立原さんは都内の企業で会社員として働きながら、空き家のシェアハウス活用を目指している20代の女性。多くの方の暮し方を変えたコロナ禍で、彼女も自身の生き方と向きあうこととなり、その過程を通して出会った3人の仲間と共に、鎌倉でシェアハウス創りに取り組まれています。
空き家活用の経験もない中で、DIYを中心としたリノベーションを行うことで経費を圧縮。さらにはDIYをワークショップ形式として開催し、参加者と共に作業することで週末のみの限られた時間を有効活用するなど、女性メンバーだけでも工夫次第で負担なく、楽しんで活用できることを体現されています。
「人を助けるには、まずは自分を満たすことから」
”人のためになりたい”と強く思った人だけが辿り着く結論から、「自分が楽しいと思える」「やりたい、ワクワクする」そんな気持ちを中心に据え、自分の気持ちも大切にしながら活用を進められている姿が非常に印象的でした。
気分が落ち込んだ時に助けられた、長崎のシェアハウスのような空間をひとつの指標とする彼女。
物件取得の方法から新しい活用のアイデアまで、現在進行中のシェアハウス創りについてのお話を伺いました。空き家の活用や事業転用を考えられている方に、是非ご参考頂きたい内容です。
会社員と両立しながらの約1年。
ワークショップ開催が実現した私の現在地。
―立原さんは働きながら空き家活用をされていますが、勤務はどのようにされているのですか?
現在は都内の企業で、webメディアの記事企画や編集に携わる仕事をしています。その為、取材以外は在宅やリモート勤務が中心です。副業も認められている会社ですので、その部分では助かっていますね。
―仕事と両立するのは大変そうですが、負担は感じられていないですか?
はい、やってみたいことですので精神的な負担はありません。でも基本的には毎週末、少なくとも週に1回は物件に足を運んでいるので、体力的な負担を感じる時は正直あります。意識的にオフの時間を作らないと体力がもたないなとは最近感じています。
やりたい気持ちの芽生え~現在に至るまで
―そうですよね。現在もご自身のnoteやSNSで経過発信もされていますが、楽しんでDIYされている印象です。まずは読者の方に向けて、立原さんのこれまでの活動を時系列で教えてください。
「HafH(ハフ)」という宿のサブスクサービスを利用して、長崎の拠点に滞在した夏が経験のきっかけとなりました。そこは会員限定のシェアハウス のような場所。色々な事情があった中思い切って飛び込んだ環境は、自分にとって本当に有益な時間でした。秋に都内に帰るころにはすでに「シェアハウスをやりたいなあ」という気持ちが芽生え始めていたんですよね。
それをきっかけに、秋から冬の期間を使って、「ADDress(アドレス)」という全国の空き家リノベーション物件へ滞在できるサービスを活用し、色々な所で実際に暮らすことを始めました。まさに「ADDress(アドレス)」って、空き家活用のサービスですよね。各地の空き家物件での暮しを経験することで、自分がどういう場所を創りたいのかを、言語化することを目的に利用していました。
その頃は「30歳くらいまでにできたら」と思っていたので、とりあえず鎌倉辺りに移住してみようと考え、年明け頃から物件をゆったりと探し始めました。地元の方とのネットワークを作ることで、良い物件が舞い込んできたらいいなと思いつつ、移住を視野に入れ始めたのはこの頃からです。
そうして、春になる頃には自分がどんな場を作りたいのかをぼんやり言語化することができました。それまでは、”どういうことを大事にしていきたいか”や”活用を通して私はなにをしたいのか”、自分は”なにを良いと感じるのか?その要素は?”みたいにノートにとにかく書き出す作業をしていましたね。
まさにそんな時に、今の物件のオーナーの娘さんと出会うこととなったんです。私が周囲に空き家を探していることを伝えていたからなのか、人づてに想いが伝わる事となり一緒にシェアハウス創りをすることに。それまでの無駄とも思える物件探しも、意味があったのだと繋がった瞬間でした。
その後は物件のオーナーさんにも実際にお会いして、費用面のお約束について書面も取を取り交わすことに。それから少しずつDIYを始めたのですが、仕事の両立を模索する中で2021年7月には鎌倉への移住を思い切って決断しました。お陰で時間や体力の負担は、かなり楽になったと感じていますね。
それからは、8月中のワークショップ開催を目指してDIYを進め、インフラ面やエアコン等の設備を整えました。そんなこんなで8月の後半に、ぎりぎりワークショップの準備が完了。定期的な開催のための準備をしながら、週末はDIYを進めているのが現状です。
Twitterなどの発信だけをみれば楽しそうな空き家活用に思えますが、実態は結構ハードなこともやっています。床をはがしたり貼ったり、天井をはがしたり貼ったり。これまでDIYには全く縁のない人生を歩んできていたので(笑)、昔からの友達にはびっくりされることも多いですね。