競売物件とは何か?名称からその特性、メリット・デメリットまで丸わかり解説書

目次

競売物件を購入するメリット・デメリット

前項で競売物件は”いわくつきではない”と述べましたが、競売物件にはその性質から特有の手続きが必要になります。

ざっくりではありますが、メリット・デメリットとして落札後に生じる対応を整理したので、一緒に確認していきましょう。

競売物件を購入するメリット

メリットは主に「一般相場より価格が安いこと」と「物権のバリエーションが豊かであること」です。それぞれ、詳しく見ていきましょう。

①競売物件が一般相場より安い理由

競売に出されている物件が一般相場より安価な理由は、競売独特のデメリットがあるため予め低く評価されているからです。

少し前までは、専門の不動産会社しか見向きしなかった競売物件。そのため、相場の5~6割という物件が多くありました。

ところが、近年では一般人の入札が急増しているため、安いといっても1~2割程度と高止まり傾向にあります。

あくまで一般相場と比較すれば安いのは事実ですが、付随するデメリットを鑑みるとお得とはいいがたいケースも増えています。

②物件のバリエーション

前項で触れたように競売物件は、担保にしていた物件が売り出されるという性質から、戸建・マンションだけでなく、アパート1棟や店舗・オフィスビルといったものまで種類が豊富です。

また、狭小地や山深い土地なども出されることがあるので、お探しの物件によっては、一般の不動産会社ではなかなか目にすることができない物件を入札できるかもしれないというチャンスがあります。

競売物件という独自の手続きに付随するデメリット

デメリットを一言でまとめると「売主がいない」という言葉に集約されます。

これによって、不動産会社が媒介する賃貸や分譲の契約では発生しない問題が出てきます。

①引き渡し・立ち退き問題

一般の不動産契約では、支払いと引き換えに鍵の引き渡しや重要事項の説明などがされますが、競売物件の入札ではあくまで裁判所の手続きによって登記が移転するだけになります。

つまり、裁判所が今住んでいる人に立ち退きを強制したり、引き渡しをしてくれるわけではありません。

もし、落札した物件に元の所有者が住んでいた場合、立ち退きや引き渡し手続きはすべて落札者が行うことになります。

立ち退くための費用もないといったケースも多々あるため、引っ越し先や福祉関係との連携など煩雑な手続きに発展する場合もあります。

②事前確認ができない

競売物件は、一般の不動産のように事前内見などができません。

必要な情報は裁判所の執行官が作成した3点セットと呼ばれる書類に添付されている画像や文書から入手することになります。

当然のことながら、同じ築年数でも住み方や手入れによって状態は大きく異なりますので、安く落札したものの実際に建物を見たら予想以上に悪かったということも十分にあります。

③瑕疵担保責任

一般の不動産契約では、売主の報告にない欠陥などが見つかった場合、それらを補償する責任が売主に発生します。

ところが、競売物件の場合は先に触れたとおり登記が移転するだけなので、物件に事前説明では見つからなかった欠陥等があっても補償されることはありません。

これらのデメリットは人によっては大したことないと感じる方もいるでしょうし、大きな負担に感じる方もいらっしゃると思います。

競売物件の入札のハードルは下がっていますが、デメリットも踏まえて購入を検討して頂きたいです。

また、競売物件を専門とする不動産会社も数は多くはないですがありますので、ご自身での手続きが難しいと感じられる場合は、そういった会社に相談をするのも1つの方法です。

競売物件の情報収集から入札、落札後の流れ

ここまで、競売物件とはどういった性質の不動産なのか。また、競売物件を購入するにあたってのメリット・デメリットを解説してきました。

この項目では、具体的に競売物件を落札=購入するまでの流れをおおまかに解説していきます。

①競売物件情報の入手方法と3点セット

競売にかけられている物件情報の入手方法は2つあります。

1つが、希望する地域を管轄する裁判所に設けられた閲覧室で入手する方法。もう1つが最高裁判所から情報提供を受けている、通称BIT(Broadcast Information of Tri-set system)と呼ばれる競売専用サイトを利用する方法です。

参考:「BITのURL」http://bit.sikkou.jp/

BITでは、エリアや沿線、物件形態、金額などで検索をかけて絞ることができるので、検索性が非常に高いのでおすすめです。

ただ1点気をつけて頂きたいのが、BITでは所有者情報がマスキングされているという点です。

先にも触れましたが、事前内見ができないため資料だけで入札するかを決めなければなりません。

BITである程度物件を絞り、最終的には直接裁判所へ足を運んで決定するというのが一番確実な方法になります。

ご紹介した2つの方法はどちらがより優れているということはありません。いずれの方法でも、競売物件の3点セットと呼ばれる「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」を入手することができます。

この3点セットは裁判所の執行官が現地に赴き調査したもので、物件を判断するための重要な資料です。

        3点セットの内容
物件明細書競売の対象となる物件を特定するための情報や、売却条件などの情報が書かれています。
物件の所在地、大きさ、入札の基準となる売却基準価額などが分かります。
現況調査報告書 対象物件が現在どのような状況にあり、住んでいる人がいるとすればどんな人なのかを
まとめられたものです。
評価書物件周辺の環境や法的な規制について説明すると同時に、売却価額が算出された根拠を
示す資料。建物の築年数や状態などはこの資料から判断できます。

②入札

入札の参加資格にはほとんど制限はありません。

”ほとんど”というのは、過去に競売物件を落札したにもかかわらず、売却代金を支払わなかった場合はペナルティとして同物件の入札ができないためです。これを除けば原則として入札にかかる制限はありません。

入札には裁判所への入札保証金(「売却基準価額」の20%)の振り込みと振込証明書、入札書、住民票の提出が必要になります。落札できなかった場合は入札保証金は返金されます。

競売が行われる年間スケジュールは、各裁判所でスケジュール表をもらえるほか、BITでも公開されています。

東京地裁では月に数回ということもありますが、首都圏の各支部では月に1回くらいが平均的です。

入札は基本的に「期間入札」という方法で行われます。これは、期間内に最高額を提示した人が落札するというシステムですが、期間内に落札者が決まらなかった場合は最低入札価格を引き下げて、最初に入札した人が落札をする「特別売却」へ移行します。

③開札

入札締切日から1週間後に最高買受人(落札者)を確認することができます。

④物件引き渡し

立ち退き交渉から引き渡しにかかる手続きはすべて落札者が行います。

<次ページ:競売物件購入時、特に気をつけておきたい3つのこと>

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この記事を書いた人

リラクセーションサロン・大手コンビニ・福祉業界と異色の経歴を持っています。今は田舎に戸建てを借りて都内と二拠点生活するフリーライターです。

次世代が活躍できる舞台づくりをフィールドワークにしています。

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