大事なのはスピード感!空き家にならないよう今のうちに考える、相続放棄

「相続」という言葉を耳にしたことがない人はいないでしょう。
ですが、「具体的に相続について知っていることをあげてみて下さい」と言われると、うまく言葉で説明できない方が多いのではないでしょうか。
いつかは考えなければいけないな。
親が生きている間に話すのは気まずいな。
法律用語が多すぎて難しいな。
理由は様々ですが、後回しにしているうちにある日突然”その日”はやってきます。
相続には法律で厳密に期限が定められており、多くの方が葬儀と共に追い立てられるように決めていかなければなりません。
この記事では、相続についての基本的な流れについて触れたのち、特に「相続放棄・遺産放棄」にフォーカスをして解説しております。
また、大変プライベートな内容でありながらも実際に相続放棄を経験された方に取材に応じて頂くことができました。事前に何をしておけばよかったか。その時に何を感じたか。赤裸々に御話頂きましたので、この貴重な取材についても是非お読み頂ければと思います。
また、私自身法律の専門家ではないという観点から、一般の方にも読みやすい記事となるよう心がけました。知っておくべきポイントをまとめていますので最後までお付き合い頂けますと幸いです。

相続とは?具体的な手続きや期間について

そもそも相続とは何のことでしょうか?基本的な用語から、具体的な手続きの流れやスピード感を最初にご紹介していきます。

相続とは?

相続とは、民法に定められた「相続制度」をいいます。法律に則り正式な手続きを踏まなければなりません。まずは、どのような手続きをどのくらいの期間で決定・実行しなければならないのかをおおまかに見ていきましょう。

相続の具体的な流れと実行期限

相続と一口に言っても具体的なケースは千差万別です。ここでは、一般的な流れとどのくらいのスピード感で意思決定・手続きを行わなければならないのかを体感して頂きます。

<<7日以内>>①死亡届の提出=相続の開始※余談ですが、被相続人の口座凍結は「死亡届」を提出することで行われると思われていますが、実際は金融機関が「死亡を知った時」になります。凍結の解除に必要な書類は金融機関によっても異なり、基本的には相続人全員の合意がないと難しいというのが現状です。

※<<>>内の期日は、被相続人が死亡した日からの期日になります。

今回ピックアップするのはココ!!!

<<3か月以内>>②遺言書があるかどうかの確認→自筆証書遺言・公正証書遺言等
③相続人調査※法律で相続人と認められる人は定められています。相続人としての権利を有する人がいるのに、相続のことを知らせずにこれ以降の手続きを進めることはできません。ただし、相続放棄については可能な場合があります。
④相続の方法※相続には大きく分けて単純承認・限定承認・相続放棄・遺産放棄の4種類があります。相続はプラスの財産だけを相続するということはできません。そのため、相続人は負債となるマイナスの資産も含めて相続をするかどうか意思表示をすることになります。
<<4か月以内>>⑤被相続人(亡くなった方)の所得税の申告と納付※4か月以内に所得税の申告と納付を行わなければならないため、資産の総額を把握することと、相続人全員による合意の上、口座凍結の解除を早めに行っておく必要がありま す。
<<10か月以内>>⑥遺産分割協議と協議書の作成※遺産には、不動産のような分割することが難しいものがあり、また生前贈与を受けた分の持ち戻しや遺贈による予期せぬ内容が含まれていることもあります。遺産や相続人が多いほど資産分割協議には時間を要するので、早い段階で話し合いを進めることが必要です。
⑦遺産の名義変更手続き(不動産の所有者移転登記、預貯金の名義変更等)
⑧相続税の申告と納付

いかがでしょうか。

難しい言葉が多かったかもしれませんが、どのタイミングで何をしなければならないか。その量とスピードに圧倒される方が多いのではないでしょうか。

今回は相続の中でも、相続放棄・遺産放棄について解説をしていきます。相続するか否かを検討した結果、相続を選択される場合でも色々な方法があります。

これらについては、下記にまとめてありますのでこちらを参照ください

→私の「相続における贈与とは?生前贈与と遺贈の違いを分かりやすく解説」へリンク

相続の承認か放棄か? 「相続=問題」になる時

私はかねがね両親から「うちは幸いにもな~んの財産も無いから、遺産や相続争いはしなくてよかったね」と言われています(笑)

でも、よくよく考えてみると両親は都内のマンションに住んでいるので、「持ち家」がある状態。当然のことながら両親が亡くなれば、子である私と兄弟に相続は降りかかってきます。親が高齢者になっている今、相続問題とは隣り合わせです。

目次

意外と他人事じゃない?!相続問題が発生する原因

これを読まれている読者の皆様にも、もしかしたら相続は私には関係ないからと思っている方がいらっしゃるかもしれません。

ですが、相続とは「資産があってそれを受けること」のみを指すわけではありません。正の財産も負の負債も、清濁併せのむか一切を手放すのか。それを判断することを含めて相続になります。

また、先に解説の通り相続に関する一連の手続きは、大変早いスピードで期限が迫ってくるものです。

もし、ご両親にご自身の知らない負債がある場合も、相続放棄をしなければ債務者としての義務を請け負うことになりますので、自分事として読み進めて頂ければと思います。

相続にまつわる困りごと

相続に関連する困りごとは沢山あり、この記事であげきれるものではありません。それは、資産や親族、その関係性など個々のケースや条件に大きく左右されるからです。
ここでは、中でも特に多い困りごとについてご紹介していきます。

⓵タイムリミットが早い

→このスケジュール感については前項でご紹介した通りです。初めての方には負担の大きいものとなっています。期間の延長ができる制度がありますので次項で解説していきます。

⓶法律用語や法律の内容を理解するのが難しい

→法律で定められていることについては例外や曖昧さを回避するため、制度の名称はお堅くなってしまいがちです。私どもの記事では、相続に関連した 分かりやすい記事もありますので、ぜひご参考ください。
 また、今回取材をさせて頂いたTさんのように、法律の専門家に頼ることも重要です。専門家の方に直接確認をし、分からないことは質問して、「これで大丈夫です」とお墨付きをもらえる安心感は大きな支えとなります。

⓷親族との関係性によって、手続きが円滑に進まない

→相続という分野では、明確に「法定相続人とその順位」が定められています。
 相続放棄、遺産放棄いずれかを選択する上では、連絡が取れないと進められない手続きも あります。法定相続人と疎遠な場合は事前に連絡を取れる手段を確保しておくとよいで  しょう。

④分割できない資産がある場合

→相続するもので一番多いのが建物や土地などの「不動産」です。特に築年数が31年を超 えている場合、地方の不動産屋に相談をもちかけても建物の価値を評価してもらえずに、 更地にして土地を売却するなどの提案を受けることが多いです。
 親族が近くに住んでいない場合、建物を保存して活用することもご自身では難しくなり、 期限に追い立てられるようにして相続放棄を選択せざるを得ないケースも珍しくありません。

<次ページ: 相続を放棄を決断する前に知っておくべき3つのこと >

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この記事を書いた人

リラクセーションサロン・大手コンビニ・福祉業界と異色の経歴を持っています。今は田舎に戸建てを借りて都内と二拠点生活するフリーライターです。

次世代が活躍できる舞台づくりをフィールドワークにしています。

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