空き家相続で期間限定「3000万円特別控除」とは?賢い税金対策が知りたい

空き家を相続したものの、住むこともできず持てあましていませんか? 空き家は放置してしまうと、税金を多く支払うことになってしまったり、管理を怠ってしまったがゆえに資産価値を下げてしまったりする場合も。相続等によって取得した空き家を売却する際にかかる譲渡所得から、3000万円までは控除されるという特例があります。この特例を使うと、譲渡所得税をほとんど支払わずに空き家を譲渡することが可能になります。譲渡所得の3000万円特別控除の特例について、詳しく内容を見てみましょう。

目次

空き家とは何か

あなたのその持ち家、空き家です

空き家…というワードを聞くと何を思い浮かべますか?

通常空き家と聞くと思い浮かべるのは、ボロボロで今にも崩れそうな家や誰も住まなくなって数年経過した家などでしょう。

実は上記の空き家も空き家には違いないのですが、人が住まなくなって1年経過した時点で空き家と認定されます。

「いやいや、たまに風通しに行っているし、物置としても使っているから空き家ではないのでは」と思うかもしれませんが、総務省では『居住その他の使用がなされていないこと』を空き家として定義づけているのです。

ちなみにこの使用とは、『人の日常の生活が営まれていない、営業が行われていないなど当該建築物等を現に意図をもって使い用いていないことをいう』とされています。

つまり、その家で生活をしていたり、お店などの場合は営業をしていたりしない場合は、空き家として認定されるのです。

空き家を放置すると何がダメなのか

空き家を放置すると起こること

ではなぜ空き家を放置するとダメなのでしょうか。

誰も住んでいないのだから、近所の人とももめないし家も傷まないのでは?と思いがちですが、これは認識が大きく間違っています。

空き家を放置すると、大変なことになるのです。

≪誰も住んでいないのにカビは増え家が壊れて行く≫

まず、誰も住んでいない家の室内は空気の流れが止まります。そうなってしまうと、湿気がたまりやすくなりカビが繁殖するのです。

さらに家の木部などは、湿気を吸いやすく空気の入れ替えがなく乾燥せずに放置すると、腐りますし、鉄部は湿気による水分でサビが広がりもろくなります。

こうして木部や鉄部が腐り、カビが室内に繁殖したことで家は簡単に壊れていくのです。

≪荒れた庭に害獣害虫が繁殖する≫

次に放置すると被害が大きいのが、庭です。

雑草が生い茂った庭は、ねずみやハクビシンなどの害獣や、ゴキブリ、ハエなどの害虫の住みかとなり繁殖します。野良猫などのトイレになってしまうと、糞尿のにおいでさらにひどい状況に。

そうならないためにも、定期的な庭の手入れは空き家維持のために必至です。

 ≪崩れた外壁や屋根が事故を引き起こす≫

屋根や外壁、擁壁は経年とともに劣化します。

空き家はそのほとんどが築10年以上の建物のため、屋根や外壁が傷んでいると考えてほうがいいでしょう。

台風や地震などで屋根が破損し、落下した際にもしも人に当たってしまったら…大事故になり賠償問題へと発展してしまいます。

また、外壁などの劣化は事故を引き起こすだけではなく、外壁の亀裂などから雨水が入り込み、雨漏りになってしまうと家の資産価値も下げてしまうことに。

それ以外にも、シロアリやねずみなどの問題がある場合もあるので、相続などで空き家を所有したら、まずは現状を知るためにもインスペクターに家の状況を調べてもらうのも一つの手です。

≪放火、不法占拠など犯罪の温床に≫

空き家は無人であることから、不審者や犯罪者などが入り込んでしまう場合があります。また放火犯の格好の的になることも。

さらに問題なのが、ゴミなどの不法投棄です。しかもやっかいなことに、ゴミはゴミを呼びます。

私の家の近所に空き家となったゴミ屋敷があったのですが、ゴミが庭の縁まであふれているのをいいことに、通りかかった人が手にもっていたゴミをポイポイとその家先にすてていました。

空き家というだけで、さまざまな犯罪の誘因となる可能性があります。

≪特定空家に認定されたら固定資産税は6倍に≫

空き家をそのまま放置し、「倒壊する恐れや保安上危険となるおそれのある状態」、および「衛生上有害となるおそれのある状態」となると、自治体によって「特定空家」として指定されます。

特定空家に指定されてしまうと、固定資産税の軽減措置や、都市計画税の特例を受けることができなくなるため、固定資産税は6倍に、都市計画税は3倍の金額になります。

また、自治体からの再三の通告にかかわらず空き家管理の改善がなされない場合は、空き家の撤去などが強制執行され、その撤去作業にかかった費用などは持ち主が全額負担することになるのです。

これらの状況に陥らないためにも、空き家は管理をする必要があります。

空き家の管理に必要なもの

では、空き家の管理に必要なものとは、どのようなものでしょうか。詳しく見て行きたいと思います。

≪だれも住んでいないのに必要な補修工事≫

無人の家なのに、補修工事をするなんて…なんだか無駄に思えますよね。

でも家の外壁や屋根は、年数が経過すると傷み、その傷んだ箇所から雨水が入り込んだことで雨漏りになります。

雨漏りは家を大きく蝕みますので、最悪倒壊へとつながるのです。

今は住んでいなくても、今後住む予定がある場合や、売却を予定している場合には補修工事をして資産価値を維持しましょう。

≪草木の手入れ≫

草木の手入れを行うことで、景観を維持し害虫害獣の繁殖を阻止することができます。

伸びた雑草や木の枝などは、隣家にも影響しますので定期的な手入れが必要です。

また、こうした雑草の中には壁などをつたって生えるものもあります。外壁に付着した植物は、外壁を腐食させることもあるので除去するようにしましょう。

≪空気の入れ替え≫

家全体の空気を入れ替えすることで、湿気などがたまりカビが繁殖することを防ぎます。

換気する際には、押し入れなどもあけて換気するようにしましょう。おおよそ1時間くらいの換気が目安です。

≪意外に大事な火災保険≫

誰も住んでいない家にもかかわらず、空き家には火災保険が必要です。

先ほども「空き家を放置すると起こること」の中で少し放火について触れましたが、実際2019年の火事原因のデータで放火は、火事件数44,012件のうち発火原因の第1位でした。

無人の家というのは、誰の目もないので放火犯に狙われやすいため、万が一の放火に備える必要があります。

放火された際の損害は、自分の家を失うということだけではありません。

隣家に延焼の可能性もあるため、その際の損害賠償にも備える必要があるのです。そのためにも火災保険は入るようにしましょう。

≪水道電気ガスは止める?止めない?≫

水道電気ガスのライフラインうち、ガスは使用しないのであれば止めても大丈夫です。

止める際には、利用しているガス会社にガスを止める旨依頼し閉栓の手続きをします。

電気、水道は空き家を管理する際に必要となります。電気はセキュリティサービスなどの利用がなければ不要になることもあります。

しかし、水道はないとトイレの使用もできなくなりますし、掃除の際に使用する水が使えなくなるので、空き家管理に必要となります。

また、排水溝などは通水することでコバエなどの発生を抑制するので、どうしても水道を止めたい場合には、そうした下水の仕組みについても注意が必要です。

<次ページ:空き家に関する税金とは>

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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