比較することで理解を深める「空き家条例」。地域の条例を知って、効率的な活用を

少子高齢化に伴う空き家問題の対策として、現在では多くの自治体で独自の「空き家条例」を定めています。

地域の特性にあった条例が制定され、内容は千差万別。空き家事業を進める事業者にとっては、事前に地域ごとの違いを把握し、効率的な活用に役立てたいものです。

今回は「空き家条例」の基本的な内容はもちろん、地域ごとの条例を比較しながら違いを認識し、条例をより深く理解できる内容となっています。

空き家活用を有利に進めていくための知識として、是非ご参考下さい。

目次

そもそも「空き家条例」って何だろう?

「空き家条例」と聞いても名称は知っているが、概要は全くわからないという方も多いのではないでしょうか?

今回のテーマである「空き家条例」を深く理解する為、まずは、条例の基礎の基礎から確認していきます。

「条例」と「法令」を比較

条例と法令は良く聞く言葉ですが、それぞれの意味は全く異なります。

「条例」とは都道府県や自治体ごとに制定できる独自のルールを指し、日本国憲法に基づいて議会の議決を通して制定するものです。

例えば、歩き煙草の禁止条例なども地域で定める「条例」のひとつ。

「条例」を定める場合は、「法令」に違反しないことなどが必須条件となっています。

一方で「法令」とは「条例」などを含むルールや、命令などを含む総称のことです。

「条例」以外にも法律や政令、省令などを含む場合もあり、内容や文脈によって使い分けられるのが一般的となっています。

整理すると「法令」は”社会的な取り決め”という大きな意味でつかわれるのが一般的ですので、「条例」を語る際に、「法令」と呼称する場合もあるという理解をしておくと良いでしょう。

空き家条例は地域ごとに異なる

空き家条例は各自治体ごとに制定されますので、要件も罰則もそれぞれ異なる内容となる特徴があります。

それは、地域ごとの条例の制定によって、実行を目指す目標が異なるのも理由のひとつです。

条例を制定する代表的な目的は、環境や景観の保護、防災や防犯など、一般的には安全な暮らしの保全を目的としていますが、地域によって重視する点は異なります。

例えば、家屋が密集している都心部では環境よりも安全面の保護が重視され、地方では逆に景観や環境保全を重視した条例になる傾向にあります。

地域で掲げる目標を実現するため、特性にあわせた条例を制定し、空き家の管理対策を促進しているのです。

そのため、活用や対策を行う際には、空き家物件の所在地域で定められている、要件や罰則を確認して進めることが大切だと言えます。

「空き家条例」における罰則とは?

空き家条例が地域ごとに異なる点は把握できましたが、実際には、どの様な罰則が設けられているのでしょうか。予想外の罰則などを受ければ、事業存続が難しくなるケースもありますので、しっかりと把握しておきましょう。

空き家条例と空き家法

空き家条例は全ての自治体で制定されている訳ではありませんので、空き家条例が制定されていない自治体の場合は、空き家法(空き家対策特別措置法)に従って対策を行います。

整理すると、空き家条例が制定されている自治体の場合は、条例と空き家法を参照し、空き家条例が制定されていない場合は、空き家法に沿った対策を進めると良いでしょう。

空き家条例の罰則

空き家条例の代表的な罰則としては、以下のような内容があります。

≪氏名の公表≫

自治体は所有者に対し空き家対策を促すために、状況に応じて勧告・命令・公表・行政代執行などを行います。

勧告・公表を受けても所有者が従わない場合は、氏名公表の罰則が行われる場合があるのです。

これは、氏名や住所のほか、命令内容などを貼り紙やHPにて公表される罰則で、事業者でも個人でも信用に関わる事案となるため、早期の対策をすることがお薦めです。

埼玉県所沢市で始められた氏名公表の仕組みをベースとして、現在では多くの都道府県で実施されている罰則となっています。

≪草木や竹林の伐採・除去など≫

空き家だけでなく、建物の周囲に生息している草木なども、管理を怠れば罰則の対象となるケースもあります。

千葉県の事例では一定期間放置し続けた場合、事前の告知をしたうえで所有者の承諾なしで伐採や除去を実施。生活環境の保護を最優先した速やかな対応を行うことが、罰則として規定されているのです。

≪緊急安全措置≫

緊急安全措置とは、空き家の状態が不安定であったり、倒壊などにより周囲に危険が及ぶ場合、やむおえず行政対応する措置を言います。

例えば壁の破損や不安定な瓦の撤去など、経年劣化を含む不安定な空き家の保全などが中心です。

注意するべき点は、自治体によっては所有者への許可や通知なく、緊急的に対応する場合があることと言えます。

一時対応は行政が行いますが、費用は所有者へ請求する場合がほとんどです。

物件所有者にとっては、突然の出費に繋がる事案ですので、該当地域の条例罰則規定について事前に確認しておことがお薦めだと言えます。

<次ページ:あわせて確認したい「空き家法」の罰則>

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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