空き家活用の成功/失敗事例から見えること
個人でも参入できる空き家ビジネスには、成功例もあれば失敗例も少なくありません。ここでは、事例をもとに成功・失敗の要因を見ていきましょう。
失敗事例
まずは失敗事例から。筆者が実際に知っているお話です。
背景として、Cさんは親から譲り受けた郊外の空き家をなんとか活用したいと考えていました。近くに駅はなく国道沿いの物件でした。
本人曰く「近くに観光地もあるからなんとかなるだろう」と。
空き家は昔ながらの日本家屋で、少し手を加えれば味のある店舗になりそうです。そこで兼ねてから挑戦してみたいと思っていた定食屋を開くことにしました。
コンセプト策定やプロモーションには無知でしたが、本人は思い切って脱サラ。退職金を開業資金としてスタート。
結果、経営は難航。1日に数組の客が来るだけで、黒字にはなりませんでした。
やむなくCさんは定食屋を廃業します。だだしそれだけでは済まず、当然退職金を失ったうえ、負債まで負うことになってしまいました。
【空き家ビジネスに失敗した要因を振り返ると】
振り返ると前途の難易度高めの飲食店をやるにあたり、先ほどの注意点1と2が抜けていることがわかります。
例えば、、
- 収益特性を考えなかった(事業そのものの収益性を考えなかった)
- 地域特性/ニーズに合わせたビジネスではなかった
- やりたいことをベースのビジネスを開始してしまった
例えばこれがもし仮に観光資源があれば別の方法での収益が狙えたかもしれません。もし飲食点でやるとしても、その顧客は本当に定食が食べたいのか、それともカフェでゆっくりしたいのかなど、ニーズとモデルをしっかり考えることが必要だったのでしょう。
成功事例
次に上手に空き家を活用した成功事例の共有です。Aさんは、所有する空き家を賃貸に出すことにしました。
【契約条件】
契約の種類 | ・定期借家契約 (あらかじめ設定した期間だけを貸し出す。契約の更新はなし) |
原状回復について | ・国土交通省のガイドラインに沿って、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とした。ただし、貸主の許可を得たリフォームやDIYにおいては原状回復しなくて良いとした。 ・経年劣化や通常使用による損耗は回復義務を求めないとした。 |
造作買取請求権 | ・入居者が給湯設備やエアコンなどを設置しても、貸主が買取り義務を負わないことを特約とした |
上記の条件のもとに入居したBさんはDIYが上手で、古くなった壁紙を張り替える、ちょっとした棚を作るなどのリフォームを楽しみながら生活し、契約期間が満了となったため円満に退去しました。
空き家だった物件はBさんの入居前よりも良い状態となっていたため、Aさんは賃料を上げて入居者を募集します。すると希望者が現れて契約に至り、以前よりも大きな収益を得られるようになりました。
【Aさんが空き家ビジネスに成功した要因】
振り返るとしっかりとニーズと収益や専門知識を得てから行動していることがわかります。
- 物件の特性とマッチするビジネスとして賃貸物件を選択した
- 空き家の特性と契約についての知識を充分に得てから賃貸をスタートした
一定の知識を身につけ、ニーズを加味してから行動に写した良いパターンであると思っています。
ユーザーに与えられる価値はどこにあるかを探ろう
ユーザーを軸に考えましょう。
事業モデルを計画する際は、地域差や難易度も念頭に置きながら、提供するべき価値がどこにあるかを見つけることが大切です。その課題や興味が収益に還元されることを知りましょう。
地域にある観光資源や特徴が、ユーザーのどんなニーズに役立つのかを考えましょう。地域を知り、ユーザーを知ることで、事業を通してのゴールを設定することができるでしょう。
皆様の成功をお祈りしております。
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(了)
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