日本の空き家問題は、今は知らない人はいないほど知られていますが、そもそも、これほど空き家が増加した背景には何があるのでしょうか?
日本と海外では空き家というスペース・空間に対する認識が異なります。
海外では、空き家をどのように捉え、どのような取り組みがされているのかー。
この記事では、主に欧米諸国における空き家市場や空き家の利活用についてご紹介していきます。
また、世界にも類を見ないほど増加の一途を辿る空き家。
そのような中でも、様々な企業が工夫を凝らしてこの大きな課題に取り組んでいます。
ここでは、いくつかピックアップしてコロナ禍以降でも多くの人に役立ちそうなサービスも合わせて解説していきます。
今、現在空き家を所有していて、どうしたらよいか分からない方も
空き家を利活用したいけれど、どうやって理想の物件と出会えばいいか分からない方も
最新の情報を詰め込んでおりますので、是非最後までお読みください。
日本と海外の空き家の実状
日本と海外では空き家の現状はどう違うのでしょうか。まずは、国全体の数値から見ていきます。
住宅・土地統計調査にみる空き家の現状
5年おきに総務省統計局が行っている「住宅・土地統計調査」。2019年4月26日に発表した最新の調査によると、2018年の時点で日本の空き家は846万戸で総戸数の13.6%と前回の調査より179万戸(3%)増えています。
対して、アメリカでは10%前後、ヨーロッパの中でも高めのイギリス・ドイツでも数%程度と、日本がどれほど高いかが分かると思います。
都道府県別にみる空き家の現状
先に触れた「住宅・土地統計調査」を元に、都道府県別の現状を見ていきましょう。最新の平成30年に発表された内容を見ると、空き家率が高い県ベスト3は以下の通りです。
空き家率が高い県ベスト3
第1位 山梨県(21.3%)
第2位 和歌山県(20.3%)
第3位 長野県(19.5%)
逆に、空き家率が低い県は以下の通りです。
空き家率が低い県ベスト3
第1位 埼玉県(10.2%)
第2位 沖縄県(10.2%)
第3位 東京都(10.6%)
数値の中身を見てみると、山梨県・長野県は「常時生活する目的としての住居」ではなく、別荘などの二次的住居が数値に含まれていることが分かります。
これらを除いた空き家率を出してみると、以下のようになります。
別荘などの二次的住居を差し引きした 空き家率ベスト3
第1位 和歌山県(18.8%)
第2位 徳島県(18.6%)
第3位 鹿児島県(18.4%)
四国・九州地方の空き家率が高くなっています。
また、都市部での空き家率が低い印象がありますが、純粋な空き家の増加戸数を見てみると総戸数の4割が東京・神奈川・埼玉・千葉で占めており、住宅自体の増加と比例しています。
以上を合わせて考えてみると、日本の空き家問題は全国的な問題であると言えます。
※参照:総務省統計局「平成30年 住宅・土地統計調査」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html
SDGsー日本を持続可能な社会にするために
コロナ禍で頻繁に見聞きするようになった言葉「SDGs(エスディージーズ)」。正式には、「Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標」と言い、コロナ禍以前でも開発途上国を支援する団体などではよく使われている言葉でした。
日本は前項でも触れたとおり、世界に類を見ないスピードで少子高齢化を突き進んでおり、あらゆる分野の専門家が、我々の取り組みを見守っています。
不動産業界も人口は減少しているのに、新築住宅は一定の地域では増え続け、その裏で持ち主不在、あるいは不明の空き家が増加の一途を辿っています。
なぜ、このような状態になったのか。また、解決するにはどうすればいいのか。この項目ではこの二点を中心に、海外の空き家に対する考え方と取り組みをまとめました。
日本で空き家が増え続ける要因
①少子高齢化と持ち家率
少子高齢化がどうして空き家に結びつくのかピンと来ない方もいるかもしれませんので、少し詳しく解説します。
現在、高齢者の持ち家率は全体で87%を超えています。その子供である相続世代も、親の家とは別に6割以上の世帯が持ち家に住んでいます。つまり、結婚した二人に対して、それぞれの両親が1戸ずつ持ち家がある状態です。
さらにその子供は、親の家、祖父母の家と数値的に見れば、孫が1人しかいない場合、相続できる家が5戸になります。子や孫が多ければ受け継ぐことができますが、少子化と親世代の通勤の利便性などを加味すると、祖父母世代の家が放置されることになります。
②長期にわたって保存・利活用できる家が少ない
日本では高度経済成長期に質より量を重視して建物が建てられたため、長期にわたって保存・利活用できる家が少ないのです。このポイントについては、「改修工事」という打開策があるのですが、建物の基礎部分や外観に関わる重要な工事が必要なケースが多く、改修費を考えると売却という選択肢を多くの人が選んでしまうのが現実です。
③不動産の中古市場・流通が未成熟である
日本ではいまだに一部の地域で土地や不動産の価格が高騰しており、そこに不動産が開発を行って、オーナーはもちろんのこと不動産投資家も購入をするという構図が続いています。
不動産は中古が不人気ということもあり、市場や流通が中々成熟しにくい環境にあります。
④日本人は「新築好き」
一昔前よりは、中古市場も伸びてはいますが、海外と比べるまだまだ。日本は新築が好まれる傾向が根強く残っています。
海外における「土地・住宅」に対する基本的な考え方
①「Empty house」と「Vacancy」の違い
日本人の空き家に対する考え方と海外での考え方の違いは、2つの英語で説明できます。
マンションやアパートのような賃貸住宅に空室が出た場合、つまり借り手が見つかっていないけれども、住宅としてはいつでも賃貸できる状態をvacancy(バカンシ―)と言います。
この「vacancy」。飛行機の機内にあるお手洗いなどでもよく見かけるように、あくまで「一時的な」というニュアンスが含まれています。
一方、コンドミニアムや英語の意味でのマンション、あるいは売出中の戸建てでは当然使われることはありません。
つまり、海外では分譲マンションや戸建てのオーナーが手放す時は販売する時であり、ほとんどの物件が販売か賃貸に使われます。不動産市場が常に流動的で活発に動いている証拠です。
ここまで読まれた方は日本の「空き家」とは違ったイメージを持たれたのではないでしょうか。日本の空き家を無理矢理表す英語を探すとすれば「Empty house/home=空っぽの家」となりますが、海外ではまず使われません。
ここに、「空き家」に対する日本と海外の最大の差があります。
海外では土地や建物といった空間・スペースは、国民全員の共有財産としての認識があります。従って、相続する相手がいない場合は国有となるか、不動産会社などが買い取って、次の入居者に備えることになります。
日本では自己所有の意識が強いため、放置するという結果に繋がっています。
②国家戦略としての賃貸市場の保護
海外全てに当てはまる政策ではありませんが、①で触れたように国の土地は共有の資産であるという考え方があるため、不動産会社などが転売する目的で長期間所有している土地や建物に一定の税を課す政策が行われています。
これにより、賃貸市場が膠着するのを防ぎ、また借りたい人が住む家がないという状況を予防することにも繋がっています。
持続可能な社会にするために
①土地を資産と認識する
当たり前のことを今更と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、土地や建物がある空間を資産であると全員が考えることができれば、「適切に管理する」という行動に繋がります。
ところが、日本では土地や建物を「個人の所有物」であるとの考えが根強く残っているため、固定資産税を支払っていれば放置していても問題ないという行動に結びついてしまいます。
土地は「共有の資産」と捉えることができれば、放置ではなく収益化やリノベーションなど適切な管理を行う流れができていきます。
②土地や建物の価値は周辺環境と連動するという考え方をもつ
①でも触れましたが、自己所有の土地や建物であっても「共有の資産」との認識のもと、周辺環境の価値と自己所有物件の価値が連動するという考え方を持つことも重要です。
この考え方ができれば、空き家を放置することで周辺環境の価値が下がるだけでなく、倒壊などの危険性や犯罪の温床になるなどのリスクを高めることを回避する行動に繋がる。
③個人と不動産業界、国の政策とが協同して行われる必要がある
空き家問題は個人や不動産業界だけの努力では改善することは難しいですが、次項で触れるように自治体と不動産の協同するなど、様々なレベルで協力して行動を起こすことで、空き家=宝・財産・資産に変えることができるようになります。
不動産×テクノロジーで空き家問題解決を目指す日本
空き家問題が全国的な問題であることは触れてきましたが、中でも不動産業界にとっては死活問題です。ここでは、不動産×テクノロジーというテーマで、先進技術を使って空き家解消に取り組む企業を3つご紹介します。
①全国版空き家・空き地バンク「アットホーム・LIFULL」
元々、各地方自治体によって運用されている空き家バンクですが、公募によって選ばれた「アットホーム」と「LIFULL(ライフル)」の2社によって、全国版の空き家・空き地バンクの運用が2018年4月から開始されています。
これにより、空き家を利活用したい人が全国の物件を簡単に検索・比較することができるようになりました。参加している自治体は603・延べ9,000件とそこまで多くはありませんが、今後広がっていくことが予測されます。
②あきやカンパニーの「カリアゲJAPAN」
日本の中古市場における不動産の価値は築年数とともに下がっていきますが、ある程度下がり切ったらほとんど価値の変動がなくなります。その分かれ目と言われているのが築30年~35年。
この年数を迎えると買い手や借り手が極端に減少してしまいます。
そこで、「カリアゲ」というサービスでは、所有者が築年数30年を超える物件を相場の1~7割で借りたい人に6年間貸出。借り手は原状回復する必要がなく、自由に改修することができます。
一方所有者は、自分で費用を負担することなく改修工事をしてもらうことができ、6年間貸し出した後は自分で自由に利用することができます。
膠着する中古市場の中でも、「築30年」という大きな壁を壊してくれそうな新しい取り組みと言えるでしょう。
民泊を始めたい個人にとっても、リスクが少なく魅力的なサービスです。
海外の空き家活用事例
海外では国として景観を保つ目的や、文化的遺産など造りがしっかりとしている物件が多いため、外観や外装に手を加えてはいけないが、内側は借り手が自由にしてもいいというのが一般的です。
そんな海外では、中古物件や空き家はどのように活用されているのでしょうか。あくまで一部になりますが、一般的な活用事例を4つご紹介します。
売主による改修工事
最も多いのが所有者が改修工事をして売却をするケースです。といっても、日本のように大きなリノベーションを入れるのではなく、バスルームなどを「綺麗」にするというもので、基本的には購入者が自分のライフスタイルに合わせてリノベーションをします。
フリッパービジネス
売主による改修工事に対して、不動産会社などが中古物件を購入。水回りなどのリノベーションを施して、高値で売却をするのがフリッパービジネスです。
ドミトリー(民泊)
バックパッカーなど一時的な利用の旅行者を対象とした、寮タイプの住宅。コストパフォーマンスを重視している人やお金がない若者の需要が高いため、リノベーションにさほどお金をかける必要がなく収益化が見込めるビジネスです。
2段ベッドやクローゼットなど、プライバシーはあまりありませんが、ユースホステルなどもこのタイプが多く、海外では一般的な宿泊施設になります。
シェアハウス
ドミトリーが一時的・短期的利用者を対象としているのに対し、シェアハウスは長期的に住む人向けのビジネス。キッチン・バス・ランドリーなどを共有してもらえるため、改修工事等の費用を安く抑えることができます。
まとめ
日本では、なぜこんなにも空き家が増加してしまったのか。
また、今なお増加し続けているのか。
国民性から国の政策、空き家に対する考え方について、海外の事例と比べながら解説してきました。
一方、様々なテクノロジーやサービスで、空き家問題解決に取り組む企業も増えています。
それに合わせて、これまでのような「空き家=売却・売れない・解体費用がかかる」といったイメージから、「空き家=宝の山」といった考え方に徐々にではありますがシフトしていっている実感があります。
弊社「空き家活用株式会社」も、空き家を専門とする企業として、少しずつ認知されるようになってきました。
空き家の専門企業として、空き家のオーナー様や、空き家を探している方にも適切なご提案をさせていただきます。
あなたの空き家も処分や売却ではなく、大切な資産として利活用してみませんか?
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