その時、どうする?相続か相続放棄かの決断。空き家問題当事者のリアル

親はいつまでも親で、元気に暮らしてくれているものー。

そんなことはあり得ないと思いつつも、実家を離れているとついつい自分の生活に忙しく日々は過ぎ、、、それでも ” その日 ” は来るのです。

“その日”が来てから介護施設への入所・長期入院・他界などを経てご実家が空き家になるのはあっという間。

そんな時に期限付きで迫る課題が「相続か相続放棄か」。

今回は、そんなとてもプライベートに踏み込んだお話をお伺いすることができました。

いつかはくる”その日”に向けて

あるいは、今まさにその課題に向き合っている方に

ひとりじゃないと思って頂ける内容になっております。
是非お読みください。

※今回の取材対象者様※
大変プライベートな内容を含みますので、取材対象者が特定されないよう配慮しております。
今回取材に応じて下さったTさんは首都圏にお住いの40代。子育てに忙しい世代です。2017年の年末、ご主人のお父様である義父が他界。義母は当時すでに施設に入所されていたため、子であるご主人に相続問題が発生しました。北関東のご実家を含めた相続をどうするかー。今回はそんなご主人の様子を妻として、一番近くで見ていた視点でお話して頂きました。
(冒頭の写真はイメージで、取材対象者様ではありません)

目次

両親が続けざまに入院、入所。年の瀬に起こった相続問題

―まずは年齢を教えてください。

私も主人も40代になります。子供は小学生が2人です。

―どのような経緯で相続に至りましたか?

2017年末に義父が他界。義母はその数か月前には介護施設に入所していました。
義父はがんを患っており入院はしていなかったものの、2017年の秋頃(亡くなる数か月前)に症状が悪化。救急搬送されて以来入院し、そのまま病院で亡くなりました。

―今回のご実家は元々はどなたのものですか?

元々は義父の名義でした。義母は存命していますが持病を患っており、介護施設へ入所していて退所できるような状態ではありませんでした。

入所している義母に、義父の死を伝えるのは落ち着いてからにしようと主人と話し合っていましたが、相続放棄には3カ月という期限があり、義母も相続人の一人なのでそろそろ伝えないといけないというギリギリのタイミングで話しました。

その結果、義母と義理の姉(首都圏在住)とご主人が相続放棄をすることに。手続きはご主人が一括して3人分を弁護士を通じて行ったとのこと。
ご主人は姉と妹の3人兄弟ですが、お母様・お姉様以外の親族とは絶縁状態で、最終的に妹さん(首都圏在住)と叔父・叔母が相続に対してどうしたのかは不明の状態です。
連絡先は一応知っていたため、妹さんには3人が相続放棄をしたことだけはご主人からメールで伝えました。

相続するか放棄をするか。その判断に必要な遺産の詳細についてはどのようにお調べになりましたか?

亡くなる数か月前、義父から主人に「お金を貸してくれないか?」という無心があるようになり、公務員を勤め上げたので退職金が結構入るはずだったのでおかしいなと思い、断っていました。そのことから何かまずいんじゃないかと薄々感じていました。

亡くなった後に実家の整理に行った際に郵便物を確認していたら、請求書などが多数出てきました。金額は少なく見積もって数百万円だったため、プラスの遺産があるかどうかは調査をせずに相続放棄を決定しました。

亡くなる数年前から義父が義母を介護する老々介護の状態でしたが、十分な介護が出来ているとは思えない状況でした。義父が病院へ搬送されたことを機に義母の入所を進めました。

―相続が分かった時点で、相続・遺産放棄・相続放棄という3つの選択肢がありますが、遺産放棄については検討されましたか?

遺産放棄についてはメディアなどからの情報で何となくは知っていましたが、相続放棄の期間延長など細かい手続きについては知りませんでした。

また、子供が小さい上に年末年始だったので、忙しくて調べようという気力もありませんでした。

―お義父様はおいくつで亡くなられたのですか?

2017年で70代前半。その時義母は60後半でした。

―ご実家の大きさはどのようなものでしたか?

2階建てで庭付き、瓦屋根の日本家屋でした。4LDKと部屋数も首都圏に比べると多かった記憶があります。

Tさんの記憶を基に再現した間取り

<次ページ:今も最低限の管理は続く。それでも・・・>

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この記事を書いた人

リラクセーションサロン・大手コンビニ・福祉業界と異色の経歴を持っています。今は田舎に戸建てを借りて都内と二拠点生活するフリーライターです。

次世代が活躍できる舞台づくりをフィールドワークにしています。

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