空き家解消に向けた、国や自治体の対策から考察。私たちができる取組みとは?

空き家解消の取り組みは、国や自治体を中心に活発になってきています。

空き家所有者としては、事業化して収益を得る場合も住宅として活用する場合も、円滑な空き家活用を行うためには、国や自治体との協力や連携が重要なのは、言うまでもありません。

今後の空き家活用を効率的に行うためにも、まずは国や自治体の対策を把握することが必要です。

今回は国や自治体の取り組み内容を整理し、そのうえで事業者としてできることを考察していきます。

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目次

空き家対策における、国と自治体の取組みと現状

国と自治体が行う空き家対策の取り組みは、連携しながら行われている特徴があります。

まず初めに、それぞれの取り組みや役割の概要と、現在までの空き家対策の進捗を知ることから始めましょう。

ここでは、国や自治体が行う取り組みの、大まかな概要について整理していきます。

国が自治体の空き家対策を支援

放置空き家の増加による、地域の環境悪化や事故などを防止する為、現在では400を超える自治体が地域独自の条例を策定し、空き家の対策や活用を促進しています。

条例は地域に適した内容で決められますが、条例を軸に進める空き家対策の活動をバックアップするのが国の役割となっています。

具体的には、国が制定する「空き家対策特別措置法」が後ろ盾となっており、最終的には自治体が強制的な手段も行えるようになりました。

これによって対策は進みましたが、同時に国や自治体だけの取り組みでは補いきれない部分もみえてきています。

それぞれの地域にある課題を、事業者が埋めて行くことが事業と対策の両方にとって重要なことだと言えるのです。

国のガイドラインを参考に、自治体での対策が促進

2015年の空き家対策特別措置法の施行から、2019年10月1日までの4年半の累計で、行政代執行などを含め、特定空家等の除却に至った件数は7,552物件となっています。

所有者による除却等も進んでおり、2019年10月1日までの4年半の累計では、約7.7万物件もの空き家対策が進められているのです。

対策は進んできていますが、地域によっては所有者をサポートする民間団体や、空き家活用の知識を持った空き家専門の機関も、多くみられるようになってきました。

必要に応じてこれらのサポートを受けながら対策を行うことが、所有者にとっても有効な手段となるでしょう。

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国が行う空き家対策。具体的な取組みとは?

さて、ここからは国が行う空き家対策の、具体的な取り組みついて整理していきます。

把握しておくと空き家対策を行う際の負担軽減に繋がったり、スムーズな活用を行う助けにもなる内容です。

まずは大まかな取り組みを把握しておくと良いでしょう。

①空き家対策特別措置法

 空き家対策特別措置法は、いくつかの条件に照らし合わせ、適切に管理できてない物件を「特定空家」に指定することができる法律です。

この法律により、現地調査などを通して、 空き家の所有者へ適切な管理の指導を行ったり、空き家の跡地についての活用促進を進めることができます。

 また、自治体は特定空家を所有する者に対して、対策の助言・指導・勧告・命令ができるようになり、命令後も対策が取られない場合には、 罰金や行政代執行を行うことができるようになりました。

この法律を軸に自治体の対策を後押しし、空き家解消に向けた取り組みを連携して行っています。

②空き家対策を行いやすくする為の施策

一般の一戸建て空き家だけでなく、飲食店や病院、学校などの特殊建築物についても国は取り組みを行っています。

具体的には、安全保安上不適格とみなされる物件に関して勧告・命令を行い、従わない場合は代執行できる権限を特定行政庁に与えるものです。

このほか不動産登記情報の通知も義務付けており、建物の表示や所有権に関する登記をした場合は、登記から10日以内に、建物のある市町村へと届け出をしなければならないとしています。

このような取り組みによって所有者を明らかにし、自治体と連携して対策を行っているのです。

③活用や除去に対しての施策

国は「空き家再生推進事業」として、空き家活用や除去に対しての経費を支援し対策を促進しています。

そのほか、「定住促進空き家活用事業」においては、過疎地を中心とした地方空き家への定住促進を目的とした施策も行っています。

具体的には、改修費用の補助などを行いながら、地方エリアへのIターン、Uターン希望者を取り込み、地域を盛り上げる人材確保のサポートを行う内容です。

また、「高齢者等の住み替え支援事業」も行っており、高齢者が所有する空き家を、子育て世代へ円滑に賃貸する仕組みを支援しています。

高齢者にとっては生前に自宅を預けることができ、生活に適した住宅への住み替えも支援している為、利用者と所有者双方にとって利点のある施策であるのが特徴です。

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自治体が行う空き家対策。具体的な取組みとは?

次に、自治体が行う空き家対策を整理していきます。

自治体ごとに取り組みが異なりますので、補助金や支援策の適応条件が違うことにも注意が必要です。利用する際は対象となる自治体の取り組みを確認し、手続を進めると良いでしょう。

①自治体の役割

自治体は主に空き家の所有者を特定し、ガイドラインに従った規制や必要な支援を行いながら、対策を進めることが役割となります。

基本的には空き家対策特別措置法に基づいて、空き家物件の実態把握をしたうえで、対策の助言や指導などを行う取り組みが活動の中心です。

②自治体が行うこと

自治体が行う具体的な活動は、空き家等の所在地へ赴き、現地調査を行うことから始まります。場合によっては、空き家等の所有者を把握するため、固定資産税情報の内部利用等を行いながら、データベースの整備を進めていきます。

そのため、空き家等及びその跡地に関する情報提供を地域からも収集し、所有者に対して、活用や対策の為の助言や指導を実施することになります。

所有者と直接コミュニケーションを交わし、対策や活用のサポートをしながら、放置空き家を減らす取り組みを進めることが自治体の大きな役割となっています。

③空き家対策条例

現在では地域の特性や状況にあわせ、自治体独自の条例を制定し、対策を行うケースが増えています。

空き家対策や活用に関する条例のある自治体は、全国で500を越えており、それぞれの基準に基づきながら行政代執行を含めた対策を行っています。

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国と連携して行う、自治体独自の空き家対策とは?

国と自治体が連携して空き家対策を行う中で、現行の施策では対応できない問題に対し、自治体独自の対策を行うケースも増えてきています。

施行されている地域は限られていますが、今後の方向性として認識しておくことがお薦めです。参考までに是非ご覧ください。

①空き家撤去後の固定資産税の減免策

一般的な固定資産税の仕組みの場合、空き家解体後は固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が約6倍にもなります。

その仕組みによって、空き家の撤去解体が進まないという課題が見られるのが現状です。

そのため、地域によっては一定条件を満たす空き家に対して、解体後も固定資産税を減免する要綱を設けることで、放置空き家の対策を促進する動きがあります。

②具体的な減免事例

福岡県豊前町や鳥取県日南町では、独自の基準に該当する空き家を撤去した場合、約10年間の固定資産税の減免を実施しています。

そのほか、富山県建山町などでも約2年間の固定資産税減免を実施するなど、幅広い地域で空き家対策を行いやすい策を講じているのです。

この様な取り組みによって、所有者は解体後に時間を設けて、ゆっくりと土地の活用方法を考えられる為、対策も進んできていいます。

危険な空き家の対策促進にも一定の効果がみられるこの様な取り組みは、今後各地域で進められる可能性もあるでしょう。

③独自の空き家対策

法令だけでなく、地域住民と連携した空き家対策の取り組みも近年増えてきています。

例えば山形県酒田市では、地域住民を中心に見守り隊を結成し、月一回の巡回を行う活動を実施。市は見守り隊からの報告を受けながら、活動に対しての補助金を支給し、地域と一体となって早期の空き家対策を行なっています。

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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