大きく下がった移住のハードル
折しも、コロナ禍がわれわれの生活や仕事に大きな変革を促している。
感染拡大防止で一挙に利用が進んだテレワークなどの“出勤を伴わない働き方は、そのわかりやすい例の一つといえるだろう。
テレワークは仕事を時間や場所から解放する。少なくとも働く場所については制約がない。東京の企業に勤めていてるが、地方の山村で生活し、仕事はテレワークで…ということが可能な時代になりはじめている。
この変化は、地勢的な優位性にも大きく影響する。砥石さんが移住した頃とは比較にならないほど、地方への移住に向けたハードルは下がっているのだ。
2020年6月、東京都の人口が減少に転じた。
バブル崩壊後の25年前にも一時的に人口が減少することはあったものの、東京都の人口が基調として減少するケースは戦時中などの特殊な時期を除けば例がない。
専門家らも、その多くが“遠隔地でも働けるテレワークの普及で、住環境の良い郊外や地方に転出する人が増えている”と分析する。
都市は通勤などの利便こそいいが、生活コストが高く住環境の面でも快適とはいえない。仕事が場所から解放され始めている以上、都市部の人口減は今後も続くことになりそうだ。
移住者が集う“場”を作りたい
「自然豊かなところでのびのびと暮らすことのすばらしさを感じています。多くの人にこうした暮らしを伝えたいとも思います。」
「移住したい人の相談相手になり、計画を立て、移住後は一緒に生活を楽しむ仲間にもなりたい。そんな思いから移住コンサルタントのような形になりました」
そんな砥石さんは「移住者が集う出入り自由な“ムーミン谷のような”コミュニティを作りたい」という。
そこに出入りする人たちが相談し合ったり、ともに語らうことを楽しんだり。そうした場ができれば、暮らしはもっと豊かなものにできる。
移住はそうした“それぞれが考える豊かな暮らし”を実現する手段の一つだ。
コロナ禍に伴う働き方の変化は、移住をかつてなく現実的な選択の一つに押し上げつつある。
地方創生を進める上でもまたとない好機といえる。とはいえ、実際に移住するとなれば、さまざまな課題や障害が出てくることだろう。
多くの移住者が、思い描いた暮らしを手にすることができるように!
「なからいふLabo.」が活躍する舞台は広い。砥石さんの取り組みは、いよいよこれからが本番だ。
(了)
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