築130年の家に愛着のある家族。空き家にしたくない一心だからこそとった、家族自身での店舗経営

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空き家を活用 きっかけはゴミの出ない買い物

量り売りの様子

ー なるほど、そうしてお店を整えた上で「aida」で量り売りのお店をすることとなったのですね。
この量り売りというのは、あまり見かけたことの無い販売方法なのですが、なぜこのようなお店をやってみたいと思われたのでしょうか。

川口 「ゴミの出ない買い物の場所を作りたい」という思いがありました。カナダの大学に通っていた時に、3年ほど住んでいたのですが、カナダでは野菜などが個包装されないのが当たり前で、ナッツなども基本量り売りでした。

もちろんこれには、カナダやアメリカなどでは一度に大量に購入にすることが多いのでこのような形態になっているということもあるのですが、ゴミを出さないという考え方が非常にいいなと思ったんです。オーガニックのスーパーなんかも、自分でパッケージを持っていって商品を入れて購入することができ、そうすると家に帰ってもゴミが出ないんですよね。

今までは1回使ったパッケージは、開けたらゴミとなっていたけれど、そうではない買い物の仕方ができるんだ、と。日本では、基本的に個包装だし、包装しなくてもいいような物まで包装されていますよね。だからこそ、個包装しないゴミを出さない選択肢があればいいなとこのお店を始めました。

今は商品の管理しやすい保存の利く物が中心で、ナッツ、スパイス、ドライフルーツに粉類などが中心です。メープルシロップやオリーブオイル、はちみつなども量り売りしています。最近では昆布や卵なんかも。とくに卵って、必ず包装されていて1個から買うことが出来ませんよね。パックも必ずゴミになりますし……。うちでは、卵を1個から買うことができます。

ゆくゆくは、野菜なども売って街の八百屋さんになれたらいいなと思っています。とはいえ一人でお店を切り盛りしている今では、常に野菜とか果物を仕入れることでロスがでてしまうので、すぐにというわけではありませんが。できるだけ普段使いできるものを、販売したいと考えています。 

空き家活用のきっかけとなる 今若い世代を中心に求められているものとは

イベントスペース

ー こちらの「aida」では、イベントスペースとしての運営もしていらっしゃいますよね。
どのようなイベントをされているのでしょうか。

川口 量り売りをしている店部分は、この家の中の玄関の一部分だけなので、奥の部屋などをレンタルスペースとして貸し出しています。最近では定期的にヨガ教室をして、ヨガの後に朝食や昼食で庭を見ながら食べる…といったことも。広さは16畳ほどありますので、広々と使うことが出来ます。他にも服の交換会や、講習会なども行なっています。

こういったスペースを貸し出して分かるのですが、お客様にお話を聞くと意外にスペースを求めている人が多くいらっしゃいます。お友達と集まりたくても、家でご飯会をやると掃除や後片付けが大変だし、カフェなどでやるにも子どもが小さいとお店に迷惑をかけてしまうのでそれもできない。公民館でやるにはちょっとさみしいし……と。

そうした事情を抱えた人が、うちのようなスペースを借りにいらっしゃるのです。整体師の方なども、お店を構えるほどではないけれどスペースがあれば…とおっしゃって定期的に借りられる方もいるのです。

「aida」では、飲食店の営業許可もありますので、間借りカフェなども可能です。そうやって、この場所が地元の人にとって交流の場になればと思います。

ー 空き家の活用方法として、フリースペースとして貸し出すという方法もあるのですね。

川口 はい、そう思います。先日も、アーティスト活動していらっしゃる方と少しお話をする機会があったのですが、自宅兼アトリエ兼ショップみたいなスペースを探しているとおっしゃっていました。戸建てを買うほどの予算は無いから、空き家などを購入してなんとかそういうスペースを作りたいと……。

また以前七五三の家族写真の撮影場所としての部屋を使ってくださった写真スタジオの方もいました。室内で着付けをして、庭に出て撮影を。

さまざまな利用方法で、スペースを必要としている人は多くいます。ゆっくり集まって何かをすることが出来る場所。そういう場所として空き家を活用することは有効です。

ー これからの「aida」の展望をお聞かせください。

川口 最初にお話したとおり、街の八百屋さんになりたいと言う思いもありますが、まずはアート系の展示などもしていきたいです。そうした展示なども通して量り売りのお店だけでなく、この「aida」という建物自体が、地元の人にとって開けた場所にできたらと思います。

ー 空き家をお持ちのみなさまへ、何かアドバイスがあればお願いします。

川口 空き家は愛着があるからこそ、手放せないという人が多いのではないかと思います。私の場合は幸いにも、家族の所有する空き家を家族である私が活用をできました。

しかし家族で空き家を活用できないのであれば、家を保っていくためには他の人をいれるしかないと思うのです。

整備して貸し出せるようにすれば、借りたいという人はいます。一軒家で、あまりお金がかからず、人が呼べるような場所が欲しい。そういったニーズがあるからです。

生まれ育った場所や慣れ親しんだ場所を整理したり改修したりするのは、躊躇するかと思います。

それでも家を保たせるためには、「人を入れる」という一歩を踏み出すことが必要なのだと私は思います。

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aida 量り売りのお店とイベントスペース
HP :https://www.aida-mtys.com/
住所:愛知県春日井市林島町148番地

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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