今、日本で顕在化してきている「空き家問題」。「空き家」所有者は年々増え続け、「空き家」について悩みを抱えている人も多くいます。
「空き家対策特別措置法」や「空き家バンク」など、国や地方自治体も、増え続ける「空き家」に対し「空き家対策」に乗り出しています。
今回は、「空き家」の売却や賃貸を考え始めたら知っておきたい、「空き家バンク」について、メリット・デメリットなど多角的な面から一緒に紐解いていきましょう。
なぜ!日本に「空き家バンク」が誕生したのか!?
そもそも「空き家バンク」ってなんだろう??
「空き家バンク」とは、地方自治体が主体となって運営する「空き家」のマッチングサイトのことです。地方移住を考えている人に向けて、地方にある「空き家」の賃貸・売却情報を提供しています。
田舎にある「空き家」を貸したい人、売りたい人と地方移住するために「家」を探している人に役立つ「空き家」の情報サイト。不動産会社では、なかなか探したり、見つけることのできない田舎・地方の物件が登録されていることがあります。
所有者は、無料で自身の「空き家」を登録することができるので、持て余している「空き家」を売却したい人や賃貸へ出したい人には、便利で心強いツールの一つです。
「空き家バンク」に登録し掲載されるまでの流れ
「空き家バンク」に物件情報を掲載するためには、「空き家」の所在する地方自治体を通して、登録をする必要があります。それぞれの市町村のホームページに、「空き家バンク」に登録する方法が詳しく記載されていますが、大まかに次のような手順となります。
- 「空き家バンク登録台帳」または「空き家バンク登録申込書」に記入し、地方自治体の役所の担当部署へ提出する。
- 「登録台帳」や「登録申込書」に記載されている内容に相違がないかどうか、担当職員の立ち合いの元、実地調査を行う。
- 紹介ホームページを作成し掲載する。その際、修繕箇所についてや賃料、売値などについて役所の職員や所有者、宅建協会などの専門家と協議が行われることもある。
参考:https://www.city.minamishimabara.lg.jp/page7896.html
「空き家バンク」に掲載されてからの流れ
「空き家バンク」のホームページには、不動産会社の物件検索サイトと同じように、物件の間取り図、水回り等を含む各所の写真、構造様式、平米数や築年数、修繕の要・不要、売値・賃料、立地条件等が詳しく掲載されます。
それらの情報を元に、地方移住を計画している人が役所の担当者へ応募し、所有者の方と日程調整を行い、「空き家」物件の内見、体験宿泊へと段階が進んでいきます。
「空き家バンク」を利用できるのは、市外や県外からの移住検討者のみという規定がある場合がほとんどなので、内見の際は宿泊される方も多いです。地域の風土と自身の生活スタイルが合うのかどうか、1週間~1 ヵ月程度、お試し移住を経験して判断する方も多くいるのが、通常の不動産会社の物件の内見とは大きく異なります。
参考:https://www.city.minamishimabara.lg.jp/page7240.html
もう他人事では済まない「空き家」増加の実態!
「空き家バンク」は、増加する「空き家」を何とか有効活用するべく始められたものです。
人が住まなくなった「家」は、本来の役割を果たせず、輝きを失い、老朽化のスピードは、驚くほど速いです。また、災害大国の日本では、「空き家」は倒壊や破損もしやすく、近隣住民にとっては凶器にもなりえます。
目を背けることができないほど、日本の「空き家問題」は、深刻です。
総務省が行っている調査報告によると、2018年の段階で日本の「空き家」総数は、およそ849万戸。総住宅数に占める「空き家」の割合は13.6%と、年々増加傾向にあります。
新築偏重の考えや不動産ビジネスの収益モデル、更地にすることによる固定資産税の増額などの様々な要因が絡み、「空き家」は壊されることなく放置され増え続ける一方で、新しい家も建ち続けるという「家余り」の状態が今の日本の現状です。
参考:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
「空き家バンク」は、SDGs(持続可能な開発目標)!!
放置される「空き家」を抑制するために、国は「空き家対策特別措置法」を2015年に施行しました。これにより、「放置空き家」に対する、監視の目や取締りも厳しくなっています。
「放置空き家」は、ゴミの不法投棄、害虫問題、治安や景観の悪化など、様々な悪影響を周辺の環境に与えます。「空き家」の対策を考えることは、未来へ負の遺産を残さないために必要不可欠なことであり、持続可能な社会をつなぐことへの貢献にもなります。
「空き家対策特別措置法」が施行され、「空き家」を放置することによる、増税や強制撤去などを心配した人達が、「空き家」の活用やメンテナンスを真剣に考えるようになりました。
「空き家バンク」は「空き家問題」の悩みを抱える「空き家」所有者にとって有効なツールの一つであると言えます。