ここ数年、動画視聴や音楽ダウンロード、レンタカーや食事に至るまで、多様な定額課金のサービスが普及しています。 そんな中、“住居のサブスク”として「全国各地にある利用されていない空き家を、自分の住まいとして利用できる」という サブスクも人気を集めています。
2021年のサブスク大賞に旅のサブスク「HafH」が選ばれたこともニュースになりました。
本記事では、空き家サブスクリプションの代表的なサービスと、サービス利用におけるメリット・デメリットなどをご紹介 していきます。
空き家のサブスクリプションとは?
空き家のサブスクリプションサービスと聞いてもイメージしづらいもの。
様々なサブスクリプションサービスがありますが、初めに概要から整理します。
どうすればどのように利用できるのか、知ることから始めていきましょう。
近年注目のビジネスモデル・サブスクリプション
そもそもサブスクリプションがわからない。
そんな方に向けて、まずは簡単に意味や特徴を整理しておきます。
最もわかりやすい表現をすれば、サブスクリプション=「定額制〇〇放題」です。
月額などの料金を支払うことで、定められた期間にサービスを利用できる形態。
NetflixやAmazonprimeなどの動画サービスやOisix、Timesカーシェアなど、幅広いサービスに採用されているビジネスモデルとなっています。
空き家のサブスクリプションで全国に家を持つ
空き家のサブスクリプションを分かりやすく表現すれば「定額制住み放題サービス」です。
利用者は月額など定額料金を支払えば、登録されている一軒家に住むことができ、仕事や趣味などの予定にあわせて、自由に住居を利用することができます。
サブスク事業者の多くは、購入または譲り受けた空き家・別荘を修繕・リノベーションし、住みやすいシステムや環境を整えて、利用者へ提供しているのです。
それぞれ、サービス毎に利用可能な物件や付加価値が異なりますので、利用者は用途や活用エリアにあわせたサービス選択が基本。
法人利用が可能なサービスも増えてきており、利用者も増加しているのです。
空き家サブスクリプション利用者が増えているワケ
空き家サブスクの先駆け「ADDress」は、以前行った30名程の会員募集に千人もの応募が殺到。
2030年までに100万人の登録者目標を掲げるなど、同業態をけん引しています。
ではなぜ、ここまで空き家サブスクが注目されているのでしょうか。
ここでは、その理由について考察していきます。
理由①コロナ禍によるリモートワークの浸透
数年前からプログラマーやライターなど、フリーランスを中心に注目を集めるサービスでしたが、2020年からのコロナ禍によるリモートワークの普及が、一般利用者増の一因となっています。
一般の企業に勤めるサラリーマンにまでリモートワークが普及した昨今では、個人だけでなく、サテライトオフィスとしての法人利用も増加傾向にあり、幅広い層に利用しやすいサービスとなりつつあるのです。
理由②都市部に住む若者の移住意識の変化
内閣官房が2020年に、東京圏を対象に行った地方移住などの意識調査では、約半数の人が地方移住に興味を持っており、その割合は若い層ほど多くなっています。
脱東京が掲げられ地方移住政策も推進される中、実際に移住を計画する人も少ないのです。
その要因としては、働き方や生活の多様化が進んでいることが考えられます。
リモートワークやフリーランスのほか、移動販売やインターネット関連事業など、働く場所と生活圏が同一でなくても、充分に収入を得ることができるようになりました。
終身雇用も難しくなった現代では、ステータスよりも生きがいを求め、より個人の楽しみや生活を大切にする生き方を選択する人も増えてきています。
そのような価値観の変化からも、空き家サブスクの注目度の高まりが理解できるはずです。
理由③サービスの提携が加速
冒頭でも例に出したADDressは、会員企業のほか、家具や物資の提供などにおいて、数十社との提携を進め、事業を多角的に広げる戦略をとっています。
なかには不動産業者や航空会社、自治体との提携もみられ、サービスの相互利用や企業の強みの相互共有を行って、互いに利益のあるパートナーシップとしているようです。
このような取組みも足掛かりとなり、利用者が増加している傾向にあります。