総世帯に対する空き家の割合とは?空き家の種類を知ることでみえる、今後の活用ビジョンを考察

目次

空き家の種類ごとの割合とデータについて

ここでは「賃貸用住宅」、「売却用住宅」、「二次的住宅」、「その他の住宅」の4種類について、全ての空き家に対する割合をみていきます。

また、種類ごとの割合から、事業に役立つヒントについても整理しています。ぜひご参考下さい。

全ての空き家に対する、種類ごとの割合とは?

空き家全体に対する種類ごとの内訳は、以下のグラフをご覧ください。

2013年と2018年を比較すると

減少しているのは

「二次的住宅」(7.3%減)

「売却用住宅」(4.5%減)となっています。

一方で、増加しているものもあります。

「賃貸用住宅」(0.4%増加)

「その他の住宅」(9.1%増加)と、大きく増加している傾向にあります。

空き家の種類ごとの割合からわかること

2003年からの割合の推移をみると「売却用住宅」と「二次的住宅」の割合はほぼ横ばいですが、「賃貸用住宅」は減少傾向にあり、その分「その他の住宅」の割合が増加している傾向にあります。

色々なデータの読み取り方ができますが、放置空き家の取り締まり対象にもなっている「その他の住宅」が増加傾向にあるのは、空き家を手放す方に対して、所有者の活用や対策が追い付いていないことがわかります。

つまり、活用可能な空き家が多くなったことで、事業者として対象となる空き家の調達をすることは、以前より格段に容易になっている言えます。

効率的な資金活用をする為には、できるだけ安価で物件を調達し、そもそも調達に必要だった資金を、運用面や設備投資に回すことが良策です。

運用面や活用のサポートに関しては、自治体や空き家活用の専門機関へ支援を依頼するなど、ノウハウを学びながら事業をステップアップさせると良いでしょう。

建て方・エリア別にみる空き家の割合

さらに詳細な事業ビジョンを創造する為に、ここからはそのほかの空き家データについても確認していきます。

空き家に関する傾向を把握することで、地に足の着いた現実的な方針を構築することが可能です。ぜひ、お役立てください。

空き家の建て方ごとの割合

空き家全体に対する建て方ごとの割合は、以下のグラフをご覧ください。

ちなみに活用の用途も広い一戸建ては、2003年から2018年までで約100万戸増えており、まだまだ積極的な活用や対策が求められている状況です。

また、長屋については、ほぼ横ばいとなっており、一戸建てと共同住宅については、2013年から著しく増加幅が減っている傾向にあります。

地域ごとによって建て方の傾向も変わるため、地域に特化した事業方針とする場合は、自治体などに状況を確認しながら、地域に即した計画を構築することがお薦めです。

空き家のエリアごとの割合

次は、空き家の割合を都道府県別に確認していきます。2018年の調査によると空き家率の最も高い地域から、和歌山県・徳島県・鹿児島県となっており、それぞれ約20%の空き家率です。

また、逆に空き家の割合が低い地域としては、沖縄県・埼玉県・神奈川県となっており、地域の総世帯に対して、それぞれ約10%の空き家率となっています。

それぞれの割合からわかること

建て方ごとの割合から読み取れるのは、高齢化が進む中で空き家の増加幅が減少しており、国や自治体の取り組みが一定の成果を上げていることがわかります。

事業者としては活用方針に沿った物件を調達し、積極に活用することがまずは大切だと言えるでしょう。

また、エリアごとの割合から読み取れるのは、まだまだ地方の空き家活用が追い付いていないことが把握できます。空き家の割合が少ないのは、都心部や都心部周辺の関東エリアが中心で、都心部への通勤を考慮した活用が中心です。

しかし、今後はリモートを含めた働き方に移行する傾向もあります。

地方にある豊富な物件をうまく活用することで、少ないコストで利益を上げられる事業体制を構築できる可能性もあるでしょう。

空き家の割合からわかる今後の傾向とは。

では、ここまで確認した空き家に関するデータを基に、今後空き家を取り巻く環境は、どのように推移していくかを考察していきます。

あくまでもデータやその他資料を参考にした推察ですので、事業計画の際にはぜひ自社の考察を実施し、事業方針構築の参考にしてみてください。

今後も空き家は増えていく傾向

2013年時に行われた試算では、2028年頃までには全世帯の4件に1件が空き家となる予測もあります。

現在は空き家対策特別法などの施行により、放置空き家の伸び率も抑えられています。しかし、今後はまだまだ空き家自体の件数は増加し、総世帯に占める空き家の割合も増加するはずです。

住宅を利用する方がいなくなる一方で、空き家の活用を進める事業者や個人が増えなければ、放置空き家はこの先も増加し、地域の環境を保つことも年々難しくなります。

地域の風土や環境を守り続ける意味でも、空き家を積極活用することは、今後より更に各地から求められるようになるでしょう。

新しい働き方による、地方空き家の活用

現在は都心部やその周辺に人気が集中していますが、働き方の変化により、今後は地方空き家の活用もより脚光を浴びることが予想されます。

実際、2020年中にも多くの企業でリモートワークが取り入れられました。

自宅で仕事が行えることから、地方移住を考える方もみかけられる様になりました。

また、個人だけでなく大手企業の一部は本社機能を地方へ移すなど、今後の地域活性にも追い風となる動きがみられている現状です。

働き方の変化に伴う移住などを中心に、今後は地方や都心周辺地域などの物件価値も、少しずつ向上していくことが考えられます。

空き家に関する事業者も増える

都心部や市街地で勤務する必要が薄れることで、郊外への移住も増加し、移住に伴って空き家の活用も促進されると考えられます。

そのため、空き家活用を事業化する企業も増え、多くの空き家を一括して運用する事業者も出てくる可能性もあるでしょう。

また、空き家活用や運用に関連する企業についても、現在よりさらに増えることが考えられ、幅広い事業者の中から相性の良い企業のサポートを受けることが可能となります。

自社の強みを生かし、事業を軌道に乗せてくれる最適なパートナーを選定することが、今後の空き家事業成功の近道になると言えそうです。

幅広い空き家活用方法が求められる

今年のように突発的なインバウンド客の低下も考えられるため、多角的に対応できる空き家活用が今後は必要となりそうです。

民泊施設の場合はサテライトオフィス機能を併設したり、店舗活用の場合は住居併設するなど、対象となる利用者の幅を広げておくことが安定収益を得るために大切だと言えます。

今までの空き家活用事例を参考にしつつ、新しい発想の活用方法を事業者は考える必要があり、仕組み化し横展開することで活用規模をスムーズに広げることができるでしょう。

<次ページ:事業ビジョン構築のポイントとは>

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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