最近よく耳にする、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」という言葉。「空き家」を活用するための方法の一つとして考えている方も多いと思います。「空き家」や「空いている部屋」を利用して、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」を行うのは、すぐにでもできそうに思ってしまいがちですが、始めるには法律の知識や申請が必要です。知らず知らずのうちに、違法な運営をしないようにするための情報をお届けします。
始める前に必ず知っておきたい!「違法民泊」の実態
「違法民泊」と「ヤミ民泊」についてどれくらい知っていますか?自分には関係のないことだと思っていたら、気軽に始めた、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」が実は、違法だったという事態になりかねません。正しい知識を付けて、「違法民泊」や「ヤミ民泊」を運営しないようにしましょう。
そもそも「違法民泊」や「闇民泊」って何だろう?
「違法民泊」以下の3つのことを行なわず、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」の営業をしてしまった場合に該当します。
- 「旅館業法」に基づく許可
- 「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の届出
- 「特区民泊」に基づく認定
「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」を始める際は、必ずこれら3つのいずれかが必要です。
①の「旅館業法」は、一般的にホテルや旅館、簡易宿泊施設、下宿などの際に適応されるので、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」の場合は、②の「民泊新法(住宅宿泊事業法)」③の「特区民泊」やについて知っておく必要があります。
「違法民泊」や「闇民泊」はどうして増加したのか?
「違法民泊」や「闇民泊」が増えた要因は、外国人観光客の増加に伴う、宿泊施設の不足が挙げられます。また、2008年にサンフランシスコでスタートした、「Airbnb(エアビーアンドビー)」システムがそれに拍車をかけました。宿泊施設の不足と「空き家」や「空き部屋」の増加という需要と供給のバランスがマッチした結果、民泊がブームになったのです。それから、民泊はグレーゾーンの扱いで増え続けたのです。
以下の章では、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」に直接関わりのある、「民泊新法(住宅宿泊事業法)」と「特区民泊」について詳しく解説していきます。
「民泊新法」って何?
「民泊新法」の制定の背景
ルールが明確化されていないまま、民泊ブームが進んだため、様々な問題が顕在化してきました。例えば、外国人ゲストがパーティを開いてしまったことによる騒音で、近隣からのクレーム、ゴミの分別ルールを守らない、犯罪事件など。
そのため、新しいビジネスモデルである「民泊」に対応した、民泊新法(住宅宿泊事業法)が2018年6月に施行されました。
「民泊新法」を詳しく見ていこう!
「民泊新法」とは、ホテルや旅館とは違う、「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの「住宅宿泊事業」に関する法律です。ゲストを宿泊させることのできる日数の上限や、家屋やルールについて細かく決まっています。
①宿泊日数の上限
「民泊新法」では、年間提供日数の上限は180日泊としています。180日を超えてゲストを宿泊させる場合は、「旅館業法」に基づく許可が必要ですが、こちらはかなり厳しい規定があるので現実的ではありません。
②物件の条件
「民泊」できる物件の条件は、あくまでも「住宅」として使用されていることが非常に重要です。「民泊新法」が定義している「住宅」とは以下の3つです。
現に人の生活の本拠として使用されている家屋
特定の人が、継続して生活している家屋、物件のことです。住民票に住所登録してあるなど、短期ではなく長期的に住んでいる家屋や物件が当てはまります。自分が住んでいる部屋の一部や誰かに貸している「空き家」の一部の部屋などを「民泊」として利用する場合は、この条件を満たしていることになります。
入居者の募集が行われている家屋
民泊を行っている間、居住用住宅として、分譲や売却、賃貸の形態にて、買い手や入居者を募集している家屋や物件のことです。「民泊」を優先するあまり、故意に買い手や入居者が見つからないように、不利な広告や取引条件を提示するなどした場合は、「入居者の募集が行われている家屋」とは認められないので、注意が必要です。
随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
生活の拠点ではないが、年に1回程度の使用がある家屋や物件のことです。たまに利用する実家の「空き家」や、別荘などが当てはまります。また、今は常時居住していないが、将来的に居住する予定のある「空き家」も該当します。所有者の居住履歴の全くない、民泊専用家屋や新築の投資用マンションなどは該当しません。
参考:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=429AC0000000065#A
参考:http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/target.html
参考:http://www.mlit.go.jp/common/001212562.pdf
参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html
③必要な設備とルール
「民泊新法」の定義する「住宅」には、台所・浴室・トイレ・洗面設備の4つが整っていなければなりません。これは、必ずしも1つの建物に限ってのことではなく、敷地内で一体的に利用できるものであれば敷地内にある建物全部を「民泊新法」の定義する「住宅」としてみなせます。ただし、近所にある銭湯などを浴室と代替することはできません。
ユニットバスやシャワールームのみでも問題なく、トイレの洋式・和式の基準もありません。浴室やトイレとしての機能を満たしてさえいれば良いです。
ルールについては、苦情の対応や騒音防止の説明、宿泊者名簿の備え付け、近隣住民への説明、標識の掲示、衛生管理などが義務付けられています。
④「家主居住型」と「家主不在型」
「民泊新法」では、「家主居住型」と「家主不在型」の2つのパターンがあります。「家主居住型」は、自分の住んでいる家の空き部屋を「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」として活用している場合です。しかし、家を不在にする時間が1日2時間程度と定められているので、家を長時間不在にすることが多い方は、当てはまりません。
「家主不在型」は、自分の住んでいる家以外に、相続をした「空き家」や「別荘」を「民泊」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」として活用している場合です。
「家主不在型」の場合は、③で述べたルールや設備の他、「施設管理業務の委託」と「消防設備の設置」が義務付けられています。