思い出の詰まった生家で、新たに紡がれていく
望月ハウス
——寄付された生家がこのように利活用されるようになって、野口さんご自身はどういった想いを持たれていますか?
野口さん 本当に、こうやってたくさん活用して、地域のお役に立てていただいてることに心から感謝しています。
「できれば建て壊さずにそのまま使って欲しい」と市の方に申し出たのは、やっぱり私にとってたくさん思い出の詰まった家だから、という想いが強かったんです。
だからこうやって宝塚に帰ってきた時に、多くの方に喜んで使っていただけているのを見ると、本当に嬉しいんですよ。
井上さん そういう野口さんのお気持ちは、いろんなところから感じています。野口さんが、外国のお友達を望月ハウスに連れてきてくださったこともあるんですよ。
私たちも、本当に良いタイミングで良い方に出会えたな、って思っていて、みんなが幸せだと思います。
野口さん せっかく家を寄付しても、使っていただけなかったら、それはただのハコでしかないと思うんです。
私の思い出の残った家で、来てくださる方にとっての新しい思い出が生まれていく、というのが大きな喜びになっています。
いまできることを楽しみながらやっていきたい
——では最後に、この望月ハウスでの活動の今後についてのお考えを聞かせてください。
井上さん 今後どうしていきたいか、ということよりも、やっぱり楽しみながら、いま私たちにできることをやっていくということかな、と思います。
参加してくださる方達も楽しいから来てくれるんだし、運営する方もみんな近隣の主婦たちがボランティアでやっていることなので、あれしなきゃこれしなきゃ、でしんどいばっかりだと続かないですよね。
そうして私たちの取り組みを見て、「あれはよかった、これはよくなかった」って判断しながら、次の世代の方達が活動を繋いでいってくれたら嬉しいです。
——本日はお忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
編集後記
自分の思い出の残る生家を取り壊すのが偲びない、というのはやはり、他の方からも度々聞かれる言葉。
その思い出の家が、多くの方にとっての憩いの場、よろこび溢れる思い出が生まれる場として残っていく、というのは本当に素敵なことだと感じました。
また、みなが無理と思うようなことでも、志高い人が想いを寄せれば奇跡が起きるという実例を見せていただいたように感じます。
「南口の奇跡」とでも呼びたくなるような、空き家活用の1つの成功例だと確信できました。
(了)
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