あわせて確認したい「空き家法」の罰則
空き家の対策・管理を行うにあたって、空き家条例とともに「空き家法」を把握しておくことが大切です。
空き家条例と空き家法の内容が異なるのはもちろん、罰則もそれぞれ規定されています。ここでは、「空き家法」における代表的な罰則についてみていきましょう。
空き家法の罰則
空き家法においての代表的な罰則は、以下のような内容となっています。
≪罰金(過料)≫
空き家法では、助言・勧告の前に立入調査を行っていますが、これを拒否した場合は20万円を上限とした過料が求められ、さらに命令に従わない場合は、50万円を上限とした過料を追加で支払う必要があります。
過料は罰金ですので前科がつくことはありませんが、従わなければ更に罰則が増えるものです。
自治体などの調査をきちんと受け、指示に速やかに従うことが得策と言えるでしょう。
≪固定資産税減免の除外≫
所有する空き家物件に対しての、自治体からの指導・勧告などを経ても尚放置し続けた場合は、固定資産税の減免除外措置を受ける場合もあります。
その場合は、当初の固定資産税の約6倍程度の金額を負担する必要があり、所有者にとっては非常に大きな出費となります。
適切な空き家の管理を行い、必要があれば早めの対策をすれば問題はありませんので、定期的なメンテナンスや必要な管理を行うことを心掛けましょう。
≪行政代執行≫
空き家法で最も重い罰則といえものが「行政代執行」です。
行政は空き家の管理状態によって、助言・指導・勧告・命令などを行いますが、命令に従わず放置し続けた場合、強制的に空き家の取り壊しを行う場合があります。
「行政代執行」は自治体に対しての業務負担も非常に高くなるため、悪質だと判断された場合のみ行われるのが大半です。
しかし、実行された場合は、解体費用等は所有者へ請求されることになりますので、理由に関わらず早めの対策を進める方が懸命と言えるでしょう。
そもそも「空き家条例」の成り立ちとは
では、各自治体が取り決める空き家条例はどのようなきっかけで制定されたのかをみていきます。
空き家対策や活用は、地域と密接に関わることです。条例がなかった時代との比較もしながら、条例の役割を把握することで、条例の役割や今後の流れを予測することもできるでしょう。
空き家条例は空き家法制定のきっかけとなった
地域の高齢化による放置空き家の増加により、全国に先駆けて空き家条例を制定したのは、埼玉県所沢市です。
2010年に空き家条例を施行した同県は、所有者に対する管理・修繕の要求や、必要に応じて所有者の許可なく自治体自らが修繕や解体を行えるよう定めました。
しかし、法的な根拠は無く、強制力も著しく低くいことから対策が進まず、それをきっかけに政府は空き家法を制定したのです。
そして、2015年に制定された空き家法により、法を後ろ盾にした対策が進められうようになり、政府と自治体が一体となった空き家対策が行えるようになりました。
空き家条例や空き家法がない頃との比較
空き家条例や空き家法が無ければ、高齢者の住まいなどを中心に放置空き家が増加し続けることは言うまでもありません。
条例が無ければ空き家の数が増すことで管理が不十分な建物が放置され、犯罪や倒壊などの原因となることも考えられます。
地域の環境を守りながら、残された資産を有効活用するうえでも、空き家法や条例は大きな役割を果たしているのです。
現在では空き家法の後ろ盾と、地域の特性を生かした条例により、空き家対策が進み順調に対策は進んでいます。
今後は空き家増加のスピードも上がることが予想されていますので、政府と自治体だけでなく、事業者や個人も一体となった対策が求められる時代となっています。
地域が元気になれば事業も向上し、個人の住環境も飛躍的に向上します。
事業者は収益にも直結する内容となりますので、事業計画の一部として空き家対策を組み込むことを検討すると良いでしょう。
「空き家条例」を比較・確認する方法と注意点
2010年に初めて空き家条例が施行されてから、現在では400以上の自治体が独自の条例を制定しています。
特性の異なる地域の空き家条例を把握するためには、確認方法やポイントを整理しておくことがお薦めです。
地域の空き家条例を把握し、今後の事業運営を有利に進めるために、是非ご参考ください。
空き家条例の確認方法
事業を進める該当地域において、空き家条例の有無を確認する場合は、各自治体のHPを参照することがお薦めです。
また、自治体の空き家に関する相談窓口などがあれば、質問事項などを含め、直接問い合わせしてみるのもよいでしょう。
空き家条例を踏まえた、対策の効率化
複数の空き家物件を事業化する場合や、条例を踏まえた上での対策を効率化したい場合は、空き家専門機関に相談することも良策です。
弊社空き家活用株式会社も、空き家専門機関の一社ですが、弊社意外にも全国に空き家活用をサポートする機関が存在しています。
それぞれの機関によって、料金や任せられる範囲は様々です。
弊社のように、条例の調査から活用までを一貫して依頼できる機関は数多くはありませんが、全て依頼できる場合は事業ほとんどをアウトソースできます。
事業の効率化を図り、無駄なく収益を上げる観点においても、専門機関との連携を検討してみるのも良策でしょう。
空き家条例比較の注意点
空き家条例は地域によって異なりますが、罰則だけを確認するのではなく、活用・対策に関する補助金や手当なども同時に確認することが大切です。
空き家条例が整っている地域は、規制も厳しく事業を進める障害を感じる面もありますが、意外なメリットもあります。
そのメリットのひとつが、空き家活用や対策に対する、補助や制度が整っている可能性が高いということです。
空き家の整備やリフォームなどに補助金を支給している地域であれば、うまく活用することで費用負担も少なく、活用までをスムーズに進められます。
また、地域の空き家への親和性も高い取り組みや補助もありますので、内容によっては空き家の運用にも有利で、自治体との連携を視野に入れた、将来的な事業の足掛かりとすることも可能だと言えるでしょう。