窓口はあえて専門家ではないスタッフを
──まさに空き家の総合相談窓口ですね。どんなスタッフが対応するのですか?
弁護士や司法書士、宅建士といったスペシャリスト──と思われがちですが、そうではありません。むしろ登記や相続、福祉などあらゆる方面に知識がある「ジェネラリスト」が求められます。必要になったらそれぞれの専門家に相談なりすればいいわけですから。
とにかくうちの窓口には色々な方がいらっしゃいます。しかも「売りたい、貸したい」だけではなく「まずどうしたらいいかわからない」という方が大半なので、不動産事業者などに紹介したら終わりというわけには行きません。着地まで担当者がずっと横について走っていく〈伴走型〉の相談窓口であることが、うちの1番の特徴だと思います。
──事業内容について詳しく教えて下さい。
事業1:自治体の空き家相談窓口受託
ベースは、自治体から受託した空き家の相談窓口です。前述のとおり県内約30の自治体の窓口をやっていますが、奈良県以外からの要望も多く、京都や大阪、和歌山、徳島の自治体の窓口業務も受託しています。
この相談業務、なぜ各自治体でやらないのかというと、自治体の職員は異動が多いので、せっかく身につけた専門性を引き継いで行くのが難しいからです。だから我々がアウトソーシングとしてやっているという形です。
事業2:空き家バンクの立ち上げ・運営
独立した事業としては空き家バンクですね。これはNPOとして立ち上げた当初からやっていますので、奈良県内のほとんどの自治体の物件を取り扱っている形です。受託先自治体の空き家バンクのホームページなども全て私どもで作らせていただいています。
事業3:空き家調査と分析・提言事業
自治体の空家等対策計画の作成もやりますし、1件ずつ空き家を調査する実態調査も行っています。行政に対してデータを分析・解析して政策提言したり、補助金の新設やその制度設計を一緒に考えたりということもやっていますね。
あとは様々な分野の専門団体に仕事として空き家を紹介するプラットフォーム事業も自治体と協働で実施しています。
事業4:空き家を使った居住支援
空き家を用いた居住支援も行っています。例えば高齢者の1人暮らしや1人親世帯など、低所得で生活が苦しいという方に空き家を住居として紹介する活動です。
──空き家の売買や賃貸の仲介も手がかけていらっしゃるのですか?
事業5:空き家のサブリース
売買物件も取り扱いますが、仲介はやっていませんね。賃貸も仲介という形ではなく、サブリース契約という形で私達が一度借り上げ、入居者に転貸する形をとっています。契約ベースでいくと300件ぐらいですね。これはなかなか儲かるものではありませんが、そうでもしないと地方で空き家を賃貸として出すなんていう所有者はほとんどいませんから。
こんな感じで様々な事業を15名で回していますので、スタッフは結構パンパンの状態でやってくれていると思います。