コロナ流行の渦にのまれた2020年。世界を取り巻く環境は大きく変化し、不動産業界にも新しいウェーブを起こしています。
「リモートワーク」の急速な浸透による働き方の変革は、オフィスの在り方や居住地の在り方を変え、新しいニーズを生み出しました。
今回は、「空き家」をオフィスに活用する新たなビジネスについて解説していきます。
なぜ今、「空き家」をオフィスに!?
地方の「空き家」をオフィスにするニーズの高まり
2020年に起こったコロナウィルスの流行は、私達に計り知れないインパクトを与えました。
「リモートワーク」「テレワーク」「地方移住」などが世間の関心を集め、これまでの都市型の生活スタイルを変革させうる大きな影響力を持っています。
オフィスも例外ではありません。リモートワークの浸透により、賃貸料の高い都市部にオフィスを構える意味が見直されてきているのです。
会社の在り方、通勤という概念をコロナウィルスは変えようとしています。
会社の在り方や通勤システムが変われば、人が集中し易い「都市部」に会社を置く必要性がなくなってきます。
会議や取引先との打ち合わせも、リモートで可能ということは、コロナ渦による緊急事態宣言中に既に実証済みです。
賃料や物件価格がリーズナブルな地方の「空き家」をシェアオフィスやサテライトオフィスにする企業も増えてきているのです。
賃料の高い都市部から、地方の「空き家」へ会社の拠点を移すことは、大きなコスト削減となるだけでなく、コロナ渦での密の回避、感染リスクを避けることにもなるため、企業も注目しています。
参考:https://www.akiyakanrishi.org/archives/1653
新しいビジネスチャンス!
「空き家」を借り受けし、活用するビジネスモデル
日本の抱える「空き家問題」が顕在化していく一方で、「空き家」を活用したビジネスに参入する企業も増えてきています。
株式会社ジェクトワンが手がける「アキサポ」もその一つ。
「アキサポ」では、首都圏にある「空き家」にターゲットを絞り、借り受けし、活用方法に応じたリフォームを施し、転貸にするサービスを行っています。
リフォーム費用の負担やリフォーム後の「空き家」利用者の募集も「アキサポ」が一括して行うので、「空き家」を所有し持て余している人にとっては、嬉しいサービスであり需要もあります。
居住宅としてリフォームするだけでなく、コワーキングスペースや地域の憩いのスペースとしてシェアキッチンにしたり、おしゃれなガレージにしたりと、その土地にあった用途でリフォームを手がけ、「空き家」を再建し、輝きを取り戻させています。
知っていますか?日本の「空き家問題」の現状
日本の「空き家問題」は、諸外国と比べても深刻です。
そもそも、欧米諸国には日本のような「新築偏重」の考えがあまりなく、中古物件の流通が主流です。
日本のように、「空き家」は増え続ける一方で、新しい「家」は立ち続けるという、奇妙な現象は見られません。
2018年に発表された、総務省の調査報告によると、日本の「空き家」は、およそ849万戸。
総住宅数に占める「空き家」の割合は13.6%となっています。この数値は年々増え続けており、今後ますます、増加すると予測されているのです。
参考:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
参考:失敗しない中古物件の家探しで、憧れのマイホームを手に入れる!/空き家活用Lab
2015年には、「空き家対策特別措置法」が施行され、国も「空き家」対策に乗り出しています。
「空き家対策特別措置法」により、「放置空き家等」と指定された「空き家」の所有者には、固定資産税の増額や所有者負担の強制撤去など、厳しい処置が取られる可能性があります。
そのため、「空き家」所有者は、今まで以上に「空き家」の有効活用について、真剣に意識を向け考え、放置しない術を探っているのが現状です。
「空き家」活用のビジネスは、SDGsな社会への貢献!!
「空き家」が放置され、増え続ける日本の未来を想像したことがありますか?
「家」とは本来、人が集い憩う場です。放置され、人が寄り付かなくなってしまった「空き家」は、物騒で、周辺環境にも悪影響を及ぼします。
景観や治安の悪化、害虫の発生や、ゴミの不法投棄、犯罪の誘発などいくつもの負の要因を「空き家」は持っています。
災害の多い日本においては、「空き家」は倒壊する恐れも高く、近隣住民の人々にとっては凶器にもなりえるのです。
「空き家」を放置することは、未来の子ども達へ「負の遺産」を残すことになります。
健全な「空き家」活用は、ビジネスの意義だけでなく、サステイナブル(SDGs)に向けた、社会への貢献となるのです。