必要書類や時間、費用について
ここからは「成年後見人制度」を活用する場合の必要書類や、手続に掛かる時間と費用を整理しておきます。法定後見人制度を活用する場合は多くの書類も必要となりますので、事前にきちんと把握しておくと便利です。
成年後見人申立て手続き
後見人制度を活用する場合は、申立て手続が必要となりますが、御本人(親御さん)の住宅物件や空き家のある地域の家庭裁判所に申立てを行うのが一般的です。後見人手続きの際は、裁判所に対して後見人を推薦することも可能ですがあくまで推薦のみとなっており、最終的には家庭裁判所が総合的に判断し決定を下します。
申立てが可能な人物は、本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長の範囲です。4親等内の親族を具体的に整理すると、御本人(親御さん)からみた両親、祖父母、兄弟姉妹、子、孫、ひ孫、いとこ、叔父、叔母、甥、姪などとなります。後見人を推薦する際は、申立人自身を推薦することも可能ですので、あわせて覚えておくと良いでしょう。
最も注意が必要なのは、一度申立てを行うと、申請の取り下げが認められない点にあります。例えば理想的な後見人が選ばれなかった場合も、申請を取り下げ手続き自体を無効にすることはできません。そのようなケースも想定し、事前に周囲との相談や検討を重ねておくことが大切です。
必要書類
申立てに必要な書類は、申請前に対象となる家庭裁判所などに確認することをお薦めします。下記は、一般的に必要となる書類の一覧です。参考までにご確認ください。
- 後見開始申立書
- 申立付票(事の経緯を説明するもの)
- 後見人等候補者身上書
- 親族関係図
- 本人の財産目録
- 本人の収支予定表
- 本人の健康診断書
- 本人及び後見人等候補者の戸籍謄本
- まだ成年後見等の登記がなされていないことの証明書
期間と費用について
申し立てから後見人認定までの期間は、約2~3ヶ月が一般的と言われており、本人との面接や医師への確認、親族への意向確認を経て認定となります。また、申し立ての費用は数千円から数万円程度が目安です。これ以外に家庭裁判所の判断によって、ご本人の状態を医師などによって調査する「鑑定」を行う必要がある場合もあり、鑑定に掛かる費用として別途10万円程度必要となる場合があります。
これらの手続を経て、家庭裁判所が処理を終えれば、法的に認められた後見人と定められます。
居住用と非居住用によって異なる不動産売却
不動産売却を代理で行う場合、「居住用」と「非居住用」によって必要な手続きも異なります。ここでは「居住用」と「非居住用」の見分け方と、それぞれの場合の売却方法をお伝えしていきます。
「居住用」と「非居住用」の見分け方
「居住用」と「非居住用」の不動産の見分け方は、大まかに分けて本人の居住用物件であるか、そうでないかに分けられます。しかし注意が必要なのは、「居住用」の場合は現在住んでいる住宅のみを指すのではなく、一時空き家となるが入院中の御本人(親御さん)が戻って来る予定などがある場合も「居住用」となります。
このような「居住用」に分類される不動産であれば、売却に際して家庭裁判所の許可を得る必要があります。許可を得ずに売却した場合は契約自体が無効となりますので、必ず事前に確認し手続を行いましょう。また、不動産売却以外にも賃貸借契約の締結や解除、ローンを組む場合にも許可が必要となります。
「居住用不動産」の売却方法
居住用不動産の売却方法は、家庭裁判所の許可を得たうえで手続を行うこととなります。許可を得た場合は、専門機関や不動産を扱う業者などを通し、売却することが可能です。居住用物件売却の際は、家庭裁判所の許可を得ることがポイントと言えます。民法で定められた手続となりますので、必ず許可手続きを行いましょう。
ちなみに許可が必要な理由としては、御本人(親御さん)を保護する目的を軸としています。生活において重要な住宅の取引ですので、施設などから帰ってきた場合にも住宅が確保されるよう、丁寧に確認を行うのです。また認知症などの場合は、住環境の変化も進行に大きな影響を与える場合もある為、第三者によるチェックを行い、御本人(親御さん)を保護しています。
「非居住用物件」の売却方法
非居住用不動産の売却をする場合は、家庭裁判所の許可を得る必要はなく、一定の条件や手続きや条件を満たせば、居住用に比べ比較的容易に売却が可能です。御本人(親御さん)の住宅ではない為、過度に保護する必要性はないと考えられていますが、売却条件を満たす必要があります。この後お伝えする注意点の中でご紹介している、売却のポイントもあわせて確認しておくと安心です。
空き家を不動産売却する場合の注意点
「居住用物件」の無許可売却は認められない
繰り返しになりますが、居住用物件の無許可販売は認められていません。無許可で販売すると契約自体が無効となりますので、取引に必要となる手間や労力も無駄なものになります。また、御本人(親御さん)の同意なしで販売した場合は、家庭裁判所より成年後見人に適していないと判断され、解任に至ることもあるので注意が必要です。
「非居住用売却」の場合は、売却理由が必要
非居住用不動産を売却する為には、家庭裁判所の許可を得る必要はありませんが、売却理由を提示する必要があります。提示された売却理由が、後見人自身や親族の利益を目的とした場合は認められませんので注意が必要です。特に不当な理由を提示した場合は、成年後見人の義務を果たしていないとみなされる場合もあります。
売却理由が正当なものである基準としては、御本人(親御さん)の生活費や施設利用に掛かる費用など、御本人(親御さん)の生活や利益に直結するものであることが大切です。当然、相場より不当に安く物件を売却したりすることも認められません。成年後見人の役割を意識しながら、不動産売却を進めることが大切だと言えます。
不動産売却や手続きなら、専門機関への相談も
親御さんの認知症が進めば、手続きなどによる負担も大きく、手間も掛かるものです。そのうえ、不動産売却の手続きや成年後見人の申請以外をしながら、親御さん自身への対応も必要となります。ご自身のみで不動産売却や空き家の対応が難しくなった場合は、空き家に関する専門機関も多くありますので、相談しながら進めるのも一助となるでしょう。
不動産売却以外の活用法も視野にいれて
これまでご自身で手続を行うケースをご紹介しましたが、弊社「空き家活用株式会社」も空き家専門企業のひとつです。所有者とユーザーのマッチングから、空き家の運用や活用のご相談にも対応しています。
また、今回のケースのような不動産売却のアドバイスはもちろん、そのほかの活用法もノウハウを含めてご提示しています。
成年後見人や不動産売却のご相談、空き家活用や運用のご協力まで、専門的で幅広いサポートが当社の強みです。
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(了)
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