新空き家活用 空きスペースと地域を結ぶビジネスに

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収益だけでない、空き家・空き地にキッチンカーを呼ぶ利点

──収益を得る以外に空き地のオーナーがキッチンカーを呼ぶ利点はありますか。

八田 以前アパートのオーナーが、ご自分の所有している物件の空いている駐車場にキッチンカーを誘致したことがありました。

もともと、アパートに居住する方のデリバリー率が高かったのだそうです。

そこで、空室率を下げるために住人の方へのサービスの一環としてキッチンカーを呼んでみたところ、住人の方の多くが利用するという結果に。

また、キッチンカーを呼ぶことによって第三者の目も入りますので、防犯にもなります。

さらに一昔前は空いている土地がありますと、とりあえず駐車場にして貸し出していましたが、現在は車を所有する人も減ったことから、駐車場経営のみで土地の利活用を判断をする方も減りました。

それに比べてキッチンカーなどの移動販売車の誘致は、駐車場のようにアスファルト引いて、パーキングメーターを設置するなどの初期投資をかけることなく、空き地の利用が可能です。そうした初期投資がほぼかからないところも、キッチンカーを呼ぶ利点と呼べるでしょう。

── 具体的にどのくらいのスペースがあればキッチンカーを誘致できるのでしょうか。

八田 キッチンカーの出店であれば、先ほどもお話ししましたように広さは軽トラ一台が入ることができれば十分です。

幅1.5m・奥行き3.5m・高さ2.5mのスペースがあれば十分に営業自体はできます。

ただ、住宅街などにキッチンカーを誘致する場合、2点大きな問題が。

それは『におい』と『発電機の音』の問題です。

発電機については、空き家の駐車場や空き地のある場所に外部電源が100Vほどあれば、発電機の音の問題は回避できますが、基本的に発電機はそれなりに大きい音を出します。

線路のそばの場所であったり、もともと交通量が多い場所であったりすればそんなに発電機の音は気にならないと思いますが、閑静な住宅街の場合音は問題となるのです。

また、においの場合は防ぎようがないためどうしようもありません。

キッチンカーの誘致を考える際に、マーケティングのことを気にされる方がほとんどですが、マーケティングについては弊社の方で展開していけばある程度の売り上げはたちます。

ただし、このにおいと音の問題だけは、手の打ちようがないのです。

そのため、住宅街などの場合は適度な隣近所との距離であったり、交通量が多く音がまぎれるような環境であったりすることが必要といえます。

(写真提供:ユニベルHD)

──キッチンカーを誘致する上でキッチンカーが確保したい基本売り上げ金額や保健所の許可の有無などについて教えて下さい。

八田 キッチンカーは基本2~3万円の売り上げが確保できれば、問題なく誘致することができます。

また、キッチンカーは食品を扱うため保健所の許可が必要となりますが、それについては業者の方で許可をとり、出店場所の管轄保健所からの許可証を持った業者が伺いますので、土地オーナーに特段のご対応をして頂くことはありません。

2021年の6月から食品衛生法が改正され、どの保健所も統一のレギュレーションで許可を出すようになりました。

6月以前は換気扇のカバーの付け方や、調理工程に応じた制限が各都道府県の保健所によってありましたが、現在は水タンクの量が基準となっています。

そのため、どのキッチンカーも設備は整っている状態です。車の形やデザインも自由になってきましたので、キッチンカーを一台誘致するだけでも、大分その場が華やかな印象に。オシャレな移動店舗がくるみたいな感覚で、空き地にキッチンカーを気軽に呼ぶことができます。

誘致できるのはキッチンカーだけではない、さまざまな移動販売車

──キッチンカー以外にも移動販売車の種類はあるのでしょうか。

八田 移動販売車の種類としては、キッチンカー以外にもフラワーショップや、雑貨屋、ファッションストア、アクセサリーなどがあります。

こうした移動販売車はまだまだ台数が少ないため、キッチンカーの方が誘致しやすいのが現状です。

とはいえ、現在生花業界では花の販売方法が大きく変わろうとしています。

コロナ禍になる前までは、花を利用する場所といえば歓送迎会などで使用する花束が主流でした。しかし現在ではこうした歓送迎会の開催が激減し、生花業界としても自家需要を伸ばしたいと考えているのです。

そこで登場するのが、移動販売車のフラワーショップです。

これまでは駅ビルや、駅校内の商業施設にフラワーショップが入り、そうした自家需要の開拓に一役かっていました。

ところがコロナ禍によって、電車利用することが減り、ますますフラワーションから足が遠のく結果に。

フラワーショップに行けないユーザーのためにも、弊社としてフラワーショップの移動販売車を展開したいと考えています。キッチンカーのあるところにフラワーショップの移動販売車がありますと、それだけでその場が華やかになるのも大きなポイントです。

フラワーショップを通して、みなさんに来るだけで心が癒やされるような空間をお届けできればと思います。

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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