固定資産税のお知らせが来る季節になりました。
空き家となる実家を維持するだけでも、想定以上の費用が必要になるものです。御両親との想い出も詰まった実家を生かしておくかどうかは、現実的な維持費用が判断の分かれ目となります。
維持費用が負担となる場合は、そのほかの対策を検討する必要も。だからこそ、維持費用の目安をきちんと把握することが大切なのです。
今回の記事では、維持費用の目安や注意点、対策のポイントなどを整理してご紹介していきます。後悔のない空き家対策を行う為の知識として、ぜひご参考下さい。
空き家となる実家を維持する際に、必要な費用とは?
御両親の実家を相続した後も、利用する予定がなければ空き家として維持をすることになります。建物は利用しないと腐食が進みやすい特性もありますので、状態にあわせた帰省を実施し、メンテナンスすることが必要です。
ここでは、見落としがちな費用も含め、維持に必要な費用項目についてまずは確認しておきます。
💰税金
空き家となった場合も、固定資産税や都市計画税などの税金の支払いが必要です。建物の特徴や敷地面積などにより、地域ごとに金額は変動しますので、事前に確認しておくようにしましょう。注意したいのは、税金の負担を避け空き家を放置すること。放置を続ければ、固定資産税などの負担額が非常に大きくなるペナルティーもありますので、早期対策が必須であると言えます。
💰 光熱費
実家を住宅や店舗として使用しない場合も、定期メンテナンスの際などに使用する為、最低限の光熱費は必要になります。 長い期間利用せず、空き家として維持する予定にしている場合は、事前にプラン変更を行っておけば、金銭的ストレスや負担を軽減できるでしょう。
💰 メンテナンス・修繕費用
実家を空き家として放置し続けることは、地域にとっても所有者にとってもメリットがなく、双方にとってデメリットとなる行為です。御両親の想いも汲み取りながら、定期的なメンテナンスや修繕を行いましょう。
具体的に費用が必要となるのは、建物の壁や内装、水回りなどのメンテナンスや修繕、外壁や庭など周辺のお手入れに掛かる費用です。
物件の状態や大きさ、作業内容によって費用が異なりますので、初期修繕と定期修繕費用に分けて全体の修繕費用を概算すると整理しやすくなります。
💰 保険・交通費
建物に対しての火災保険など各種保険は、維持する際にも必要となります。継続して保険契約する場合は、最低限必要なプランへ変更するなど、金銭的ストレスのない適切な保険契約への切り替えを検討するのも良いでしょう。
具体的な空き家維持費用をシュミレーションしてみよう
ここでは、先程の費用項目を参考に、空き家維持費用の目安を概算していきます。都内にある一戸建てを例にとり、年間費用を項目ごとに記載していますので、ご自身のシュミレーションを行う際の参考にしてみてください。
空き家を維持する場合の費用概算(都内一戸建て/年間)
項 目 | 概 算 費 用 | 備 考 |
固定資産税 | 平均約8~12万円程度 | 地方より都市部が高い傾向にあり、毎年金額は変動 |
都市計画税 | 約1万5千円~3万円程度 | 土地と建物双方に掛かる為、広さ・面積によって変動 |
光熱費・水道代 | 約2万円~4万円程度 | プランや自治体、利用頻度によって異なる |
保険料 | 約1万円程度 | 契約内容によって異なる |
交通費 | 約1万円~5万円程度 | 移動距離や帰省の頻度によって異なる |
初期修繕・ メンテナンス費用 | 約5百万円~2千万円 | 屋根床含むリノベーションの場合 |
定期修繕費 | 約1万円~50万円程度 | 施工内容、依頼する業者により異なる |
以上の項目を合計すると、最低限必要な維持費用額の目安として、年間14.5万円以上必要になることが把握できます。
金額は初期リノベーション費用を含まないものですので、維持費用とは別に初期修繕費用として約500万円~2千万円程度必要です。
ご自身の地域や条件にあわせ、費用概算を行う際にご参考ください。
実家を効率よく維持していきたいなら
実家の維持費用が把握できた所で、次に理解しておきたいのが「維持」する際の注意点です。夫側、妻側双方あわせても、人生で1度か2度しかない物件の相続を失敗しない為に、大切な項目だと言えます。維持する際のポイントと共に、事前に把握しご参考ください。
◎放置しないよう、定期的にメンテナンス
空き家となった実家を放置し続けた場合には、税金の負担が非常に大きくなるペナルティーを受ける場合があります。具体的には、固定資産税において住宅用の固定資産税に対し、約6倍もの高額な税負担が必要になる場合があるのです。
自治体の指導や勧告を無視し、放置を続けた場合に受けるペナルティーですが、空き家の放置は周辺地域の治安悪化や通行人の怪我、犯罪の温床となる場合もありますので、早期の対策を行うことをお勧めします。
◎空き家に関する支援を活用
現在では、放置空き家の対策として、国や自治体単位での空き家活用や対策に関する支援が用意されています。具体的な施策は地域によっても異なりますが、空き家の修繕や活用、解体に対しての費用補助を行う自治体も増えてきているのが現状です。
空き家対策を行う際には、事前に実家のある地域の自治体で実施されている施策などを確認し、活用することで負担を大きく減らすことができる場合もあるでしょう。