空き家を活用した事業の成功/失敗を分ける要素とは? 〜参入前に個人や企業が注意すること〜

現在空き家の問題が日々加速している中、事業に参入する方も少なくないと思います。

ただ、実は失敗事例も少なくありません。

要因として地域差やビジネスにおいての難易度の高低が激しいのです。知った上で対応しないととても大変な目に合う可能性もあります。

本記事ではそれを回避するための重要なポイント2つを記載します。成功事例と失敗事例を踏まえながら皆の成功のために説明していきます。

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目次

空き家激増背景と増加しているビジネス

現在、空き家は「激増」という言葉が当てはまるほど数が増えています。まずは本題の前に空き家激増の背景にある理由と、ビジネス参入の状況について具体的にお話しします。


空き家問題が取り上げられる背景

2019年4月に行われた住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は約846万戸にもなり、全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%と過去最高となっています。

年々増え続けている空き家率

近年、高齢化の影響を受け、日本が抱える課題の一つとなっているのが空き家問題です。事業化を進めるにあたりニーズが一気に増加する流れとなります。

下記の表は、空き家率の実測値と予測値を示した、総務省「平成25年住宅・土地統計調査」のデータです。

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データから読み取れる通り、総務省の見立てによると約10年後の2033年には、2100万戸もの住宅が空き家になると予測しています。国内の総住宅数に対して、空き家の割合は3.3軒に1軒。実に約3割もの住宅が空き家になると見通しているのです。


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また、団塊の世代が70歳前後となる2018年を境に、空き家の増加率が加速する傾向にあります。

一方で、国内の総世帯数は、上記の日経スタイルマネー研究所集計のデータによると、2019年をピークとして大幅に減少傾向となる見通しです。少子高齢化を背景とした、住宅供給過多の面から見ても、新規住宅件数は伸びづらくなり、空き家件数の増加が加速することで、空き家の割合は更に増え続けると予測されています。

その中空き家を上手に活用して収益をあげている企業や個人も存在します。対して失敗している方も。今回は要点を深掘りしていければなと思っています。

政府や自治体による様々な対策によって増加ペースはやや鈍っているものの、依然増え続ける空き家は社会問題として注目されています。


相次ぐビジネスの参入

空家等対策特別措置法の他にも、行政は様々な空き家対策を行なっています。対策の一部によって民間の事業者がビジネス参入しやすくなりました。


【「登録免許税の引き下げ」と「不動産取得税の減税措置」】

中でもビジネスが参入するきっかけとなったのは、「登録免許税の引き下げ」と「不動産取得税の減税措置」の2つが大きいのではないでしょうか。

・登録免許税の引き下げ土地や建物を売買・相続・贈与などによって取得したときに行う「不動産登記」の際にかかる税金である登録免許税の引き下げる措置です。軽減税率は項目によって異なります。

・不動産取得税の減税土地や建物を売買・贈与したときに課税される不動産取得税を特定の期間内に行なった場合減税される特別措置です。土地・建物の税額は固定資産税評価額 × 4%(標準税率)でしたが、特別措置によって2021年3月31日までに取得すれば3%に引き下げられます。

かつては事業者が空き家を購入する際には不動産取得税が、リフォームして販売する際には登録免許税がかかっていたため、空き家の売買は通常の不動産売買より税金の負担額が多く、参入のハードルが高い状態でした。

これを受けて行政は事業者や個人の負担額を軽減し、空き家の活用を活発化するための施策として上記2つの減税措置を行いました。さらに、空き家の改修費に補助金を支給する自治体も出てきています。

【民泊の規制が緩和】

もう1点、民泊の規制が緩和されたことも空き家ビジネスが加速した理由と言えます。

空き家活用収益化において成功or失敗のポイントと事例~分かれ目はどこにある?~_総務省・訪日外国人旅行者数の国・地域別の傾向

出典:総務省・訪日外国人旅行者数の国・地域別の傾向

訪日外国人旅行者は近年爆発的に増加しており、都心や観光地周辺では宿泊施設の不足や、宿泊料の高騰などの問題が起こっています。そこでスポットが当たったのが民間の空き家です。

政府は空き家を活用して宿泊施設の不足・料金高騰問題を解決しようと、2018年6月から民泊新法を施行しました。様々な条件が付くものの、旅館業法の許可がなくても届出れば民泊を運営できるようになり、宿泊客を迎えるハードルは以前より格段に下がったのです。

減税と民泊の規制緩和、空き家ビジネスの参入障壁が下がったことで、大手企業だけでなく中小企業やベンチャー企業、個人でも参入が可能となりました。

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空き家を活用する事業モデルで注意するべきこと

ここから本題となります。あなたも空き家で収益化を考えたことはありませんか?

まずはじめに、事業モデルの大まかな種類や注意するべきことをご説明していきます。実は、空き家活用において失敗事例は多いのです。

注意するべき点1:ニーズの地域差

前提として、対象の空き家がある地域や立地は、地域差が非常に大きいですのでそこを考慮に入れなければいけません。事業モデルを考える上で注意したいポイントです。

例えば空き家を賃貸活用する場合、都心や市街地であれば借り手も多く、入居までをスムーズに行うことができます。店舗やホテルを開いたとしてもそれなりの集客は見込めるでしょう。

一方、地方や山間部の場合は借り手のニーズが少ないため、長期に渡る空室となる場合も考えられます。店舗商売の場合は足を運んでだく地域資産があるかなど、熟考する必要があります。

空き家に費やす施工費用などを考慮し、地域や立地の要件を加味して意思決定したいポイントであると言えます。

注意するべき点2:事業そのものの難易度

事業にリスクはつきものです。空き家を活用した事業モデルも幅広く、実行までの難易度も簡単なものから難しいものまで様々。急がば回れであり、一歩踏み出す前にそのものの難易度を把握してからの実行が結果的にスムーズです。

例えば難易度が低いものは?

設備投資がいらず手数料のみで済むものは個人でもリスク少なく参入が可能です。

例えば、駐車場として運用する場合、Air  BnB のように、自社にて取り壊しや建物の整備をした後に、運用を管理業者に手数料のみで依頼することができる事業は、比較的難易度も低いモデルです。

しかし反面、競合が沢山いることも意味します。

難易度が高いものは?

一方でホテル事業やカフェなど、設備投資が必要なものや原価、従業員など要素が多くなるものを進める場合は当然のことながら難易度も高くなります。

基準に沿った建て替えやリフォーム、集客やサービスなどの運用面を考えても、高額なコストや人員が必要となる場合もあります。

例えば飲食店は原価高めであり、かつ定期収益型でなく、単価も低い、難易度が高い存在です。成功させるためには綿密な計画が必要です。



ビジネス立ち上げする内容としての基本の「き」にあたる内容かもしれませんが、個人でも参入できてしまうからこそ、基本をしっかりする必要性があります。

まずは、事業そのものの知識を得て難易度を知り現実的な手段で実行に移しましょう。

<次ページ:空き家活用の成功/失敗事例から見えること>

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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