めるまで管理している段階なのか、売却するか保有するかを考えているのかによって、確認すべき相談窓口や制度が変わります。
この記事では、横浜市の公式情報をもとに、空家の所有者等が「自分は次に何をすればよいか」を判断しやすいよう、相続前・相続直後 → 管理 → 売却・保有の判断 → 売却 → 保有・活用の順に整理します。最後に、購入希望者・地域活用希望者・近隣の方など、所有者等以外に向けた制度・窓口も分けて紹介します。
- 空家の相続前・相続直後に、まず何を確認すればよいか
- 売却・保有を決めるまでの管理方法と相談先
- 売却する場合、保有・活用する場合に確認したい横浜市の制度
- 購入希望者・地域活用希望者・近隣の方が利用できる制度・窓口
最終確認日:2026年8月27日
主な参照元:横浜市公式サイト、横浜市空家等対策計画、横浜市空家のこれから相談窓口、横浜市住宅供給公社、横浜市建築局・都市整備局の各制度ページ など
目次
横浜市の空家等対策と、このガイドの見方
横浜市では、空家等対策計画に基づき、「空家化の予防」「空家等の流通・活用促進」「管理不足空家等の防止・解消」を柱として、総合的な空家対策を進めています。
空家の相談や支援制度は、所有者等の置かれている状況や、売却・保有・活用などの方向性によって利用するものが異なります。そこでこの記事では、制度を一覧で並べるのではなく、「今どの段階にいるか」から確認先をたどれる構成にしています。
迷ったときの基本的な考え方
まだ今後の方向性が決まっていない段階で、すべての補助金・制度を調べる必要はありません。まずは現在の段階に合う相談窓口や制度を確認し、そのうえで次の判断へ進みましょう。
1.空家の相続前・相続直後|まず今後について考える
空家になってから対応を始めるのではなく、親が住んでいる実家など、将来空家になる可能性がある段階から今後について考えておくことが大切です。相続した直後も、売却・保有を急いで決める前に、家族関係や権利関係、建物の状態などを整理しておきましょう。
まだ相続前で、何から考えればよいか分からない
横浜市の「空家予防コンシェル」では、LINEを使って実家の空家化リスクを確認したり、相続に向けて何を準備すればよいかを整理したりできます。「まだ空家ではないが、親の家の今後が気になる」という段階から確認できます。
相続直後で、複数の問題を整理したい
相続、売却、管理、片付け、解体、活用など複数の悩みが重なっている場合は、「横浜市空家のこれから相談窓口」で状況を整理できます。専門の相談員が、処分方法や活用プラン、必要に応じた事業者とのマッチング等を伴走支援します。
一般的な空家相談から始めたい
所有する空家について、まず一般的な相談や相談先の案内を受けたい場合は、横浜市住宅供給公社が運営する「空家の総合案内窓口」を利用できます。専門的な相談が必要な場合は、内容に応じた専門家団体等の紹介も受けられます。
2.意思決定をするまでの管理期間|適切な管理を続ける
「売却するか」「保有するか」がまだ決まっていない場合でも、その間の管理は必要です。人が住まなくなった住宅は、換気や通水が行われないことで傷みが進みやすく、庭木や雑草、建物の一部の落下・飛散などによって近隣へ影響を及ぼす可能性もあります。
自分で管理することが難しい場合
遠方に住んでいる、定期的に現地へ行けないなど、自分で管理することが難しく民間事業者に委託したい場合は、横浜市が公表している「空家等の管理を代行する事業者リスト」を活用しましょう。外観確認、清掃、通風・通水、庭木の剪定、除草など、対応内容は事業者によって異なります。依頼するときは、サービス内容や料金を確認し、複数の事業者から見積もりを取って比較することも検討しましょう。
3.「売却するか」「保有するか」を決める
適切に管理しながら、次に考えたいのが空家を今後どうするかです。自分や家族が今後利用する可能性があるか、管理を続けられるか、修繕や耐震改修にどの程度費用がかかるか、賃貸や地域活用ができそうかといった点を整理し、売却か保有かを判断します。
売却を考える
維持管理を続ける予定がない、将来利用する見込みがない場合は、売却も選択肢です。相続登記、共有者、境界、税金、建物の状態などによって進め方が変わるため、売却を決める前に条件を整理しておきましょう。
保有を考える
自分や家族が利用する、賃貸する、地域活動などに利用してもらう場合は、建物の状態と活用方法を整理します。保有する場合でも「建替え・改修」「賃貸」「地域活用」で、確認する制度や相談先が変わります。
相続・権利関係が判断の前提になっている場合
相続登記、共有名義、相続人間の調整などが進んでおらず、売却・保有の判断に進めない場合は、先に権利関係の論点を整理しましょう。
4.売却を決めた場合|税制・除却関係の制度を確認する
空家を売却することを決めたら、売却方法だけでなく、利用できる税制や解体関連の制度も確認しましょう。制度には対象条件や申請の順番があるため、契約や工事着手の前に公式ページで確認することが重要です。
| 制度 | 確認したいケース | ポイント | 公式ページ |
|---|---|---|---|
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 相続した空家を売却する | 一定の要件を満たす場合、譲渡所得の3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。横浜市では確定申告に必要となる確認書を交付しています。確認書の交付だけで特例適用が確定するわけではありません。 | 確認する |
| 住宅除却補助制度 | 建物を解体してから売却することを検討する | 耐震性が不足する木造住宅等の解体工事費用について、一定の条件を満たす場合に補助を受けられる制度です。工事契約・着手前の確認が必要です。 | 確認する |
| 建築物不燃化推進事業補助 | 対象地域で老朽建築物の解体等を検討する | 重点対策地域など、一部地域を対象とした解体・新築等の補助制度です。所在地が対象区域に入るかを先に確認します。 | 確認する |
売却前の注意点
- 税制の適用可否は税務署等にも確認する
- 補助制度は契約・工事着手前の申請や交付決定が必要な場合がある
- 相続登記、共有者、境界、残置物など、売却前に整理すべき事項も確認する
5.保有を決めた場合|建替え・賃貸・地域活用に分けて考える
空家を残す場合は、「保有する」という判断だけで終わらせず、今後どのように利用するかまで考えることが重要です。建替え・改修して利用する、収益物件として賃貸する、地域活動などに活用してもらう、といった目的によって確認する制度や相談先が変わります。
| 方向性 | 確認したい制度・窓口 | ポイント | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 建替え・改修して利用する | 木造住宅の耐震診断・耐震改修 | 自分や家族が利用する場合は、まず建物の耐震性や劣化状況を確認します。古い木造住宅では、横浜市の耐震診断や耐震改修に関する制度を利用できる場合があります。 | 確認する |
| 建替え・改修して利用する | 住宅除却補助制度(再掲) | 建替えにあたり耐震性が不足する木造住宅等を解体する場合、一定の条件を満たせば補助対象となる可能性があります。契約・工事着手前に確認しましょう。 | 確認する |
| 建替え・改修して利用する | 建築物不燃化推進事業補助(再掲) | 重点対策地域など一部地域で、老朽建築物の解体や新築等を行う場合に対象となる可能性があります。所在地が対象区域に含まれるか確認します。 | 確認する |
| 収益物件として賃貸する | 横浜市 空家のこれから相談窓口 | 賃貸を検討する場合は、仲介事業者やリフォーム事業者などを比較・検討しながら、進め方を整理できます。 | 相談窓口を見る |
| 地域活動などに活用する | 空家活用のマッチング制度 | 地域活動の場所を探している団体・事業者と、空家を地域貢献に活用したい所有者を横浜市が橋渡しする制度です。 | 確認する |
| 地域活動などに活用する | 空家活用の専門相談員派遣事業 | 空家を地域貢献に活用したい所有者を対象に、活用方法や改修、賃貸借契約等について専門家へ相談できる制度です。 | 確認する |
6.所有者等以外の方へ|購入・地域活用・近隣相談
ここまでの内容は、主に空家の所有者や相続予定者を対象としています。一方、横浜市では、空家を購入したい方、地域活動に利用したい団体・事業者、近隣の空家で困っている方を対象とした制度や窓口も用意されています。所有者等向けの情報とは分けて確認しましょう。
| 対象 | 確認したい制度・窓口 | 内容 | 公式ページ |
|---|---|---|---|
| 横浜市内の空家を購入したい方 | 空家を活用した子育て世代転入・定住促進補助金 | 横浜市内の空家を購入して転居する子育て世代について、一定の要件を満たす場合に購入費用の一部を補助する制度です。 | 確認する |
| 空家を地域活動に使いたい団体・事業者 | 空家活用のマッチング制度 | 地域活動の拠点を探す団体・事業者と、空家を提供したい所有者との橋渡しを横浜市が行う制度です。 | 確認する |
| 空家を地域活動に使いたい団体・事業者 | 空家の改修等補助金(地域貢献[簡易改修]型) | 地域活動に使う空家について、一定の要件を満たす場合、簡易な改修工事等の費用が補助対象となる制度です。対象となる団体・事業者や工事内容などの条件を確認してから申請を検討しましょう。 | 確認する |
| 近隣の空家で困っている方 | 近隣の空家でお困りの方へのご案内 | 危険な状態で放置され、所有者等が分からない空家などについて、建物、樹木、衛生害虫、防犯、ごみ、火災など相談内容に応じた窓口が案内されています。 | 確認する |
よくある質問
まだ空家ではありませんが、親の家について相談できますか?
将来空家になる可能性がある住宅については、空家予防コンシェルで実家の空家化リスクや相続に向けた準備を確認できます。また、「横浜市空家のこれから相談窓口」は今後空家化が見込まれる住宅の所有者等も対象です。
売却するか保有するか、まだ決められません。
すぐに結論を出す必要はありません。判断するまでの間は適切な管理を続け、自分や家族が利用する可能性、管理負担、修繕費用、賃貸や地域活用の可能性などを整理しましょう。複数の悩みが重なっている場合は相談窓口を利用して選択肢を整理する方法もあります。
相続した空家を売る前に、何を確認すればよいですか?
相続登記の状況、共有者の有無、売却時期、建物の状態、解体の要否、税制の適用可否などを確認します。「被相続人居住用家屋等確認書」は税制上の特例に関する必要書類の一つですが、確認書の交付だけで特例適用が確定するわけではありません。
空家の管理を自分で続けられない場合はどうすればよいですか?
横浜市が公表している「空家等の管理を代行する事業者リスト」を確認できます。サービス内容や料金は事業者によって異なるため、依頼する前に内容を比較・確認してください。
近隣の空家について相談したい場合も、この相談窓口でよいですか?
所有者等向けの相談とは窓口が異なります。近隣の空家でお困りの場合は、横浜市の「近隣の空家でお困りの方へのご案内」から、相談内容に応じた窓口を確認してください。
横浜市の空家対策には多くの相談窓口や支援制度がありますが、最初からすべてを調べる必要はありません。今どの段階にいるのかを確認し、その段階に合った制度や窓口から確認していくことが大切です。
- 相続前・相続直後:空家予防コンシェルや相談窓口で今後を整理する
- 意思決定まで:適切な管理を続け、必要なら管理代行事業者を確認する
- 売却・保有の判断:利用予定、管理負担、費用、活用可能性などを整理する
- 売却する:税制、除却、不燃化など対象となる制度を確認する
- 保有する:建替え・改修、収益物件としての賃貸、地域活用に分けて確認する
- 所有者等以外:購入、地域活用、近隣相談に応じた専用制度・窓口を確認する
相続、売却、活用、管理、解体、片付けなど複数の悩みがあり、自分だけでは方向性を決めにくい場合は、「横浜市空家のこれから相談窓口」で相談できます。制度の対象になるか分からない段階でも、まず現在の状況や選択肢を整理するところから相談できます。



