空き家問題の最前線を知る!「空活会議(アキカツかいぎ)」開催!

空き家活用株式会社は、日本の深刻な社会問題となっている「空き家問題」を解決することを使命とし、空き家の再流通システムの構築や新たな利活用のモデル作りを行っているベンチャー企業だ。その空き家活用株式会社が、空き家問題の最前線について発信、そして皆で考えるためのイベント「空活会議(アキカツかいぎ)」を、2021年10月26日(火)に開催した。

ゲストは自治体代表として東京都世田谷区と北海道栗山町の各担当者、そして空き家を活用した地元栗山町の町おこしに力を入れているタレントのバービーさん。

空き家は、親の死などによって誰の人生にも関係してくるトピックであり、安心安全な町づくりの観点でも避けて通れない問題だ。横たわる課題は複雑で、超えるべきハードルは高い。そのため、世間ではネガティブな話題として取り上げられがちだが、今回は「誰にでもわかりやすく、わくわく伝える」がコンセプト。実際、出演者によるトークセッションも時折笑いを交えながら、終始明るい雰囲気で盛り上がった。その詳細をレポートする。

アキカツが見てきたこと。そして空き家問題に必要な事業とは?

まずは、「空き家問題に取り組む空き家活用株式会社の事業の最前線」として、これまで同社が行ってきた事業の振り返りを、和田貴充代表自らプレゼンテーションした。その要旨は以下の通りである。

和田 空き家とは、国交省の定義によると「建築物又はこれに附属する工作物であって。居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」である。問題は数で、全国に6240万戸ある住宅のうち、849万戸が空き家だと言われている。この内の未流通の空き家349万戸が、非常に課題であると私たちは認識している。さらにその内の戸建てと長屋、約270万戸が特に大きな課題を抱えており、その他大勢の空き家の所有者予備軍の課題と合わせて、解決していく事が私たちのミッションだ。

和田社長

そのために私たちが把握しようと努力したのが所有者の実像だ。空き家活用というと一般的には売買や賃貸など不動産取引段階での課題が注目されがちだが、当社が100件以上の所有者から聞き取り調査した結果、実は「今するべき対応がわからない」「どんな選択肢があるか分からない」「どこに相談したらいいか分からない」といった、利活用以前の段階で止まってしまっていることが明らかになった。実はここにこそ、総額20兆円を超えるとされる空き家の潜在的市場が、いまだ明確にマーケット化されていない理由があると私たちは考える。

そうした所有者の状態を解決に導き、空き家をマーケット化するために必要だと考えているのが、「集める(情報収集)」「動かす(所有者の行動喚起)」「決める(活用までやりきる)」の3つのステップだ。

まず「集める」のステップとして私たちが行ったのが、東名阪+近県での実態調査である。徒歩や自転車などのいわゆるローラー作戦により、約16万件の空き家の現状を把握した。その情報を、不動産仕入れ情報としてWEB有償提供するのが「AKIDAS」というサービスである。

そして次の「動かす」「決める」のステップ、つまり空き家所有者の課題を解決まで伴走するサービスを、これから続々と事業化していく予定である。

その第一歩として行ったのがCIの一新とリブランディングだ。キーワードは「ハイフン」。空き家の所有者と利活用希望者を“つなぐ”、または人と街を“つなぐ”、都会と地方を“つなぐ”という、私たちの意志を込めている。

2つ目が「空き家活用ナビ」というサービスだ。これは、所有者を動かし、活用まで寄り添うサービスの核となるもので、オンラインとオフラインの垣根なく、空き家所有者の対応や、利活用できる空き家の紹介を行うサービスカウンターである。特徴的なのは「アドバイザー」という存在を設けたこと。これにより、前記した“誰に相談したらいいか分からない“という、意思決定前の課題を解決していく。実際に、世田谷区との協定を結んだ事業として「せたがや空き家活用ナビ」を2021年11月24日より段階的にローンチしている(詳細後述)。

これらの事業は、それ自体がSDGs達成につながるもので、現在は4項目(目標3 すべての人に健康と福祉を / 8 働きがいも経済成長も / 11 住み続けられるまちづくりを / 12 つくる責任つかう責任)を意識しているが、将来は全17項目に対応できるようになることを宣言する。

そして、何より大事にしているのが「As a Neighbor」 という言葉だ。まるで所有者さんの隣人のように同じ目線で一緒に考え、一緒に悩み、最後は背中を押してあげる存在を目指している。

世田谷区の空き家対策。アキカツとの協定とその背景。

続いては、全国的にも珍しい取り組みである世田谷区との連携プロジェクト「せたがや空き家活用ナビ」の背景について、空き家活用株式会社和田貴充代表と、世田谷区防災街づくり担当部建築安全課空家・老朽建築物対策担当係長の千葉妙子氏が説明した。以下その要点である。

世田谷区 千葉妙子氏と

千葉さん 世田谷区の空き家の数は、実は非常に多い。状態は良いものから悪いものまで様々だ。世田谷区は人口も商圏も大きいため、空き家を使いたい人はたくさんいるはずだが、それでも空き家ができてしまうことが課題だと思っている。

その対策として空き家相談窓口を作ったが、所有者は自発的に相談してくれないという厳しい現実に直面した。どうやったら「相談」という最初のアクションを起こしてもらえるか? 例えばインターネット上で気軽に登録できるなど、敷居を下げることがまず必要ではないかと思い、民間企業に公募をかけたというのが経緯だ。

今回空き家活用株式会社と連携するに至った一番の決め手は、空き家所有者からアプローチしてもらうための仕組みが面白かったことだ。というのも、世田谷区が調査したものを利用して、区から独自に所有者に呼びかけることは、個人情報保護の関係から出来ないからだ。

今回の取り組みをきっかけに、空き家所有者には、売ったり貸したりするだけでなく、地域貢献など様々な活用法があることを伝えたい。そうした提案が複数社から上がり、具体的な活用方法が実際に生まれていくことを楽しみにしている。

今回の取り組みは全国的にも前例の無いことで、自治体としては正直不安ではあるが、空き家問題は民間の力なくして絶対に解決できない。最初は手探りになるだろうが、課題意識を空き家活用株式会社としっかり共有し、知恵を出し合って進めていきたい。

いずれにせよ、空き家所有者が納得のいく活用方法を、最終的に見つけられるかどうかに尽きると思う。

和田 直接のきっかけは、世田谷区の公募に応募したことだ。私たちがやろうとしていることと、世田谷区がやりたいと思っていることが、非常に一致すると直感したからだ。その後、紆余曲折を経て協定を採択された訳だが、その直感は間違っていなかったと確信している。

そもそも空き家所有者の調査は、世田谷区以外にも多くの自治体で行われているが、調査結果をどう使っていくかという方法論を持たないで進めているケースが多く、結果的に調査そのものが無駄になってしまったり、データベースとして十分活用できていなかったりという印象だ。

その理由として、所有者のメンタルな課題と物理的な課題が複雑に絡み合っていることにあると思う。

メンタルな課題は、思い出や親からもらったものという意識。こうしたことを複合的に理解して相談に乗り、解決に向けて伴走してあげる人や場所が必要である。

物理的な課題は距離だ。例えば、空き家は世田谷区にあるが、所有者は他の遠くの町、海外に住んでいるというケース。だから相談したくても相談出来ない。

これらの課題解決に向けた人的な取り組みを、Webサービスなどで補完しながら、あくまでも空き家所有者の気持ちに寄り添うサービスを目指したい。もちろん、官民連携事業として行う以上、個人情報などのセキュリティ面にも十分に気を配りながら、まずは事案を一つずつ積み上げて行きたい。

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