国内における空き家物件の増加は、近年の社会問題のひとつ。
昨今ではその打ち手として、空き家情報をデータベース化し、「空き家を提供したい人」と「求めている人」とを橋渡しする、空き家検索が可能な仕組みが提供され始めています。
別荘を提供したい場合にも活用できる「空き家データベース」は、官民問わず多くのサービスで利用され始め、空き家対策にも大きな成果を上げているのが実情です。
また、一方では需要が減少してきている別荘物件。その別荘も、別の視点から新たな活用が行われ、新たな価値を感じる方も増えてきています。
今回の記事は、自治体が提供する一般的なデータベースから、民間の代表的な空き家テック企業までをご紹介する内容です。
別荘の新たな可能性を理解することで物件価値を上げ、より効率的な対策をする方法も把握できる内容となっています。
是非、別荘対策を行う前にご参考ください。
政府・自治体も期待する空き家データベース。
そもそも空き家のデータベースとはどういうものなのでしょうか。まずはその点から明確にして行きましょう。
空き家のデータベースとは何か?
空き家データベースとは、活用前の空き家をデータベース化したもので、利活用を促進するサービスのベースとなるものです。
そして、現在では人工知能(AI)やVR、ビックデータなどを活用した「不動産テック」が注目を集めており、その中で空き家データベースを活用した、空き家活用の支援を行う企業は「空き家テック企業」と呼ばれています。
この分野では、自治体のみならず民間企業も幅広いサービスを提供し、全国へと広がりみせているのです。
利用の例としては、両親から相続した別荘などがある場合に、空き家のデータベースを活用すれば、自身で利用しない場合も放置することなく、第三者への譲渡や貸借を容易にできるようになりました。
そのほか、空き家物件を探している場合は、希望条件でデータ検索することで、地域や価格、物件の状態にあわせた空き家を、簡単に見つけられるようになったのです。
最も身近な空き家データベース「空き家バンク」
空き家物件と利用者との橋渡しを行う、空き家データベース。私たちの一番身近にあるサービスは、各自治体が運営する「空き家バンク」です。
次の章にて詳細を整理していますが、空き家所有者は自治体や提携の不動産事業者へ物件を預け、賃貸や譲渡、売却などの用途を添えて物件情報を登録します。
その後、空き家物件を利用したい方との交渉は、本人・または自治体にて行うことが一般的。
このように取引も簡潔で、円滑に利活用を行える仕組み提供しているのです。
そして、空き家を利用したい方は、別荘や住宅・店舗利用など、空き家の活用方針に合わせて、空き家バンクのWEBページより物件検索を進めることができます。
希望の物件があった場合は自治体、または提携の不動産業者を通し、同様に契約手続きを行う仕組みとなっており、このデータベースを介して空き家活用を促進する仕組みとなっているのです。
政府も支援し、民間サービスも増加
国土交通省は「地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業」と称して、モデル的な空き家活用を進める事業者への支援を、2017年から始めています。
2017年のこの取り組みでは、全国38団体が選定され、2018年度は54団体が選定されました。
政府は、1団体に対し100万円を上限とした支援金を支給しており、不動産テックを活用した事例には、さらに上限200万円の支援を通してこの分野の活性化を後押ししています。
そのほか、空き家データベースを活用した移住への補助金や、不動産テック推進に対する補助金も自治体ごとに施行されています。
このような政府・自治体の支援をきっかけに、民間の空き家活用に関する事業者も増えてきた経緯があります。
今後はさらに、都心から郊外への移住増加が予想されるため、空き家データベースの利用者が増えることで、機能やクオリティーの向上が見込まれているのです。
空き家データベースを活用する利点と注意点
では、別荘対策における空き家データベース活用のメリットを整理していきます。
注意点も解説しておりますので、あわせて確認しておきましょう。
利点
≪別荘を求める人に提供しやすい≫
空き家データベースが無かった時代には、自身の別荘を手放す場合、地域の不動産業者に依頼して売却したり、知人を頼って譲るケースがほとんどでした。
現在では提供サービスにもよりますが、空き家データベースにて別荘を登録すれば、別荘を求める方との交渉の場を容易に持つことが可能です。
別荘を求める方は、希望の価格や立地・物件の状態などで検索して、好みの条件の別荘へ辿り着きます。
そのため、提供する側・求める側のズレ幅も少なく、必然的に交渉が行いやすいのです。
自身で販売するルートを探す手間を掛けず、効率的に別荘を譲ることができるのはメリットだと言えます。
≪他の物件データを活用できる≫
空き家データベースの利点は、データ自体の活用にもあります。
例えば、同じエリアの近い条件の別荘は、過去にどの位のニーズがあり、どのくらいの価格で売却できたかを参考に、御自身の物件価格を調整することも可能です。
また、別荘や空き家を活用する場合にも、サービスによっては活用データを閲覧することも可能で、実績を踏まえた活用方針の構築に役立てることもできます。
提供する為だけのデータベースではなく、過去実績を参照することが可能なのも、空き家データベースの魅力です。
データを踏まえた上で売却や活用を進めれば、より効率的な対策を進めることができるでしょう。
注意点
≪適したサービスでなければ、逆に手が掛かることも≫
空き家データベースを活用したサービスは多岐に渡るため、別荘対策の方針にあわせた選定が大切です。
具体的には、物件取引の仲介だけを行うサービス、仲介からサポートまでを行うサービス、仲介からコンサルまでを行うサービスといったように、データベースを活用したサービスであっても支援範囲が異なるのが一般的です。
別荘を譲るための登録はできたものの、思ったように上手く進まないケース実際にはあります。
そのような時、サポートやコンサルまでをカバーするサービスでなければ、また別の支援サービスを探し、併用しなくてはならない場合もあるのです。
そうなれば手続き自体に手間が掛かってしまい、効率的な別荘対策を進められなくなってしまいます。
効率的に進める為には、事前に自分が必要なサービスを整理し、必要に応じた依頼先を選定することが大切なポイントです。
≪空き家の条件により、対策が進みにくい場合もある≫
多くの空き家を閲覧できるデータベースは、利便性の面では利点もありますが、他物件との比較が容易になった事で、自身の物件を求められにくくなる場合もあります。
別荘など空き家物件を求める人は、できるだけ安くて条件の良いものを求めることが一般的です。
そのため、物件に価格が見合っていないと判断された場合は、必然的に求められにくい物件になると言えます。