古民家空き家をゲストハウスに!「止まり木」のような存在で旅行者にも地元の人にも愛される場所づくり

今回お話をうかがったのは、兵庫県たつの市でゲストハウス「PERCH GUEST HOUSE」を経営する足立祐基さん。
もともとは神戸に暮らしていた足立さんは、ある日テレビで映ったたつの市を見てここで空き家を探すことを決めたのだそうです。本業であるデザイナーと両立してゲストハウス運用を始めたその経緯とは?また、利用者のニーズを意識して古民家の空き家を選んだという狙いなども伺いました。
縁もゆかりもない土地で空き家を改修してゲストハウスを始める、という誰もが一度は夢見る生き方を体現されている足立さんのお話を、ぜひお楽しみください。

目次

空き家を活用して夢のゲストハウスをオープン

縁もゆかりもない土地で叶えた20代の頃からの夢 

PERCH GUEST HOUSE 玄関

ー PERCH GUEST HOUSEはどのような経緯でオープンすることとなったのでしょうか。

足立祐基(以下、足立) 経緯としては、20代の頃にアメリカを中心にバックパッカーで旅をしていたことがあって、その際に当時はユースホステルと呼ばれていたゲストハウスを利用していました。お金がないのでドミトリーのあるゲストハウスにとまって、相部屋になった同じく旅をしている人達と交流したり情報交換したりしていて……。とてもそれが良かったので、いつか日本に同じスタイルの宿を持ってきたいと思っていました。

それをようやく実現したのが、このPERCH GUEST HOUSEです。

ー なぜ、たつの市の古民家だったのでしょう?

足立 実は僕、たつの市に縁もゆかりもなくて……。たどりついたのはたまたまです。

最初は生まれ育った神戸で探していたんですけど、神戸は震災で古い建物がほとんど無くなっていたので、古民家自体がありませんでした。
そこで、どこにしようかな…と考えていたところ、ちょうどテレビでたつの市が紹介されていて、面白そうだなと。

テレビに問い合わせ先も出ていたので、すぐに連絡をしたところ、その窓口が「空き家を活用して町おこしをしていこう」という活動をしている小さな不動産屋さんでした。

たつの市は重要伝統的建造物群保存地区に指定されるような地域だったので、空き家が増えていて……。というのも、重要伝統的建造物群保存地区に指定されると自由に壊すことはできなくなり、勝手に増築もできないため空き家になっている家が結構あったのです。

そこで、不動産屋さんにいくつか古民家の空き家を紹介してもらって、立地や工事の必要度合いなどから選んだのがこの家でした。

外国人旅行者をターゲットに決めて選んだ古民家の空き家

PERCH GUEST HOUSE 外観

ー 空き家である古民家をゲストハウスにしようと思ったのはなぜですか?

足立 コロナ前ということもあったのですが、当時は海外の人をターゲットにしたいと考えていました。こういう昔ながらの日本家屋に、海外の人が滞在してもらったら面白いなと思って。

それで、古民家を中心に物件を探していました。

ー 空き家だった古民家をゲストハウスとして改築する際に大変でしたか?

足立 はい、改築が一番大変でした。DIYみたいな感じで改修に僕も携わったのですが、本当に難しくて…。

一人ではできませんので、大工さんと一緒にやったのですが、古い水道管を外すことや、配水管をどう通すかなどすべて自分で考えなければなりませんでした。肉体的にも辛かったです。

しかし解体していくうちに、思ったより老朽化している所はあるものの躯体自体はしっかりしていることが分かったのでなんとかなりました。

はじめてのゲストハウス開業は宿泊許可の取得で大慌て!?

ー そのほかに苦労されたことなどはありましたか?

旅館業の宿泊許可を取るのも大変でした。
「PERCH GUEST HOUSE」の場合、改築しながら許可申請をしたのですが、図面を見せても「出来上がった建物を見ないと許可を下ろせない」と言われてしまって…。

火災報知についても、建物のチェック後に設置個所が追加になったりしました。

実は、オープン予定日に予約が入っていて満室状態だったんです。
予約を受けたのが2~3ヶ月前だったのですが、まだ素人だったので「さすがに2~3ヶ月後にはオープンが出来ているだろう」と思ったんですよね。でも実際はオープンできるかどうかの瀬戸際で。
そんな状況なので、なんとしても許可を取らなければならなかったのです。

結局、許可が下りたのはオープンの1日前でした。

女性専用ドミトリールーム

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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