田舎への移住で可能性が広がる 空き家を使った住宅街での店舗オープン

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古民家の改装では手本とするDIYのレベル確認が重要

古民家を店舗として自分達の手で改装しようと思ったのはなぜですか?

松澤秀邦 ちょうど、僕が趣味で見ていた古民家を改装するブログがありまして、それを見ていたら自分でも改装ができると思っちゃったんですよね。
実際やってみたところ、壁を壊したり天井を塗ったりするのは、YouTubeなどにもやり方の動画などあるので、材料とか道具を調べたりすればそこまで難しくありませんでした。
しかし、問題は壊してしまった天井です。天井を高くしようとして壊してしまったものの、天井の貼り方が分からなくて困ってしまったんです。
床も畳からフローリングにしたかったのですが、やはりどうやっていいのか分からない。なかなか自分達の力だけでは、こうしたリノベーションが厳しかったです。

ーその状況から、どうやって天井などを貼り替えたりしたのでしょうか。

松澤秀邦 妻の父が大工仕事が好きで元々興味があり、、ノコギリやカンナなどの手入れをしている人だったので教わりながら天井を張ったり、壁を塗ったりしました。
といってもかなり義父も悩んでいて、知識としては知っているけれど実践はしたことがない感じだったので。それでも、本当にいろいろと助けてくれました。
天井を張るのは、壁を塗るのに比べると難しかったですが、そういう人がいればなんとかできる思います。とはいえ、昔の家だから柱が垂直じゃなかったり、平行がとれなかったりなどいろいろな問題はありましたが・・・。

ーほとんどDIYをやったこと無い人が空き家を改修することはできますか? 

松澤文子 DIYには、レベルがあると思うのです。例えば私達はDIYのレベルを10であらわすと、2か3くらいのレベルだと思います。
レベルによってできることできないことがあって…、私達のレベルでは壁を塗ることはできても天井を新たに作ることはできなかった。
そういう『できること、できないこと』を見極めることがDIYをやったことが無い人が改修する時には必要だと思います。
DIYとしてどこまで目指したいのか、プロでないとダメなのかそれとも素人でもできるものなのか。
それがわかれば、自分にあったレベルの改修はできると思います。

改修で大変だったことで、天井以外にはなにかありますか?

松澤秀邦 YouTubeなんかを見ていると、さらっとやっているので「この材料を使えばいいんだ」「揃えればできそうだな」と思うのですが、実際やってみると自分達のレベルではぜんぜんできないものも …。とにかく、自分達のDIYレベルにあった物を探すのが大変でした。
さらに、作業がとにかく進まないです。
今日ここまでやりたかったのに、これしかできないということがよくありました。ですので、経験よりも時間と根気が重要だと思います。
また、私達は「パン屋をオープンしなきゃいけない」という差し迫った目標があったのでできましたけど、これが趣味で空き家の改修を…とかになると本当に大変かもしれません。
期日なく改修をするのであれば、本当にこの作業が好きな人では無いと難しいかもと思います。

松澤文子 それ以外にも、自分達で改修工事をすると余分に費用がかかっている気がします。無駄な材料を買ってしまうことなどもありました。床材なども自分達で全部調べてネットで買ったけれど、無駄にしたものもあります。
DIYのレベルに応じた材料というものがあって、さまざまなサイトを見比べましたがいろいろありすぎて……見比べるだけで本当に大変でした。

パン屋『Humme』から発信する 田舎暮らしだからこその楽しさ

移住から店舗の改修まで、紆余曲折があってできたパン屋『Humme』。今後ここでははどのような場所にしたいと思いますか。

松澤秀邦 パン屋としては、もっと気軽に来られるような店にしたいなと思っています。今は、意気込んで来る感じになってしまっているので。
パン屋って、ふらっと行けるイメージですよね。できれば、「Hummeに行ったら美味しい物がある、新しい出会いがある」という風に思って貰える場所になったら嬉しいです。
今はパンがメインですが、少しずつ洋服や本なども置いています。そうした美味しい物や、良い物との出会いを増やして行けたらな…と。

松澤文子 田舎だから遊びに行ける場所が無い … だからこそ、普通の生活が楽しくなるアイテムや生活がたのしくなる事などをここでは提案したいと考えています。
私は高校卒業までこの出水市で暮らしていたのですが、ここに居たときは「都会ではないと楽しくない」と思っていました。しかし今地元に帰ってきて思うのは、田舎を楽しくすごそうと思っていなかったことに気がついたんです。

今は景色も楽しめますし、田舎の良さを感じます。だからこそ、そうした田舎の良さを地元の方にこそこの店で再認識してもらえたらなと。
「田舎で暮らしていて、こういうことができるんだよ!」ということを提案していきたいです。
この辺りで採れるお野菜とか肉とか魚とかを使って、この場所で料理をしたり、アイデアを紹介したり…ここにあるもので生活を豊かにできるということを、Hummeを通して伝えていきたいです。

ー最後に移住経験者としてメッセージはありましたら教えてください。

松澤秀邦 移住する上で、仕事は大事です。よく仕事がないから移住ができない…というのを聞きますけれど、職を探すのではなくそこでできること、自分で何かできることを見つけられれば働き方はいくらでもあると思います。

自分の場合はそれがパン屋でした。
いろいろ決まって無くて、見切り発車で移住をするのは危ないと思いますけれど、仕事が無いからやらない…というのではなく、その場所での暮らしを楽しんでその延長で農業をやりたいならやればいいし、お店をやりたいなら始めればいいと思います。今はネットもありますし、どんな形でもできるのではないかと。
決まったパターンが無いからこそ、田舎ではいろいろ始めやすいです。

松澤文子 私達の場合は子どもがいなかったので、ポンと来ることができましたけれど、お子さんがいるとなかなか移住は大変かもしれません。
それでも私としては、田舎への移住は若いうちに行くのがいいと思います。年をとって体力がなくなると、田舎暮らしはハードなので・・・。
時間には追われませんが、草むしりや庭のいろいろな事などに追われます。もしも地方で暮らしたいなと思うなら1~2年だけお試し移住してみてもいいのではないかと。そういうことがやりやすい世の中になってきたと思います

とにかくそんなに難しく考えずに、やってみた方がいいと思います。

松澤秀邦 東京は結構家賃が高いし店などを構えるには大変ですけれど、ここなら空き家はいっぱいあります。ですので、時間とやる気があれば、ある程度のことはできる環境です。
田舎だからこその生活の中で、自分たちの『暮らしたい暮らし』を探していければいいと僕は思います。

* * *

 田舎での暮らしや空き家の改築など、分からないところから始めた地方移住。松澤さんご夫婦のしなやかな考え方があったからこそ、だれも住まなくなった空き家が現在のHummeの姿になったのだと思いました。

またいろいろお話を伺って、「分からない」時に周りの知識者に助けを求めるのも、地方移住成功の秘訣だと感じます。

これからも、どんどん進化し変化していくHummeから目がはなせません。

プロフィール

松澤秀邦・文子

Humme 店主とその妻。鹿児島県出水市に東京から移住。

妻は出水市の出身。

店主である松澤秀邦はITエンジニアの仕事をリモートで続けながら、パンとお菓子の店を開業。

築50年の古民家を夫婦でフルリノベーションで改装。

鹿児島県出水市から「暮らしたい豊かな暮らし」を発信する。

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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