依頼方法を変えるだけで、最大数百万円も「得」をすることも。その成否を左右する、空き家整理と事業者の仕組みとは

「生前整理の重要性」や「円満な相続に必要なこと」をテーマとして、相続に一気通貫で関わるプロの視点から、リアルな情報をお話いただいた小島孝治さん。
今回から数回にわたっては、小島さんが受けた相談事例をベースに、空き家対策や活用を行う際の学びとなる知識を伺います。多くの場合損失を避けることができ、さらに数十万から数百万円の利益を得ることができることも。「自分自身で知識を身につけること」を啓蒙されている小島さんだからこそ公表されているノウハウは、一般的なネット情報などでは得ることができない、実態に即した有益な情報ばかり。今回は、驚きの業者活用方法事例です。多くの空き家活用・対策を考える方の基礎知識を知ることで、得をしてしまうかも!?

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小島孝治プロフィール:

代表を務める「昭和市場」では、実家の片付け・整理から売買、空き家の運用に至るまでにトータルに関わり、既成の枠に囚われない新しい手法でのサポートを提供。現在口コミだけでも依頼の絶えない事業者であり、簡単に専門業者に頼ることなく、個人で対策することを推奨している。
集約した知識や経験を一般に広く伝えるため、生前整理から相続まで視野に入れたトータルサポートを、不動産や金融知識を元にサポートする「家宅整理士」資格を創設。身近に頼れる人材を全国に広めるべく展開計画中。
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目次

大手メーカへ依頼する安心感。相場を知れば湧き上がる喪失感

Q:多くの方が空き家を整理する際にはどのような依頼をされますか?

小島:空き家対策をする場合、ひとまとめに任せられる利便性や安心感を理由に、多くの方は大手住宅事業会社やデベロッパー、ハウスメーカーなどへの依頼を選ぶ傾向にあります。たしかに、空き家の整理から解体、その後の建設までを一つの窓口で依頼できるメーカもあることから、忙しい方ほど頼りたくなる部分も理解できます。しかし、これまでは一般的だとされてきた大手業者へ丸投げする方法は、実は依頼者側である空き家所有者に、大きな無駄や損失が生じることも実情としてあります。

私のところでもよくあるのが、大手業者へ依頼・見積もりをした際の金額に驚き、困って相談に来られるケース。実家の解体や整理は、周囲にも経験した人が少ないことから相場も分からず、困って辿り着かれる場合が非常に多いですね。

また、大手業者やネットを通して見積もりを依頼したところ、数百万円もの高額な作業費用に驚かれ、空き家が放ったらかしになっているケースも少なくありません。これは、ひと昔前であれば比べる材料もありませんでしたので、費用が多少高くても進めるしか無かった部分ですが、現在はさまざまなアプローチで判断することが可能です。

例えば、ネットなどを活用すれば、ご自身で簡単に「相見積もり」を取りやすい時代になりましたし、弊社のような専門業者も増えてきて、相談も以前より格段に容易になってきています。空き家対策や家宅整理の方法も大きく変わったことで、数百万の見積もりであった内容を私たちが請け負った場合、依頼費用も含めて0円となる場合も結構あるんです。そのうえ、最終的には数十万から数百万の利益(依頼者へ還付します)がでる場合も。仕組みを理解すれば個人でもできることがありますので、是非自分でできる範囲の対策を行って欲しいと考えています。

多くの人は何も考えず、大手業者へ依頼してしまう

Q:大手住宅メーカーや個人向けデベロッパーなど、有名企業にまるっとお任せすることでのメリットやデメリットとは。

小島:「安心感」というメリットはあるものの、大手業者は仕組み上、間接コスト(利益やマージンの割合)が多くなってしまう特徴があります。特にCMや広告で良く見掛けるメーカーほど、その傾向は顕著です。それはシステム上仕方のないことです。広告費用や人件費が増えれば、当然依頼者の負担も増えるのが当然。カタチのない安心感を頼りに任せれば、数十万から数百万程度余計にコストが掛かるものなのです。

また、一括して任せられると言っても、実際に作業をするのは、依頼した大手業者が元請けとなり、その先で依頼される、それぞれの子請け、孫請けなど専門業者と、さらにその下の職人たちであることを忘れてはいけません。整理は整理業者、ゴミ処理はゴミ処理業者、解体は解体業者が行うケースが一般的で、それぞれの業者を取り次ぐ手数料なども費用には含まれます。このような実際の作業費用以外の金額も含まれていることを、空き家活用や対策を始める前に把握しておくことが大切です。

逆説的ですが、仕組みを知ればコスト削減や利益を得る工夫が、個人でも充分にできます。そうして最終的には大手業者の当初の見積もりより数十万から数百万円安く、さらには対策を通して利益を得ることも可能です。工夫次第で大きく変わりますので、コストを下げる方法を是非ご参考いただきたいですね。

ゴミ回収の仕組みを例に学ぶ、費用削減の仕方

「仕組みを知ること」はコスト削減に繋がることをお伝えしましたが、ゴミ回収は特にわかりやすい例のひとつです。例えば大手業者などへ依頼した場合は、多くの場合はゴミは一纏めに「ゴミ」として処分されるため、処理人員や必要なトラックの台数などによって数万円から数十万程度費用が掛かります。

しかし、実際はご自身で資源ゴミと一般のゴミにわけて処理することが可能です。資源ごみはリサイクルに回すこともできますので、鍋や灰皿などの鉄のものなどは袋にまとめて置くだけで、自治体のルールに従って普段のゴミ捨て場にだすこともできますし、資源が高騰している今では買取ってくれる業者もあります

また、机や婚礼ダンスに関しても、搬出から業者に任せると数万円以上掛かることが通常です。重いタンスなどを運ぶ人員やトラックは意外と費用も掛かるもの。しかし建物解体前の整理の場合、木製の製品は解体業者が無料で引き取ってくれる場合もあるので、処分の際は依頼先を工夫することも大切だといえます。簡単な試算でも婚礼タンス10竿分だと少なくとも20万円近くの経費削減が可能。このような積み重ねで結果大きくコストを減らすことができるんです。

自分でできることをやれば、処分費は大幅に減らせる

Q:大手に任せないとして、自分自身でできることはなんでしょう。

小島:自身でできるのは「売れる品」、「(売れなくても)リユースできる品」、「通常のゴミ」と「資源ゴミ」の分別をしておくこと。本当にゴミなのかどうかを確認することも重要です。親御さんや自分にとって価値があるものは、ご本人にしかわからないこと。失えばお金では買い戻せないモノですので、丁寧な確認をおススメしています。

ゴミだと思って捨てかけていたものが数十万円になる事例は本当に良く起こりますし、国内ではリユースできなくても発展途上国ではまだまだ価値あるものも。うまく仕分けさえすればゴミ(廃棄しかないもの)って殆ど無くなるんですよ。

ちなみに私の依頼者さんで、ビーズが趣味の方がいらっしゃったのですが、ご家族にとっては正直価値がわからないビーズ作品が沢山ありました。しかし売却してみると、十万円近くになる結果に。このような”好きな方だからこそ価値のあるもの”もありますので、持ち主との対話も大切にしながら私たちも作業するようにしているんです。

<次ページ:知識を身につけることで立場は逆転。円満な相続は自分で切り開く>

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この記事を書いた人

特区民泊アパートメントホテル運営中のフリーライター。感性に触れたコトを読み手の暮らしに触れるモノに。出雲に生まれ、もう長いこと大阪で暮らしています。

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