都内駅前の空き家の不動産的価値は?売却の前に知るべき活用方法

国土交通省が2015年に開いた社会資本整備審議会・住宅宅地分科会によると、東京都の戸建てなどの「空き家」のうち5万5400戸が最寄り駅1km圏内と「駅チカ」に位置することがわかりました。

都内の駅前という好立地条件でも、希望の価格で売れず大幅に価格を下げて売るケースが少なくありません。今回は、都内駅前の空き家の不動産価値が低くなりやすい理由と、売却前に知っておきたい空き家の活用方法をご紹介します。

目次

「都内駅前」好立地条件の空き家でも不動産価値が低くなるのはなぜ?

都内駅前という好条件の空き家でも、思ったような不動産価値がつかず希望価格よりも大幅に低い売却金額となってしまう場合があります。

空き家の築年数や立地などの条件によっても異なりますが、一般的に共通する理由を探ってみましょう。

都内駅前の好立地条件でも売れにくいおもな理由

主な理由としては大枠、以下が当てはまります。

  • 日本の人口が年々減少しているにも関わらず、新築物件はどんどん建てられている。
  • 全国的に住宅が余っている状態であり、中古物件は売れにくくなっている

これらのことより価格は思ったより下落することもあるのです。

住宅の過剰供給の原因として国の政策や住宅販売業者のビジネスモデル、核家族化、不動産に対する価値観の変化など様々な問題が起因しており、すぐに解消することは困難です。

中古物件購入時の住宅ローンはハードルが高い

中古物件を購入時に住宅ローンを組む際には、適合証明を取得する必要があります。 古い空き家でも、建物によっては少し手を加えるだけですぐに住める、利用できる「現役」の空き家が多くあります。

しかし、実際にはすぐ使える状態であっても、住宅ローンを利用するためには耐震基準をクリアしなければなりません。 また、適合証明を取得するための費用は30万円程度掛かります。条件を満たさず取得できない場合でも、費用が返金されることはありません。

費用を支払っても適合証明を取得できないケースが多く発生していることから、「ローンで中古一戸建てを購入するのはハードルが高い」と、購入を迷う人が多くなってしまうのです。

その点、新築物件では住宅ローンが組みやすいため、中古物件よりも条件が悪い、たとえば駅から遠い・狭いといった条件でも新築の方が売れやすくなります。

不動産価値の低い空き家を相続した人に降りかかるリスク

空き家を家族や近親者などに相続させる側としては「資産を分け与える」「大切な家族に少しでも役立つ物を渡したい」という気持ちでいる方も少なくないでしょう。
しかし、不動産価値の低い(売却しにくい)空き家を相続した人は、かえって負担を抱えることになってしまう場合もあります。

ここでは、空き家を所有する人にのしかかる税金の負担と管理上の負担について詳しくお話ししていきます。

税金の負担

自分が住んでいない空き家であっても、不動産を所有していれば固定資産税と都市計画税がかかります。

固定資産税は市町村の定める課税標準額に基づいて決定され、1月1日時点で土地、家屋などの固定資産を所有する人に課せられます。税額は市町村が定める課税標準額をもとにして算出されます。

固定資産税の計算方法は以下のとおりです。


固定資産税都市計画税
更地(建物のない状態)課税標準の1.4%課税標準の0.3%
住宅1戸につき200㎡まで課税標準×1/6 課税標準×1/3
住宅1戸につき200㎡を超える部分課税標準×1/3 課税標準×2/3

固定資産税と都市計画税は、住宅が建っていると「住宅用地の特例」が適用されて安くなります。しかし平成27年度からは「特定空家等」にはこの税制上の優遇が適用されないこととなりました。

特定空家等とは、下記の条件のうちどれかに当てはまる空き家のことです。

そのまま放置すれば

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる

(出典:空家等対策特別措置法

特定空家に指定され、行政からの助言・指導があっても改善されない場合には、土地にかかる固定資産税の優遇措置を受けられず、更地と同じ額になってしまいます。

管理の負担

人が住まなくなった空き家は手入れをせずそのままにしておくと、想像以上のスピードで傷んでいきます。
また、伸びた庭木がご近所トラブルのもととなる、不審者が出入りする、ゴミの不法投棄場所となるなどの恐れもあるため、定期的な管理・手入れが欠かせません。

空き家の管理を自分たちで行う場合には、1ヶ月に1回程度、次のような作業を行います。

【住居外】

敷地内の清掃、庭木の剪定、水漏れの確認、外壁・屋根の確認など

【住居内】

換気、全体的な清掃、壁・天井の確認、通水、家具の湿気取りなど

相続した空き家が普段暮らしている場所から距離が離れている、仕事や介護などで時間がとれないなど、管理が負担になる可能性があります。
手入れは管理業者に依頼することも可能ですが、1回につき数千円からの費用がかかります。

せっかくの都内駅前空き家を不動産として活用する方法

さてここで本題です。空き家を所有していると税金面と管理面で負担がかかります。しかし不動産として活用できれば新たな収入源となる可能性もあるのです。

希望の条件で売れないなら「活用」しよう

「資産として残すつもりが負担になるのなら」と、売却を決定してしまうのは少し待ってください。
所有する空き家の査定を一括査定サイトや不動産会社を通して行なって、本当に納得のいく価格がつけば良いのですが、そうでない場合は売却以外に「残しても負担がかからない」方法を考えましょう。

<次ページ:都内駅前の空き家であれば、不動産として活用する方法は多くある。>

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この記事を書いた人

ボイストレーナー兼ライター。生活をより良く、快適にする記事を中心に様々なジャンルで執筆しています。YoutTubeで誰でもできる3分ボイトレ動画配信中です。

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