自分を満たす場所だから、大切な人を癒すことができる。働きながら創る新しい空き家活用のカタチ

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義理と人情と人とのご縁が、活用を円滑にする。

―立原さんは3名の仲間と活用を進められていると伺いましたが、それぞれどのような方ですか?

一人目は大学生の女の子ですが、実は空き家のオーナーの娘さんなんです。その子にとっては祖父母の家にあたるのですが、誰も住まれていないので2年くらい空き家になっていました。彼女としても幼いころに、おじいちゃんおばあちゃんにかわいがってもらった記憶の残る、想い出の場所。取り壊したり売却すれば、二度と立ち入れなくなるため、シェアハウスとして活用できたらいいと彼女も考えていたそうで、丁度そんな時に出会いました。

私は私で長崎から帰ってきて、東京近郊に同じような環境のあるシェアハウス作れないかなと考えていた時期。鎌倉辺りでと物件を探していた頃に知り合いました。その後、物件を見学させて貰うことになったのですが、まさに思い描いていた通りの環境で、考えていたコンセプトを実現できる物件だと思いましたね。さらには彼女自身も素敵なパーソナリティーの持ち主で、一緒に協力して創り上げたいと思える人物。これには本当にご縁を感じてしまいました。

2人目は不動産の仕事をしている30代の男性なんですが、学生時代にシェアハウスを立ち上げた経験があるので、アドバイザーのような立ち位置でサポートして貰っています。経験のない私たちにとっての心強い味方です。

その後、取り組みに興味を持ってくれた3人目の男性メンバーが加わり、現在は私を含めた男女4名程度で進めています。

その中での私の役割は、空き家オーナーの娘さんである大学生の女の子と共に共同代表のような立場で動いています。やっているのは、シェアハウスの構想や今後の方針を一緒に計画したり、ワークショップなどの企画をしたり。大変なこともありますが、奇跡のようなご縁で出逢うことができたメンバーと、今後も楽しみながらシェアハウスを創り上げてげていきたいと思っています。

所有者の想いを大切にしたDIY。

―オーナーの娘さんがメンバーということは、空き家は無料で取得されたのですか?

はい、非常にありがたいことに、物件自体は無料で使うことができています。おじいちゃんはご健在ですが、(建物の)権利は娘さんのお父さんに移っています。改修中は税金等の支払いもオーナーであるお父さんにして頂いている状態です。

―ということはオーナーさんもすごく協力的なんですね。

そうですね。そういう意味では私達はすごく恵まれていて、空き家活用を考えられている方の参考になるか少し不安な気持ちもあります。でも、空き家活用に携わってみて感じられたのは、人情や気持ちで動いてくれることって、結構あるものなんだなあ。ということです。

お父さんというと距離があるように感じますが、本当に色んなサポートして下さっていて。いつも親身になって応援頂いていて感謝していますね。

―それは、ありがたいですし心強いですね。では一方で苦労などはありましたか?

おじいちゃんを中心としたご家族にとって、空き家物件は非常に思い入れのある場所ですので、始めは皆さんの気持ちを汲むことをとても大切にしていました。一緒に草むしりをしながらここでの想い出を聞いたり、「どういう風に使っていたんですか?」と建物の使い方を聞いたりと、ご家族の気持ちを大切にするということに関しては、今もには意識をしています。

―なるほど。所有者の方の気持ちを汲むことは意外と大切ですよね。ということは、一番思入れの深いであろうおじいちゃんにも、現在は納得して貰っている状態ですか?

実は以前、おじいちゃんの気持ちを知るために、孫にあたるメンバーから空き家をシェアハウス活用することについてどう思うか、聞いて貰ったんですよね。そうしたらおじいちゃんは意外にも、「収入になるんだね、いいね!」と快く賛成してくれたと聞いています。予想外の反応でしたが賛成して貰えて、本当に嬉しかったですね。

―では、具体的な収益の分配など、金銭面についても決めごとを交わされているんですか?

その辺りはオーナであるお父さんとはお話はしていますね。現状では家賃と、建て替えて頂いている修繕費を一部お支払いし、収入が入れば均等に分配するお約束をしている状態です。

DIYワークショップで応援者を募る!
新しい空き家活用のカタチ。

―女性だけでのDIYは大変そうですが、工夫されていることはありますか?

シェアハウスは私たちだけで作業している訳ではなく、DIYワークショップを開いて、参加者の方と一緒になって作業をしています。費用も抑えられるうえに、多人数でしかできない作業もできてしまうので非常に助かっているんです。作業を通して友達同士の繋がりができたりもするので、毎回楽しく作業することができていますね。

―面白い仕組みですね。DIYワークショップはどのような内容なんですか?

始めは大工さん来てもらってアドバイスを貰い、丸のこの使い方など基本作業を皆で学びます。ちなみに参加費は無料。「参加費貰ったらいいじゃん」という声もありますが、手伝って貰っているので、ただただありがたい気持ちです。ただ、作業を通して実際に住んでみたいなあって思ってくれる人が、どんどん増えていくいいなあと思ってやっています。

これからも隔週で開催する予定で、5名から10名くらいずつ参加者を募って作業していきたいと考えているんです。力作業はやはり男性が居ると助かりますが、私達も作業できているので女性でも充分DIYはできます。気になられる方や空き家活用を考えられている方は、是非まずは私たちのワークショップに気軽に参加して貰えると嬉しいですね。

<次ページ:シェアハウスの向こう側。やりたいことは尽きない>

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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