地方の空き地問題・・・その土地に合った活用方法を考える

地方の土地を相続してしまった…。人口が少なく土地を売ったり、貸し出すことができるか心配。
そんな地方の土地の活用方法をお教えします。売りづらい土地の対応から、地方の賃貸の落とし穴など。 地方の土地の活用方法がこの記事を読めば分かります。

目次

地方の土地に建物を建てるリスク

地代と家賃 収入は家賃の方が多いが建設費がかかる

地方で土地活用を考えたときに、一番に思い浮かぶのは土地を貸すこと、もしくは土地に建物を建てて、それを貸し出すということです。
不動産の賃料としては、土地を貸し出す地代よりも、建物を貸し出す家賃の方が利益も多い為、一見すると建物を建てる方がいいように思いますが、地方の場合必ずしもアパートなど建物を建てることがベストな選択ではありません。
地方の場合、大学や、工場など特定の対象で賃貸需要が成り立つものが多く、大学や工場が移転した途端に、多くの空室を抱えてしまう場合も。
また、駅から歩いて5分ほどの土地なので、賃貸需要があるかと思いきや、周りにも空室が多い状況だったため全く借り手が付かないなどということもあります。
地方では慎重に需要を見極めた上で、土地活用を考える必要があります。

地方でアパートなどを建設して賃貸に出す場合の落とし穴

せっかく需要を見極めて建物を建てたとしても、地方の賃貸経営には思わぬ落とし穴があります。
それは賃料の安さです。
地方と都心の賃料だけで比べると、都心の約半額の賃料の地域もあるほどです。それにも関わらず、都心と経費は同じ金額がかかります。
賃貸収入は都心の半額なのに、経費は同額。そうなると賃料収入に占める経費率が高めとなり、年数を重ねれば重ねるほど経費は増額するため、賃貸経営が難しくなります。

貸しやすい土地・貸しづらい土地

貸すことが難しい土地とは

駅から遠い土地

駅から遠い土地は、需要が低く、土地の価値としても駅から離れるにつれて価格が下がるため、何かしらの需要がないと貸し出すことは難しいです。

借りるよりも買った方が年間コストで考えると安い土地

土地を借りるという需要は、土地代が高すぎて手が出ないことから、「借りたい」という需要が生まれます。
その為、土地代が安い地方では、地代を払い続けるよりも土地を購入した方が安い場合も多く、「土地を借りる」という需要が生まれにくいのです。
貸し出す前に、持っている土地周辺の土地購入価格を調べることが大切です。

地形が特殊な土地

貸し出すことが難しい土地として、意外な盲点は土地の地形が特殊な場合です。
雑木林などがある場合、整地するにも伐採、抜根などの造成をする必要があります。
実際に木を抜いて見ると、平地だと思っていた土地に窪みや丘があり、切土、盛土をしなければならない場合も。     地盤改良まで行うことを考えると、造成費に坪4~5万円程度かかります。これではよほど高い地代で貸し出さないと、元が取れません。
地方の場合は、坪4~5万以上出して土地を借りようとする人はほとんどいないため、貸し出すことは難しいでしょう。

利用規制がかかっている土地

地方の場合、土地活用が難しい原因のトップ1は、厳しい土地の利用規制です。その中でも代表的なものに、「市街化調整区域」があります。
「市街化調整区域」は、無秩序な市街化拡大を防ぐために開発を制限する区域です。そのため、家を建てるのにも制限があり、厳しい地域では家を建てることができません。
家を建てるための借地として貸し出す場合には、大きな足かせとなります。
地方には「市街化調整区域」だけではなく、さまざまな土地規制があるため必ず所有している土地の役所で確認をしましょう。
以下に、「市街化調整区域」の他に考えられる土地規制法を列挙致します。ご参考までにご覧ください。
また、下記に記した以外にも、地方には都会ではあまりない法律が適応される場合もあるので、必ず役所で土地の利用規制について確認をして下さい。

  • 農地法
  • 生産緑地法
  • 宅地造成等規制法
  • 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
  • 都市緑地法
  • 地すべり等防止法
  • 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
  • 森林法
  • 自然公園法

※土地規制法の例外「生産緑地法」は2022年で解除
上記にも上げました通り、「生産地緑地法」も土地を宅地として使用できない法律なのですが、2022年に「生産緑地法」は大きな転換期を迎えます。
もともと「生産緑地法」とは最低30年間は農地・緑地として土地を維持する制約の代わりに、税制面で大幅な優遇が受けることができる法律だったのですが、現行の生産緑地法が1992年に施行されてから2022年で30年が経過し、これまでは農地としてしか利用が出来なかった土地が宅地として利用できるのです。
自分の所有している土地が「生産緑地法」の規制がかかっている土地かどうかをご存じでない方は、確認することをお勧めします。

地方でも貸せる土地とは 

駅から徒歩5分以内の土地の場合、利用価値が高いため借地として貸し出せる可能性がグッと上がります。(ただし、周辺の土地の借り手がまったくついていないような場合は駅近であっても需要があるとは言えません)
また、高速道路のインターチェンジから近い場合、広い土地であれば資材置き場や物流の拠点として活用できる場合も。
それ以外にも観光地近くの土地などの場合も、貸し出せる可能性があると言えます。
貸し出す場合の方法を見ていきましょう。

建物を建てずに貸す方法、使用貸借

土地を貸し出す方法の一つに、使用貸借(しようたいしゃく)するというのがあります。建物は建てずに、駐車場、野立て看板用地などとして貸し出します。
建築することなく貸し出せるため、初期投資を抑えて貸し出すことはできますが、この場合収入は低く、駐車場(青空駐車場、コインパーキング)は土地の余っている地域では需要がないため、固定資産税代も稼げないこともあります。
土地活用としてはあまりおすすめできませんが、ただ土地を放置したままにしておくよりは多少収益を得ることができます。
ただ、使用貸借の中でも資材置き場として利用する場合は、市街化調整区域や農地法などの規制があっても貸し出すことが できますし、野立て看板や駐車場よりは高い金額で貸し出すことが可能です。

その他建築投資をしない低利用

地方の土地活用方法として、建築投資をしない方法としては、貸農園業者への土地貸し出しや、イベントスペース、地域住民交流スペースとして貸し出す方法があります。
最近ではNPO法人や市民団体などが、地域資源を活かしながら地域の課題をビジネスの手法で解決する「コミュニティビジネス」を行うこともあり、NPO法人や市民団体などが借り手となる場合があります。

<次ページ:地方ならではの使い方も!ニーズの分析とアイデアで活用!>

1 2
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

目次