今、日本では空き家が過去に例を見ないスピードで増加しています。
ニュースなどでも取り上げられていますし、身近で実感され、ご存じの方も多いと思います。
ですが、そもそも空き家とはどんなものかを説明できる人は少ないのではないでしょうか。
また、空き家が増えることは何が問題なのでしょうか。
この記事では「空き家とは何か」。
その定義から、空き家に関わる法律とリスクについて。
また、日本と海外における空き家問題への取り組みの違いなど、
空き家に関わる基本的な部分を解説していきます。
今空き家をお持ちの方も
これから空き家のオーナーとなる方にも
ポイントを押さえてまとめておりますので、是非最後までお読みください。
国が定義する「空き家」とは?
空き家が問題となっていることは様々な理由があります。
空き家を所有しているオーナーにとっては、
- 老朽化などで資産的価値がなくなる
- 倒壊などによる第三者への被害
- 固定資産税の値上がり
- 自治体による強制介入
これらがメインになってくると思います。
このうち、自治体による強制介入は法律による執行であり、明確な定義があります。まずは底を確認していきましょう。
国の定義における「空き家」とは?
国の定義としては国土交通省の「空き家対策特別措置法(2014年11月27日公布)」で「1年以上住んでいない、または使われていない家」を空き家と定義しています。
具体的な判断基準として、
- 人の出入りの有無
- 電気、ガス、水道の使用状況ないしそれらが使用可能な状態にあるか
- 物件の登記記録や所有者の住民票の内容
- 物件が適切に管理されているか
- 所有者の利用実績
などがあげられます。詳しくは次の項目で解説します。
具体的な判断基準はこの6つ!
国土交通省では、客観的に空き家かどうかを判断するための基準として以下の6点を中心に確認をします。
漠然と空き家の管理といっても何をすればいいか分からないですよね?
そんな時はこの6つを押さえておきましょう!
- 住宅の用途
- 人の出入りの有無
- 電気・ガス・水道の利用状況
- 建物の登記・所有者の住民票
- 適切な管理が行われているか
- 所有者の主張
※所有者や家族がこれらの管理を行うのが望ましいですが、空き家管理を代行してくれるサービスもあります。ご自身で行うのが難しい場合はそういったサービスの利用も検討しましょう。
これらは戸建てや分譲マンションなどで使われる判断基準で、アパートは少し基準が異なります。
アパートの空き家について詳しくお知りになりたい方は以下を参照ください↓
空き家の定義とは?アパートなどの定義の違い/発生課題とその対策|アキカツマガジン
対策が必要な空き家=”特定空き家”に認定するのは「市区町村」
空き家対策特別措置法が生まれた背景は、放置され倒壊の危険があるものや、適切に管理されず景観を損なうケース、犯罪に利用される事案が増えた為です。
国としてこのような空き家を減少させることを目的に空き家対策特措法を制定し、先に触れたような空き家を自治体が介入できる事としました。
ただし、国として空き家の全てを把握することは難しいので、実施団体は「市区町村」になります。
空き家増加の背景には「日本特有」の空き家像
蔦が這い、雑草が生い茂り、倒壊の危険がある・・・。日本では当たり前の「空き家」の様子ですが、海外ではこのような日本の空き家と同義の言葉はありません。
ここでは、日本と海外における空き家の違いや、日本がこれほど空き家大国となった背景について触れていきます。
海外との最大の違いは”共有空間に対する責任感”
冒頭で日本の空き家をそのまま表す言葉が海外に無いと言いましたが、勿論海外にも空き家はあります。では、どのような建物を空き家と呼んでいるのでしょうか?
海外で空き家というと、「借り手がつくまでの借家」もしくは「買い手がつくまでの売家」を指すのが一般的です。いずれも前の持ち主から次の持ち主に渡る前の”準備された状態の家”になります。
日本のような空き家も無くはありませんが、そういった物件には特別な税金が課せられるため、次へ渡すためにしっかりと管理されています。
なぜこのような違いが生まれたのでしょうか。
1つの要因で説明することはできませんが、大きな原因として「国あるいは国という土地に対する責任感」があげられます。
その国に住む人はお互いが共有財産を利用しているという感覚。共有財産だからこそ、誰かが住んだり、活用をするという考え方が日本との大きな違いです。
日本では所有者の権利が非常に強く、その土地・建物の所有者は自分の好きにしていいという考え方があります。それが放置に繋がり、倒壊の危険や犯罪の温床となる恐れが生じた段階で、第三者への迷惑を防ぐためにようやく対処をする傾向にあります。
勿論、日本でもきちんと対処している人もいらっしゃいますし、海外でも所有者の権利を強く主張する人もいるでしょう。
そこで、国家の介入が必要になるのです。海外では先に触れたように、放置され管理が行き届いていない物件には特別課税などで対応をしています。
新築至上主義から中古市場の成熟へ
日本では昔から新築が好まれてきました。そのため、中古物件は売れず、新築物件も築年数を経るごとに価値が減少し続け、概ね30年で横ばいとなります。
海外では中古市場が成熟しており、物件の購入を考えた際に中古~新築まで幅広く選択されています。
日本でも空き家問題が顕在化して久しくなり、民間企業や個人が活用しようという動きが出てきました。
また、40代以降の物件購入においても中古市場が伸びてきています。今後、この流れが継続していけば中古市場が成熟していくでしょう。
日本と海外の空き家に対する考え方の違いや海外の取り組みをまとめた記事がありますので、是非ご覧ください↓
空き家問題解決の鍵となるか?!日本と海外の取り組みと違い|アキカツマガジン
空き家にはらむリスク!特定空き家との違いとは?
空き家の判断基準については前項で解説しましたが、空き家の所有者にとって本当に気をつけなければならないのは、「特定空き家認定」です。
この認定を受けてしまうと、空き家対策特別措置法により行政指導、さらには強制介入が可能になりました。
建物の安全性が低い場合は大規模な修繕工事が必要となり、倒壊の危険性から解体しようと思っても、解体にかかる費用は木造でも約120万円が相場です。
収益を生まない建物にそれだけのお金をかけるのは、大きな負担となります。
ここでは、特定空き家とは何か。その条件とその他の空き家が抱えるリスクについて簡単に解説していきます。
特定空き家とは?認定の条件
特定空き家に認定される空き家にはいくつかの条件があります。以下に具体的条件をあげましたので、見ていきましょう。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記の条件を見る限り、最低限の管理が必要だということは分かります。
具体的には、庭があるようであれば最低でも月に1度は手入れを、ゴミなどを放置されないための対策等を指します。
害虫対策も重要で、人が住まないと建物はあっという間に朽ちていきます。特にシロアリが繁殖してしまうと、いざ借り手が決まった時には大規模な修繕工事が必要になる場合があります。
また、対策を行っても5年に1度は業者に依頼する必要があるので、換気と清掃を行い維持するという方法が特定空き家と認定されないためには効果的です。
自分自身で行うことができるのが一番望ましいですが、難しい場合は「空き家管理サービス」などもありますので、代行を依頼するという方法もあります。
特定空き家認定をされてしまった場合、どのような段階を踏んでどのような対応がされるのかを以下にまとめました↓
空き家の定義とは?アパートなどの定義の違い/発生課題とその対策|アキカツマガジン
空き家が抱えるリスク
空き家が抱えるリスクは特定空き家認定だけではありません。一番大きなものが「犯罪の温床となること」です。
中でも大きなものが放火。空き家で発生した出火原因の1位は放火によるものです。たとえ放火であっても管理がしっかりとされていなかった場合、焼け残った残置物の撤去費用の他、第三者への損害賠償を請求されることも十分にあります。
最大の予防策は「火災保険の加入」。空き家だから入れないでしょと諦める必要はありません。空き家でも入れる保険は意外とあります。
火災保険について詳しくお知りになりたい方は以下を参照ください↓
空き家の火災保険おすすめは何か? 空き家における放火リスクと対策について|空き家活用Lab
その他にも景観を損なう、害獣による被害など、空き家が抱えるリスクはたくさんあります。特にコロナ禍以降、害獣被害は増加の一途を辿り、これまで被害の無かった地域にまで広がりを見せています。
また、人が住まなくなれば建物の老朽化は加速度的に進行します。
空き家を探す・譲る・活用するための3代巨頭!
空き家を譲りたい人。空き家を利活用したい人。このような人たちにとって、是非とも活用したいのが両者を結びつけるマッチングサービス。
中でも空き家バンク・空き家ゲートウェイ・空き家活用株式会社は、多くの人に活用されています。
ここでは、簡単にどのようなサービスなのかご紹介します。
空き家バンク
空き家バンクは「地名・空き家」と検索すると、必ず検索結果の上位に出てくるので見たことがある方は多くいらっしゃると思います。
しかし、実際にどのようなサービスなのか意外と知られていないのが現状です。
空き家バンクは、基本的に自治体(もしくは自治体から委託された第三者機関)が運営しています。自治体にある空き家を把握し、売却か賃貸の希望を所有者に確認。自治体のサイトに掲載し、買いたい・借りたい人とを繋ぐサービスです。
参加する自治体は年々増加してはいますが、空き家全体を把握しきれていない、取引は所有者と直接取引で自治体は介入してもらえないなど、まだまだ改善の余地があるのもまた事実です。
活発に運営している自治体では、民間企業が把握していないような情報も掲載されているので、希望する地域が空き家バンクを有効に活用している場合は便利なサービスです。
空き家ゲートウェイ
空き家ゲートウェイとは、2019年7月に誕生した空き家マッチングサイトです。
YADOKARI株式会社(タイニーハウスやモバイルハウスに関する企画開発やメディア運営)と、株式会社あきやカンパニー(空き家流通サービス「カリアゲJAPAN」を運営)がタッグを組んで作り上げました。
サイト自体のデザインも非常にスタイリッシュで、サイト内で「日本中の100均物件を網羅するマッチングサイト!」とキャッチコピーを掲げているように、100円物件、そして100万円物件の空き家のみ掲載しています。
掲載基準も非常にユニークです。掲載が可能かどうか、サイト内の『物件査定カンタンゲートウェイ』をクリックして、郵便番号を入力すると「おめでとうございます」もしくは「残念!掲載できません」と簡単判定が表示されます。
一件に対し、利活用したい人の申し込みは数百件が平均と、非常に活発なサイトです。
空き家ゲートウェイの仕組みやメリット・デメリットを詳しくお知りになりたい方は以下を参照ください↓
空き家ゲートウェイで100円空き家を手に入れる!?楽しむ空き家活用術|アキカツマガジン
まとめ
空き家とは何か。国の定めた定義から、「特定空き家」に認定された場合のリスクと対処法。日本と海外の空き家に対する考え方の違いや、活用方法について解説をしてきました。
空き家が増加の一途を辿る日本ではありますが、若い世代では自分の居心地のいい空間をDIYを含めて自ら作っていくという風潮も高まっています。
また、不動産業界はもちろんのこと、他の業界を専門とする企業も自社のテクノロジーを活かして空き家問題の解決に乗り出しています。
地方では人口減少、農家の高齢化の問題を合わせて解決するため、移住者に対して無償で空き家を提供・改修費用の助成など幅広い助成金で対応をするなど、空き家を活用して事業を始めたい個人・企業にとっては追い風ともいえる流れがあります。
空き家はもはや他人事ではありません。
空き家のオーナーとなってから考えるのではなく、「空き家の今後」について一緒に考えてみませんか。
空き家活用株式会社では、空き家をお持ちの方、これから空き家のオーナーとなる方、空き家を利活用したい方のお話を伺いながら、利活用についてご提案をさせて頂きます。
まずは以下のお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
お問い合わせフォーム:https://aki-katsu.co.jp/contact/
※私どもは不動産会社でも建築業でもございません。「未活用物件」「空き家」の情報を自治体さまとの連携などもしながら収集し、関わる方のお悩みに相談する窓口としての専門会社です。