美しい港町の風景を次世代に。助成金の活用で空き家に新しい命を。町に新しい人を。

目次

若い世代の移住を定住へ。コウノヤから新たに生まれた地域とのつながり。

シェアハウス「コウノヤ」

―三軒目のコウノヤはどんな役割を担っているのですか?

豊田 古民家の活用を進めていると、若い方が町に増えることが必要だと感じ始めました。だから、三軒目のコウノヤはシェアハウスとして活用することに決めたんです。条件は、居住者自らがDIYをしながら暮らすこと。住みながら建物の修繕方法を覚え、地域との暮らしを体験する場所になればと思って創りました。

―これもまた面白いアイデアですね。居住希望者を選ばれる際の基準などはありますか?

豊田 誰でも良いから住んで欲しいという訳ではなく、面接を行い、コミュニティーを大切にできる方や協調性がある方を選んでいます。それは地域住民との暮らしを続けるうえで、協調していくことは本当に大切なことだから。作業協力ができない方などは、早めにお断りするようにしているんです。

そのお陰で、現在暮らしている25歳以下の4名は、地域に自然に馴染めています。この間も、沢山の渋柿を地域の方に貰ってきた男性は、柿をコウノヤの軒先へ吊るして干し柿に。自分で食べるのだろうと思っていましたが、なんと、地域の皆さんに引越のあいさつとして配って周り始めたんです。

それからというもの、彼は地域の人気者になっちゃいました。「ゴミの出し方わかる?」「晩御飯食べる?」なんて、困っているとすぐに助けられているのを見掛けます。こうして地域との繋がりができていくことは定住者を増やすうえでも欠かせないこと。地域の方も喜んでくれて、私達も嬉しいです。

また、管理栄養士の資格を持っている住人が中心となって作る、一食300円のお弁当も地域の方に大好評なんです。限定20食ですので飛ぶように売れ、コミュニケーションを交わすきっかけにもなっています。暮らしながら地域の一員となれる環境が、コウノヤを通して自然にできつつあると感じていますね。

このような活動を通して、移住の問い合わせも少しづつ増えてきました。若い方が移住に困らないよう「空き家情報ステーション」を開設したのもそのためです。簡単に言えば、空き家探しと修繕、地域との関係づくりをサポートし、移住・定住を促進するきっかけをつくる仕組み。このような移住者を増やす取組みは、今後はより必要となってくると感じています。

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美しい中之作地域を次の世代に。地域の理解に繋がった10年の活動と今後進んで行く道。

もちつき大会の様子

―2011年にプロジェクトを立ち上げられて約10年。楽しまれながら活動されている様子が印象的ですが、今後の展望はどのようにお考えですか?

豊田 直近では、新たにもう一軒の古民家活用を計画しています。中之作に移住してからの約10年間、地域のまちづくり協議会の方と一緒に、漁具の収集をしているんです。仕訳けもされず調書もつくられず集めたままの大量の漁具。その漁具の仕分けと展示をする、住居兼資料館を作りたいと思っています。

平日は市内で働いている移住者が、週末には資料館の館長となる「博物館の家」。まちづくり協議会の方も「そんな空き家の使い道があるんですね」と驚いてくださって、現在協力して計画を進めている段階です。

また、地域の高齢者へ向けた、「住まいの終末ノート」の作成も考えています。空き家の活用も大切ですが、新たな空き家を生みださないことも大切なこと。「住まいを誰に、どのように残し、どのように使って欲しいか」を家主さんが生前に意志表示しておけるよう、建てたときの想いから誰に譲るのかまでを、事前に回答できる仕組みを作っておきたいと考えました。

このノートを高齢者の皆さんを中心に書いてもらうことで、”中之作地域らしい建物”を次の世代に繋ぐ、地域の資料を作っておきたいと考えています。また、空き家の活用方法・処分方法などで分からないことがあれば私達に相談する窓口も用意し、譲る先が無い場合は任せて貰える仕組みも用意しておく予定です。中之作らしい風景=建物を次世代に繋いでいくコミュニティも、今後はデザインしていく必要があると考えています。

空き家セミナーの様子

―約10年の中之作プロジェクトの活動を振り返り、どんな想いがありますか?

豊田 「衝動買い」から始まったプロジェクトですが、これまで沢山の方々のご協力もあり、少しづつ地域の皆さんの理解が得られていると感じています。

作業を一緒にする時は、大変な時こそイベントにして楽しむのが私達のやり方。競争やゲームとして盛りあがりながら、自分も楽しんでこれまでやってこれました。そんなこんなで気がつくとプロジェクトの立ち上げから約10年。メンバーは順調に10歳年を取り、若いメンバーを加えていなかったことで”プロジェクト自体も高齢化が進んでいる”ってことに最近気づいたんです。

だからこそ今後は、若い方が主役となって楽しめる環境づくりをしていきます。先頭に立って楽しんできた私達も、いよいよ一歩下がってサポート役にまわろうと思ってるんです。そして中之作地域の美しい風景や暮らしを、次の世代へ。その想いを実現する為に、今後も笑顔で活動をしていきたいと考えています。

豊田善幸さん・千晴さん

(了)

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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