「空き家バンク」の虎の巻〜メリット・デメリットと成功例・失敗例〜

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口コミから検証「空き家バンク」の失敗例と成功例

「空き家バンク」失敗例

【登録するだけで安心し放置してしまい、希望者とマッチング不成立】

60代のAさんは、実家の田舎にある「空き家」に頭を悩ませていました。そんな時、息子から「空き家バンク」の情報を教えてもらい、早速、役所に出向き手続きをしました。

その後、登録したことで満足し、安心してしまったAさん。管理やメンテナンスを小まめに行わず、放置気味になっていました。そんな時、役所の方より物件内見の希望者がいると連絡が入りました。

慌てて内見の日程調整をし、内見を行いましたが、日頃から余り管理をしていなかったため、ホームページの写真よりずいぶん劣化した印象を与えてしまいました。修繕をせずにすぐに住める物件と思っていた希望者の意向に添えず、結果、売却のチャンスを失ってしまいました。

【売却・賃料の価格設定ミス】

そろそろ老人ホームに入居することを考えはじめたBさん。遠方都心部に住む、娘に「家」を相続をさせ「空き家」を管理させるのも忍びないという親心もあり、今住んでいる家を売りに出すことにしました。

「空き家バンク」の存在は、何となく知っており不動産会社に頼むと費用がかかると思い、無料で登録、掲載できる「空き家バンク」を活用することにしました。思い入れもあり、立地条件も悪くなく、十分住める物件だったので、値段設定は強気で行いました。

しかし、待てど暮らせど希望者は来ません。登録するだけの塩漬け状態になっており、今、不動産会社への相談を検討しています。

「空き家バンク」成功例

【DIY型賃貸借物件として掲載し貸出した】

65歳のCさんは、1年前に「空き家バンク」に登録しました。しかし、いっこうに希望者が現れる気配がありません。今の現状を息子に相談したところ、「DIY型賃貸借物件」にしてはどうか?とアドバイスを受けました。

自分で、DIY型賃貸借物件について調べて見ると、メリットがたくさんありました。早速、役所へ出向き、担当者の方へその旨を伝え、「DIY型賃貸借物件」として掲載してもらうようにホームページを改修してもらいました。

その後、DIY好きな独身男性の応募があり「空き家」で、賃貸収入を得るに至りました。男性も楽しみながら、自分の秘密基地のように、自由に「家」をカスタマイズでき、お互いにWIN=WINの関係が築けています。

参考:https://www.mlit.go.jp/common/001127624.pdf

転入者・買主が助成金を利用することによってマッチング成立

長年住んでいない「空き家」を所有するDさん。「空き家バンク」に登録するかどうか悩んでいました。

すぐに住める状態ではないので、登録しても応募がないだろうと思っていました。そうかといって、修繕や掃除をこれから自分が行い、住める状態にする気力も体力もありません。

そんな中、色々と調べているうちに、自分の「空き家」の所在する市では、移住者の誘致を積極的に行っており、転入者や買主に助成金が出ることを知りました。

購入費用やリフォーム費用の助成金を活用して、購入を考える人も多くいることを知り、思い切って「空き家バンク」に登録しました。その後、縁あって売却に成功。入居者の方が、リフォームの助成金制度を利用することにより、「人の住める家」へと変貌を遂げたのです。

失敗例と成功例から分かる「空き家バンク」活用時の留意点

「空き家バンク」は、あくまでも一つツールです。登録したからといって、問題が解決するわけではないことをしっかり意識し、問題解決に向けて自分で能動的に動くことが大切です。

成約率が高いのは、「すぐ住める状態の家」です。そのためには、登録後にも定期的に掃除や草むしりなど、できる限りのメンテナンスは必須となります。

また、価格設定も独断ではなく、専門家の方の話も聞き、需要のバランスを加味しながら決めましょう。「空き家バンク」に登録した後でも、条件の変更等は行えるので、希望者の様子を見ながら適正な価格を探っていくこともできます。

その他、転入者・買主のための助成金制度、DIY型賃貸借契約など、「空き家」問題解決に生かせそうな情報は事前に知っておくことは重要なポイントです。

「住める状態ではない家」にも可能性があるので、根気強く自分の所有する「空き家」と向き合っていきましょう。

また、「空き家バンク」は、地方移住を考えている人に向けてのサイトです。市外や県外からの移住検討者のみが活用できるツールなので、その分、購入者や賃貸希望者の枠が狭くなります。

同じ県や市に住む人で希望者がいる場合もあるので、幅広い方に向けて情報を積極的に発信したい方は、不動産会社にお願いするのがおすすめです。

「空き家バンク」のメリット・デメリット

メリット

①無料で登録できる

通常、不動産会社などを通した場合は、仲介手数料がかかります。「空き家バンク」は無料で情報を掲載し、情報発信ができる点は大きなメリットです。

②「空き家バンク」に登録することで、補助金や助成金の対象となる

それぞれの市町村で違いはありますが、「空き家バンク」を利用すると、様々な補助金や助成金を受けることができます。(リフォーム・購入費用の助成、家財撤去費用の助成、引越し費用の助成etc・・・)

このような、補助金や助成金制度が購入希望者や賃貸希望者を増やすことに繋がります。そのため、移住誘致に力を入れている自治体であればあるほど、補助金や助成金が手厚く、制度も整っているので応募者数や登録物件数が増えて、自ずとマッチング率も高くなります。

デメリット

①不動産販売の専門家ではない

「空き家バンク」は、地方自治体の「空き家対策や活用」事業の一環です。

不動産会社が行ってくれるような、積極的な販促活動や広告プロモーションは期待できません。また、自治体が行ってくれるのはあくまでも、マッチングまでです。

マッチングが成功した後の、売買契約や賃貸借契約などは自分で行う必要が出てきます。

個人間で行うには、トラブルのリスクが高いので、費用はかかりますが、できれば宅建業者と媒介契約を結び、仲介に入ってもらうのがベターです。

①地方自治体によって「空き家バンク」の有効性にバラつきがある

移住者支援や、「空き家対策」に積極的でない地方自治体とそうでない所では、「空き家バンク」の認知度や活用度合いに差があります。

積極的なところであれば、様々な支援制度が充実しており、マッチング率も高く「空き家バンク」の利用価値は上がります。

ですが、消極的であまり力を入れていない所であれば、登録しても効果が期待できない可能性があります。

<次ページ:どっちがいいの?「空き家バンク」と「不動産会社」>

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この記事を書いた人

旅行会社勤務を経て、フリーランスのライターへ転身。古民家シェアハウスに住み、Airbnbを利用して海外を旅した経験から、日本の空き家問題に興味を持ち、明るい未来に繋がる記事を書いています。

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