ランキングから見えてくる東京の現状
続いて、全国の空き家”戸数”ランキングを見ていきましょう。空き家率ではランクインしなかった東京23区や県庁所在地を有する市が並びます。
1位:東京都世田谷区 49,070戸
2位:東京都大田区 48,080戸
3位:鹿児島県鹿児島市 47,100戸
4位:大阪府東大阪市 44,180戸
5位:栃木県宇都宮市 44,050戸
6位:東京都足立区 39,530戸
7位:大阪府吹田市 38,540戸
8位:愛媛県松山市 38,360戸
9位:岐阜県岐阜市 38,320戸
10位:兵庫県尼崎市 37,130戸
参照:日本経済新聞データhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO54298260Q0A110C2EA1000/
2020年1月の日経新聞に掲載されたこのデータは、不動産業界だけではなく多くの人に衝撃を与えました。
これまでも「空き家問題」は長らく議論されてきていましたが、それは過疎化や高齢化が進む地方の話で、東京都を中心に大阪や愛知、県庁所在地といった都市部には関係のないことという空気感がこのデータが発表されたことで一変しました。
東京の空き家戸数と人口の関係
前項でご紹介した全国の空き家戸数ランキングに都内、しかも東京23区が3区もランクインしていることに疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
なぜこのような結果になっているのかを、東京都の色々なランキングをもとに分析していきたいと思います。
東京都内の空き家率と空き家戸数の現況
まずはこちらをご覧ください。
参照:東京都住宅政策本部「空き家の現状と取組」から
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_kcs/pdf/h27_10/shiryo_27_10_08.pdf
東京都では、住宅政策を一層加速し、機動的に展開していくため、平成31年4月1日から都市整備局に住宅政策本部の設置しています。
上図は、総務省の住宅・土地計画書をもとに、東京都住宅政策本部が都内の空き家率と空き家戸数の現況を市区町村別にまとめたものです。
空き家戸数は、全国ランキングにもある通り1位大田区であり、世田谷区、江戸川区が続きます。
1位 大田区 62,000戸
2位 世田谷区 53,000戸
3位 江戸川区 38,000戸
4位 練馬区 36,000戸
5位 杉並区 36,000戸
6位 板橋区 35,000戸
7位 足立区 35,000戸
8位 豊島区 30,000戸
9位 新宿区 29,000戸
10位 中野区 29,000戸
11位 八王子市 29,000戸
一方、空き家率は前項でもご紹介の通り、豊島区が最も多く、次いで大田区、武蔵野市と続きます。
1位 豊島区 15.8%
2位 太田区 14.8%
3位 武蔵野市 14.1%
4位 中野区 13.7%
5位 千代田区 13.3%
6位 青梅市 13.2%
7位 港区 12.9%
8位 日野市 12.8%
9位 国立市 12.7%
10位 福生市 12.7%
この2つのデータから分かる通り、空き家率と空き家戸数は相関関係にはありません。
【東京都】市区町村別高齢化率ランキング
全国の高齢化率は28.9%に対して、東京都の高齢化率が23.4%。
社会福祉では、高齢化率が7%未満の社会を「高齢化社会」。14%以上を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」と定めています。
日本は世界にも類を見ないスピードで高齢化が進んでいる国であり、それに付随する課題に対して国家としてどう取り組むかを世界中がかたずをのんで見守っています。
1位 西多摩郡日の出町 37.4%
2位 青梅市 31.4%
3位 福生市 30.5%
4位 あきるの市 30.1%
5位 多摩市 29.6%
6位 清瀬市 29.4%
7位 西多摩郡瑞穂町 29.1%
↑
全国 28.9%
↓
8位 東久留米市 28.6%
9位 東村山市 27.9%
10位 町田市 27.6%
11位 八王子市 27.5%
12位 昭島市 27.0%
13位 東大和市 26.8%
14位 立川市 26.7%
15位 武蔵村山市 26.5%
16位 羽村市 26.5%
17位 足立区 25.7%
18位 北区 25.4%
19位 日野市 25.3%
20位 葛飾区 25.1%
21位 西東京市 24.7%
22位 狛江市 24.7%
23位 練馬区 23.9%
24位 板橋区 23.9%
25位 杉並区 23.6%
26位 小平市 23.4%
↑
東京都 23.4%
↓
27位 国立市 23.1%
28位 台東区 23.0%
29位 荒川区 22.8%
30位 武蔵野市 22.8%
31位 大田区 22.7%
32位 三鷹市 22.6%
33位 稲城市 22.6%
34位 世田谷区 22.5%
35位 墨田区 22.4%
36位 国分寺市 22.2%
37位 府中市 22.0%
38位 調布市 21.9%
39位 中野区 21.9%
40位 渋谷区 21.3%
41位 小金井市 21.3%
42位 江戸川区 21.1%
43位 江東区 21.1%
44位 品川区 20.5%
45位 豊島区 20.4%
46位 新宿区 19.7%
47位 文京区 19.5%
48位 目黒区 19.5%
49位 千代田区 17.4%
50位 港区 17.2%
51位 中央区 15.4%
※全国 28.9%
※東京都 23.4%
都内の高齢化率では、多摩地域を中心とする市町村がトップ10を占め、その他の市が後に続きます。
空き家戸数ランキングとは一致しないため、高齢化率が空き家戸数の増加に直接関係するとは言えないことが分かります。
【東京都】市区町村別人口ランキング
単位(人)
1位 世田谷区 903,346
2位 練馬区 721,722
3位 大田区 717,082
4位 江戸川区 681,298
5位 足立区 670,122
6位 八王子市 577,513
7位 杉並区 563,997
8位 板橋区 561,916
9位 江東区 498,109
10位 葛飾区 442,913
11位 町田市 432,348
12位 品川区 386,855
13位 北区 341,076
14位 新宿区 333,560
15位 中野区 328,215
16位 豊島区 291,167
17位 目黒区 277,622
18位 府中市 260,274
19位 墨田区 256,274
20位 港区 243,283
21位 調布市 229,061
22位 渋谷区 224,533
23位 文京区 219,724
24位 荒川区 212,264
25位 西東京市 200,012
26位 台東区 198,073
27位 小平市 190,005
28位 三鷹市 186,936
29位 日野市 186,283
30位 立川市 176,295
31位 東村山市 149,956
32位 多摩市 146,631
33位 武蔵野市 144,730
34位 中央区 141,183
35位 青梅市 137,381
36位 国分寺市 122,742
37位 小金井市 121,396
38位 東久留米市 116,632
39位 昭島市 111,539
40位 稲城市 87,636
41位 東大和市 85,157
42位 あきるの市 80,954
43位 狛江市 80,249
44位 清瀬市 74,864
45位 国立市 73,655
46位 武蔵村山市 71,229
47位 千代田区 58,406
48位 福生市 58,395
49位 羽村市 55,833
50位 西多摩郡瑞穂町 33,445
51位 西多摩郡日の出町 17,446
高齢化率ランキングとは反対に、23区が上位を占め市町村が下位に並ぶ結果となりました。